くろぐだの奇妙な冒険 第８巻 ～ザ・ゲーム～

日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 16 「恨みはありませんが、死んでください」 そう言う虚の横には、全身を炎で包んだ人形のスタンドが居た。メラメラと常に燃え上がるその身体には、頭が無かった 「では、さようなら」 そう言いながら、スタンドが殴り掛かって来る。くろぐだは大鎚でガラスを殴り、外へ逃げた

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#くろくだの奇妙な冒険 17 その破片が、虚のスタンドへ飛んで行く―が 「え、溶け…！？」 大きなガラス片がその拳に当たり、一瞬で蒸発した。そんな反応を見た虚は、少し楽しげな表情に変わる 「ボクのスタンド、Mr.Fahrenhitは触れたものを蒸発させる能力。それが何であれ…ね！」 振りかぶる拳

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#くろくだの奇妙な冒険 18 それを避け、大鎚のブースターで回避しようとするくろぐだ。が、虚は既にそれを察しており、溶かしたガラスを飛ばしてくる 「くっ…！」 回避に専念するくろぐだ。しかし、その内手詰まりになるのが目に見えている （戦うしか…ない！） 一歩。前に足を踏み出す。そして

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#くろくだの奇妙な冒険 19 「セイヤーッ！」 がら空きのスタンド胴体へ、金頭を叩きつける。しかし手応えが軽い。と、吹き上がる白い煙 「アスファルト…！」 くろぐだが気付いた時には遅かった。溶けたアスファルトの下から伸びた手が、大鎚の柄を掴んで飛ばす 「きゃっ！」 宙を舞うくろぐだ

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#くろくだの奇妙な冒険 20 何とか身体を捻り、壁に叩き付けられる前に両足を付ける。そして前転で衝撃を逃した が、更にそれを予測していたかの様な拳が、金頭をガッシリと掴んだ 「スタンド、破壊させて貰いますね」 「くっ…！」 押しても引いてもビクともしない大鎚。くろぐだは慌ててブーストする

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#くろくだの奇妙な冒険 21 だがそれでも、くろぐだの大鎚が動く事はなかった。それどころか、白熱化した金頭がじわじわと歪む 「では…さよならです」 破砕音と共に、金頭が壊れた 「…やっぱり、視界が取れないと攻撃してこないか…」 かせんはコンビニの中に隠れ、そう呟く。今は攻撃されていない

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#くろくだの奇妙な冒険 22 「しかし…何時までもここに籠城する訳には行かないか…」 エンドに置いてある一番くじをちらっと見た後、かせんは溜め息を着いた。戦闘に巻き込みたくないのだ 「…買いたかったなぁ…」 「出て来いへんなぁ…」 近場の雑居ビルから、双眼鏡で地上を見やるミイノラ

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#くろくだの奇妙な冒険 23 「ワシ、腹が空いてきてん…」 ボヤくミイノラ。その横では、スタンドであるムーンチャイルドが屈強な右手でパイプを弄んでいる 「あ～！もう滅茶苦茶投げまくればええんか―お？」 見ると、コンビニからかせんが警戒する様に出て来たのだ。その手には、レジ袋が握られている

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#くろくだの奇妙な冒険 24 「お～お～、ようやっと出てきはったで大将が！」 嬉しそうなミイノラ。そして、自らのスタンドの肩を叩いた 「ムーンチャイルド！いてこましたれや！」 頷き、パイプを投げるムーンチャイルド。ミイノラは笑った 「よっしゃ！報償金はワシの物や！取ったでー！」

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#くろくだの奇妙な冒険 25 しかし、かせんにパイプが突き刺さる事は無かった 「は？」 かせんは一瞬ミイノラを見、微笑んだのだ。そして、レジ袋の中身を鉄パイプに投げ付けた 鉄パイプに当たり、当たりに飛び散る白い粉。小麦粉だ 「なんや逃げたか。最近のコンビニは何でも売ってるんやなぁ…」

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#くろくだの奇妙な冒険 26 呆れた様に言うミイノラ。そう。彼のスタンドは、目視出来ない相手には当てられないのだ。ただし、目視さえ出来ればどんなものでも貫通するのだが 「しゃーない。場所変えな…お？」 辺りを見渡すミイノラ。何処かからロケットの音がするのだが 「残念でしたね」

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#くろくだの奇妙な冒険 27 そんな声が、ミイノラの真後ろからする。振り向くと― 「両手にロケット…？ありなんかそれ！」 「ま、それはお互い様って事で！」 そうかせんは笑い、左手のロケットを投げ付ける 「は！甘いで！」 それを殴るミイノラ。が、それは空中で爆発し…小麦粉が煙幕の様に広まる

