くろぐだの奇妙な冒険 第8巻 ~ザ・ゲーム~

作者:日向寺皐月(@satuki_hyugaji)さん 「#自分のスタンドを考えてみるタグ」から始まったフォロワースタンド使い化企画連載小説(三次創作) 第8巻分まとめ https://togetter.com/li/1614717 ←7巻 9巻→ https://togetter.com/li/1625539
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日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 18 「私が二枚、君が一枚。つまり、何方かがジョーカーだ」 くろぐだを見、タチバナは言った。くろぐだは軽く冷や汗を流している 「大丈夫くろぐだちゃん。ほら、僕の作戦通り引けば良いよ」 「は…はい…!」 プルプルと小さく震えるくろぐだ。タチバナはカードを伏せた

2020-10-25 23:39:18
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 19 「では…君に、右か左の何方かを選んで貰おう。良いね?」 「は、はい…」 そう言い、カードを伏せたものをテーブルの中央に置くタチバナ。くろぐだの頬を、冷や汗が一滴流れた 「…では、私からヒントを上げよう。左はジョーカーだ」 「!?」 驚くはんちょ~

2020-10-25 23:44:49
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 20 「くろぐだちゃん!嘘―」 「ハイハイ、部外者は黙る」 はんちょ~の口を、かせんは無理矢理手で塞いだ。モガモガ何かを言おうとしたはんちょ~だが、次第に諦めて黙る 「どうするね?選択は君次第―」 「右にします」 タチバナに対し、くろぐだはハッキリとそう言い放った

2020-10-25 23:48:01
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#くろくだの奇妙な冒険 21 「…良いのかい?」 少し驚くタチバナ。戸惑いながら聞く 「これをミスれば、君達は…」 「…私は」 くろぐだは少し俯き、それから口を開いた 「私は、困ったら人を信じる。そう決めてるんです」 再び上がった彼女の顔には、迷いは全く無かった。タチバナはじっと見つめる

2020-10-25 23:51:19
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#くろくだの奇妙な冒険 22 くろぐだは動じず、同じ様にタチバナを見据える 「右にします」 「…宜しい。勝負だ」 くろぐだに差し出される右のカード。静寂が訪れる。はんちょ~がゴクリと喉を鳴らした 「ひっくり返したまえ」 出て来たカードは… 「ダイアのエース。ペアです!」 くろぐだは捨てた

2020-10-25 23:55:18
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#くろくだの奇妙な冒険 23 「いよっしゃぁ!」 両手を上げて喜ぶガヤ二人。タチバナは静かに手を出し、くろぐだと握手した 「素晴らしい。君の様な真っ直ぐな勝負師は初めてだよ」 「えへへ、ありがとうございます」 嬉しそうに言うくろぐだ。ふと、タチバナは気になった事を思い出した 「そう言えば」

2020-10-26 00:01:31
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#くろくだの奇妙な冒険 24 「君の作戦とは何だい?」 「あ、俺も気になる」 そう言い、タチバナとはんちょ~はかせんの方を見た。すると、かせんはあっさり返す 「無いよ?作戦」 余りの台詞に、二人は絶句した。かせんはくろぐだの頭を撫で、更に続ける 「作戦があるとか言っとけば警戒するでしょ」

2020-10-26 00:04:41
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#くろくだの奇妙な冒険 25 「ふ…ふはは、ふはははは!」 爆笑するタチバナと、無言でかせんを揺さぶるはんちょ~。くろぐだはそれを見て、楽しげに笑った それは、昨日の事を消し去れる様な笑いだった 「では、私はお暇しよう。また何時か、今度は命を賭けないで勝負しようか」 そう言うタチバナ

2020-10-26 00:08:09
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#くろくだの奇妙な冒険 26 「ではまた会おう!」 そう言って、シルクハットを降りながら歩いて行くタチバナ。くろぐだは見えなくなるまで手を振っていた 「所でさ…」 それを見つつ、はんちょ~はかせんに聞いた 「何だったろな、あの人」 「僕にも分かんない」 かせんは肩を竦めた

2020-10-26 00:11:31

第二十五話「更なる高みへ」

日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 第二十五話「更なる高みへ」 1 「いや本当、くろぐだちゃんババ抜きしか知らないなんてね」 「あぅ…中学もあんまり人が居なかったので…」 タチバナとの決闘の後。そう言いながら、彼ら三人は帰途に着いていた 「ま、どっかの誰かみたいに賽子を持ってるのがおかしいけどね」

2020-10-27 00:26:41
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 2 「うるせぇ」 はんちょ~はかせんの頭を小突き、そのまま曲がり角の前で立ち止まった 「んじゃ、俺はこっちだから」 「じゃね」 「お疲れ様です」 そう言い、はんちょ~とかせん達は別れた。かせんとくろぐだの二人は同じマンションなので、方向が同じなのである

