ジャン・ボワヴァン著『オリヴィエ・メシアンの教室』(2020年、アルテスパブリッシング)

オリヴィエ・メシアンの伝説的な授業についての評伝の翻訳。原著は J. Biovin, La classe de Messiaen, Paris, Christian Bourgois, coll. «Musique/Passé/Présent», 1995
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MIKAMI, Ryota / 三上良太 @Ryota_MIKAMI

なんとアルテスパブリッシング@artes2007 からブワヴァン『メシアンの教室』の邦訳がでる!この本は、読み物としてとても面白いし(メシアンの授業の様子がよくわかる)、資料として貴重。私も論考「メタスタシス前夜:クセナキスの習作時代」で幾度となく参照した。artespublishing.com/shop/books/865…

2020-10-09 00:20:50
リンク アルテスパブリッシング オリヴィエ・メシアンの教室 – アルテスパブリッシング この部屋から、20世紀音楽が生まれた──古色蒼然たる音楽院の一室で、彼は何を語ったのか。証言と回想から「伝説のクラス」の全貌が蘇る! 544

この部屋から、20世紀音楽が生まれた──古色蒼然たる音楽院の一室で、彼は何を語ったのか。証言と回想から「伝説のクラス」の全貌が蘇る!

”選ばれし師は開眼させてくれるのです。
ただ彼がそこにいるということ、
あるいはその振る舞い、その存在によって、
あるいは彼個人の厳格さを垣間みせる指摘を通して。”
ピエール・ブーレーズ
(アルテスのサイトより)

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また、ミカエル・レヴィナスやグリゼイ、ミュラーユの形成途上を調べるのにも重要。「クセナキスとレヴィナスを中心とした現代音楽小史」を書く時に重宝しました。巻末の授業内容もちゃんと収録されている。

2020-10-09 00:37:15
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表紙の写真は原書と同じ。クセナキスのノートと合わせて、個人的にメシアンの授業一覧を作るときにも、本当に助かった。 pic.twitter.com/UAlcNGJALM

2020-10-09 00:38:13
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宣伝の謳い文句の中にミュラーユとグリゼイが入ってるのにミカエル・レヴィナスの名前が入ってないのは悲しいな……。確かに彼は二人ほど日本では有名じゃないけど、スペクトル音楽の中にあって、スペクトルに批判的眼差しを向け、演奏にも取り組んできた作曲家。

2020-10-09 00:47:56
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それに、グリゼイ亡き後、母校のクラスも引き継いで、多くの弟子を育てた。ベロフを入れるなら、レヴィナスも入れてほしかった……。とはいえ翻訳自体はとっても素晴らしいこと。

2020-10-09 00:49:37
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原著は483頁、195フランだったけど、邦訳は744頁なのか。目次欄にある「原書刊行後に発表された主要な関連文献(著者による追加)」が見てみたい。ジャン・ミシェル・バルデズによる書評は以下のサイトで読める(フランス語)。 erudit.org/en/journals/ci…

2020-10-09 00:54:26
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『メシアンの授業』クセナキスについては小見出し一つ設けて書かれている。メシアンにとって、クセナキスを受講生として迎えたことがどれほどの出来事であったか。クセナキスがいかに、それまでの学生たちと違っていたのかがわかる。 pic.twitter.com/iRbTMZbqTe

2020-10-09 01:48:58
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アルテス@artes2007 のブワヴァン『メシアンの教室』、序章はその魅力がうまく伝えていると思う。メシアンの授業は「原理を問い直す、最も革命的な複数の思考が生まれた場所」「若い音楽家たちの中に、新しい聴き方を目覚めさせる」

2020-10-09 16:09:11
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メシアンは「現代の音楽の問題を意識させ、それに取り組ませ、その進化の可能性に進ませる」「自らの興味を押し付けるのではなく、弟子たちの興味をその先へと赴かせた」。

2020-10-09 16:09:58
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僕はメシアンの授業に匹敵する(と思っている)授業を20代前半の頃、川島先生から受けていたので、メシアンの生徒たちがどれだけ衝撃を受けたかよく想像できる。その場所が「神秘的な場所であった」と思い返す生徒たちの気持ちも。近藤譲のレッスンも、きっとそうだったんだろう。

2020-10-09 16:11:50
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ブワヴァンの『メシアンの教室』には生徒たちの回想や証言がたくさん載っているのだが、読み進めればすすめるほどに、彼らの受けた衝撃、扱っていた音楽作品の幅広さ、先生の一言ひとことを聞き逃すまいとしていた熱意、そして先生の人柄への愛、

2020-10-09 16:15:19
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また、学内でのメシアンへの冷遇が、自分の受けていたレッスンとピッタリ重なっていたことに、奇妙に納得した。

2020-10-09 16:16:32
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ブワヴァンの『オリヴィエ・メシアンの教室』、ようやくアルテス @artes2007 の邦訳をぽつぽつとチェックしている。平野貴俊氏 @01896587 による日本語が読みやすい。この本は一見分厚く、資料性が高いが(一見というか、実際そうなのだが)、 artespublishing.com/shop/books/865…

2021-03-15 16:47:24
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実際には読み物としてとてもおもしろい。しかし日本語がダメだと一瞬にして読む気の失せてしまう性質のものでもある。その点、著者のわかりやすいフランス語が見事に日本語になっている。

2021-03-15 16:49:09
MIKAMI, Ryota / 三上良太 @Ryota_MIKAMI

おもしろいのは平野氏による訳者あとがきで、著者が一体どうやってこんな本を書くことができたのか(&出版語の顛末)がわかる。結果的には、一見研究の主題にならなさそうな対象を、丹念に、地道に調査した賜物という、至極まっとうなものなのだが、それは勇気をもらえる発見でもある。

2021-03-15 16:51:15
MIKAMI, Ryota / 三上良太 @Ryota_MIKAMI

あとはアルテスの本造りが良い。巻末資料なんか、はるかに原著よりも見やすいし、譜例や長めの引用が頻繁に出てくるが、視認性や通読性をそこなうことのない、みごとなデザインになっている。表紙の写真も原書の方はトリミングしてあるので、こっちが原版。平野氏が付した訳注も、極めて有用。

2021-03-15 16:53:39