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#くろくだの奇妙な冒険 28 「わ！何やこれ！煙いわ阿呆！」 そう言い、手で払って咽るミイノラ。そんな煙を切り裂いて、ロケットがムーンチャイルドに直撃する 「痛ッ！」 「もう一丁！」 更にロケットを投げ付けるかせん。ミイノラは真面に食らい、背後に吹き飛ぶ 「死なない様に爆薬は抑えてますよ」

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#くろくだの奇妙な冒険 29 「あの人にさせた約束、僕が破るわけにはいきませんからね」 倒れたミイノラにそう言うかせん。が、直ぐに違和感に気付いた。最初に襲撃を受けた通りから、今この場所まではそれなりに距離がある。しかし、見えなければ攻撃出来ない なら 「どうやって移動したんだ…？」

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#くろくだの奇妙な冒険 30 かせんの呟きに答える様に、何かが始動する音が響く。そして、地面に散らばった小麦粉が吹き上がる 「…甘い、甘いなぁ自分…！」 そう言い、立ち上がるミイノラ。その顔は、不敵に笑っている 「誘われたんが分からんで、手加減？甘いわ！」 ミイノラは腕を組み、一喝する

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#くろくだの奇妙な冒険 31 慌てて辺りを見渡すかせん。そう、ここは屋上の身を隠す場所など無い 「ワシのスタンドは、自分が見えればええねん。せやから…」 小麦粉を吹き上げながら、ふわりと宙に舞うミイノラ。その足元には、大きなドローンがあった 「浮かばして貰うで、これでなぁ！」

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#くろくだの奇妙な冒険 32 更に高く上がるミイノラ。かせんはロケットを投げるが、ヒラリと躱される 「当たるかいな阿呆！」 逆に投げ返されるパイプ。慌てて避けるが、左肘を強く打ってしまう 「さぁ、形勢逆転やで！」 頭上から高らかに宣言するミイノラ。かせんは頭を動かしながら、攻撃を避ける

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#くろくだの奇妙な冒険 33 （考えろ、考えるんだ僕！左肘がダメージを受けたから、飛び上がれるだけのサイズのロケットは作れない） ローリングしながらパイプを避けるかせん。隣のビルの屋上に移るが、それでも形勢不利は変わらない （しかも普通に飛び上がれば、多分空中で撃墜される…考えろ！）

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#くろくだの奇妙な冒険 34 「クッソ！何処に居やがるんだよ！」 掘り返した道路で叫ぶはんちょ～。彼の回りには、吹き出した泥が乾いた砂ばかり 「逃げやがった…とは考えられねぇなぁ…？」 更に掘るべきかどうか、一瞬悩むはんちょ～。が、彼の思考は一瞬だった 「ドリルをデカくすれば良いのか」

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#くろくだの奇妙な冒険 35 「V8！」 はんちょ～が地面を殴ると、金属片が舞い上がる。そしてそれらはドリルを更に大きくした 「そらそらそら！出てくるまで掘って―」 その時 「なら、出てきてやるよ」 そう言い、へるばおむは街路樹の影から出て来た。彼のスタンド、パドル・オブ・マッドと共に

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#くろくだの奇妙な冒険 36 「やっと出てきやがったな…？」 そう言い、はんちょ～もフュリオスを全身に纏う。当然、エキゾーストは轟々と炎を吹き上げている 「V！8ォ！」 先に殴り掛かったのははんちょ～だった。直ぐに吹き上げた泥が固まり、壁が出来上がる。しかし、はんちょ～の拳は突き抜けた

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#くろくだの奇妙な冒険 37 「俺のエンジンは最高潮だぜ！泥如きで止まるかよぉ！」 更に殴り、壁を破壊するはんちょ～。次はパドル・オブ・マッドだけである 「食らって吹き飛べ！V―」 拳がパドル・オブ・マッドに直撃する。が、金属同士の衝撃音が響いただけだった 「俺の射程にようこそ。そして―」

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#くろくだの奇妙な冒険 38 「さよならだ」 再び吹き上がる泥。それは他でも無く、はんちょ～のエキゾーストを包んだ 「な！？」 炎が上がらず、段々エンジン音が小さくなる。はんちょ～は慌てて殴るが、全て弾き返された 「じゃあな、エンジン野郎」 吹き上がった泥は、はんちょ～を包んだ