2020-10-27 00:37:51
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#くろくだの奇妙な冒険 3 そしてそのまま、マンションに向かって談笑しながら歩いて行く二人。しかし、マンションまで後少しと言う所で、かせんは何かを思い出した様に手を叩いた 「ゴメン、くろぐだちゃん。僕コンビニに行く用事があったんだ」 「あ。了解です」 そうして、かせんもくろぐだと離れる

2020-10-27 00:44:00
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#くろくだの奇妙な冒険 4 「見付けたで…!」 そんなかせんを見る、人影が一つ。白く長いジャケットを羽織り、双眼鏡でその姿を追う 「此方ミイノラ、ターゲットを確認したで。ほな一足先に攻撃させて貰いますよって」 耳に付けたインカムにそう告げるミイノラ。と、直ぐに返答が帰ってくる

2020-10-27 01:05:12
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 5 「此方へるばおむ。俺はまだ見付けてない」 へるばおむは半ばイライラしながら、両腕が発達したスタンドを見ながら言った。地面に半分埋まりながら、である 「早く来ねぇかなぁ…」 そう告げるへるばおむの手には、はんちょ~の写真があった― 「二人とも、まだ早いです」

2020-10-27 01:27:00
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 6 ミイノラはそう無線から流れた声を聞き、辟易したように首を振った 「全く…虚ちゃんは五月蝿くて敵わんわ」 虚と呼ばれた声の主は、ミイノラの声を聞いても動じない 「三人による、個別の且つ同時の攻撃…これが、はむらび教授の作戦です」 「…へいへい」 ミイノラは言った

2020-10-27 01:40:21
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#くろくだの奇妙な冒険 7 と、そんな時… 「此方へるばおむ。ターゲット見付けたぜ。攻撃に移る」 へるばおむのワクワクした様な声が聞こえた。それを聞き、ミイノラも続く 「虚ちゃん!ワシはもう限界やで!このままやと―」 「…分かりました。射程圏内で撃破して下さい」 虚は諦めた様にそう言った

2020-10-27 23:05:14
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 8 「え~っと…確か一番くじのあるコンビニは…」 そう言い、かせんは道を歩く。と、後ろで金属が弾ける音が。振り向くかせん― 「―ッ!?」 かせんは咄嗟の判断で頭を下げた。さっきまで頭があった辺りを、鉄パイプが通過してタイルに突き刺さる 「落下事故…じゃ無さそうだね」

2020-10-27 23:13:21
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 9 上を見上げるかせん。そこはただの雑居ビルで― 「あっぶ!」 再び、空気を切り裂く音と共にパイプが飛来した 「ウィール・ミート・アゲイン!迎撃だ!」 かせんが叫び、パイプへロケットが直撃―せず、そのまま貫通する。驚き半分で、かせんは横に回避した 「スタンドかな?」

2020-10-27 23:17:54
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#くろくだの奇妙な冒険 10 そのままポストに隠れ、ひょいと飛んで来た方を見たかせん。すると、一瞬キラリと光る物が見えて、パイプが向かって来る 「狙撃か…!」 ポストから離れ、回避行動を取った。そして、ロケットを出して空に舞い上がる 「次は僕の番だ」 「さて…と」 はんちょ~は足を止める

2020-10-27 23:25:28
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 11 「おい、さっきから着いて来てる奴。気付いてんだよ、俺は」 そう言い、振り向くと― 「おっと!」 突然吹き上がった泥が、はんちょ~を襲う。が、はんちょ~はバックステップで回避した。それを追う様に、はんちょ~の足元で泥が湧き出す 「アスファルトでも無視かよ…!」

2020-10-27 23:33:03
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 12 そう呟くはんちょ~。直ぐにスタンドを発現させる 「V8ォ!」 地面を殴るフュリオス。その破片は直ぐに金属へ変わる。そしてそれらは、より集まって円錐形を取った 「地面の下に逃げるんならよぉ…」 そう言い、出来上がったそれにエンジンを乗せるはんちょ~

2020-10-27 23:40:36
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 13 「こっちから掘り当ててやるよ!コイツでなぁ!」 轟音を響かせ、ドリルを手に付けるはんちょ~。それを振り上げて、再び吹き上がった泥目掛けて殴り掛かった 「抉じ開けろ!V8ォ!」 マンションの玄関に着いたくろぐだ。ふと気付くと、エントランスに一人の女が居た

2020-10-27 23:47:14
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 14 モノトーンの衣服で身を包んだその女は、能面の様な表情でくろぐだを見ている。なんだか嫌な予感のしたくろぐだは、警戒しながら自動ドアの前に立った 「…貴女が、くろぐださんですね?」 「は、はい…」 いきなりそう聞いて来た女に、若干怯えながら返すくろぐだ

2020-10-27 23:55:37
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 15 その返答を聞き、女は少し嬉しそうな表情に変わる 「ご紹介が遅れました。ボクの名前は虚と言います。初めましてですね」 「あ、はい…初めまして…」 慇懃無礼に頭を下げる虚に、くろぐだも連れて頭を下げた。そして再び頭を上げた時、くろぐだは大鎚を出さざるを得なかった

2020-10-28 00:02:43