「政府紙幣」を刷れば、「無税国家」は可能になるか? ――政府紙幣や公共貨幣とインフレ税の関係について

「政府紙幣」「公共貨幣」「ポジティブマネー」「(無利子)永久国債」など、反緊縮関係で、貨幣や国債の新しい形態を模索する試みがあります。 筆者(まとめ主)は、それらの試みを一切否定するようなつもりはありません。が、そうした政府紙幣などによって、さも「無税国家」が成立するかのような議論が一部にあります。 そこで「インフレ(税)」を軸に、政府紙幣や公共貨幣によって、「無税国家は可能なのか?」という考察をしていきます。
5
しろうと @sirouto

「バーナンキの背理法」があるので、千兆円札/玉で国債を帳消しにすれば、すなわちインフレになる。よって、毎年はできないし、無税国家にもできない。

2020-11-13 22:55:31
しろうと @sirouto

ここで、「まだインフレになっていない、最初の年だけは、実行できるのでは?」という疑問があるかもしれない。じつは、その可能性はある。

2020-11-13 22:56:39
しろうと @sirouto

あるが、結局は実質的に「インフレ税」で返しているだけで、インフレが起こる点では、千兆円札と、千兆円分の一万円札を刷るのとでは、違いがない。

2020-11-13 22:59:05
しろうと @sirouto

千兆円札でも、千兆円玉でも、政府紙幣でも、公共貨幣でも、永久国債でも、仮想通貨でも、刷りすぎればインフレからは絶対に逃れられない。

2020-11-13 23:00:16
しろうと @sirouto

このように、「政府紙幣で無税国家」みたいな夢物語は、バーナンキの背理法でバッサリ一刀両断。「フリーランチはない」のが、経済学の真理。

2020-11-13 23:01:54
しろうと @sirouto

財政赤字を容認する「MMT」ですら、アメリカ本家のMMT派(たとえば金ピカ本のランダル・レイ)は、インフレ率の制約を認めている。国債が無限に刷れるとか、無税国家ができる、とは言ってない。

2020-11-13 23:04:15
しろうと @sirouto

しかしここで、それは論理的に「循環論法」ではないか、という疑問が出てくるかもしれない。

2020-11-13 23:05:12
しろうと @sirouto

バーナンキの背理法では、無税国家が成立しないことを前提として、だから、金を刷ればインフレが起こる、と結論にしている。

2020-11-13 23:06:33
しろうと @sirouto

すると、「無税国家」が成立しない前提だから、結論として「無税国家」は成立しない、という「トートロジー」になってしまうのではないか? という疑問。

2020-11-13 23:07:37
しろうと @sirouto

そこで、今度はインフレが起こる仕組みについて、もう少し深く考えてみよう。なぜ、金を刷ればインフレになるのか?

2020-11-13 23:08:20
しろうと @sirouto

それは「供給の制約があるから」だ。この「供給(力)」は「生産(力)」と言い換えてもいいだろう。

2020-11-13 23:10:03
しろうと @sirouto

金はそれ自体に使用価値がないので、生産や供給を増やすことにならない。だから、金を刷ると基本的に、その量に反比例して価値が落ちていく。

2020-11-13 23:11:09
しろうと @sirouto

ここで、分かっている人にはまだるっこしいだろうが、具体的な例を用いて、よりイメージしやすくしよう。

2020-11-13 23:11:59
しろうと @sirouto

かりに、世界が「100人の村」だとしよう。そこに100Kgの米(か小麦)という、商品がある。一方には100万円の貨幣がある。すると、需給関係で、価格は1kg1万円になるだろう。

2020-11-13 23:14:44
しろうと @sirouto

ここで、金を刷って金の総量を200万円に増やしたとする。しかし、米の総量が100kgなのだから、米1kgが2万円に値上がりするだけだ。2倍の米は決して得られない。

2020-11-13 23:16:08
しろうと @sirouto

村全体の米の生産量が100kgであれば、千兆円札/玉だろうが、政府紙幣だろうが、100kgの供給側が変わらないのだから、刷った分ただインフレするだけだ。よって、無税国家もできない。

2020-11-13 23:17:50
しろうと @sirouto

さて、このミニチュアみたいに小さな100人の村の例を大きくして、現実に近づけていこう。

2020-11-13 23:18:26
しろうと @sirouto

たとえば、縄文時代や弥生時代に、政府紙幣とか永久国債とかがあったら、誰も飢えずに済んだだろうか? 100年くらいでビルが建って近代化してしまうだろうか? そんなことはありえない。

2020-11-13 23:20:03
しろうと @sirouto

そうではなく、化学肥料とか農耕機械とか、あるいはビルの建築とか、自動車や飛行機とか、いろいろな科学技術が発展したから、豊かになったのだ。大量に金を刷ったからではない。

2020-11-13 23:21:47
しろうと @sirouto

ここまで来れば、「政府紙幣で国債帳消し」といった話が信用できないことが分かるだろう。実態はインフレ税で返すだけの話であり、その点で紙幣と政府紙幣とでは差がない。無意味だからやらない。

2020-11-13 23:23:05
しろうと @sirouto

「借金が嫌だ」「税金が嫌だ」といった気持ちは分からなくもない。が、「政府紙幣で借金帳消し」といった話を、まともに信じてはいけない。必ずインフレ税が発生する。

2020-11-13 23:24:42
しろうと @sirouto

「政府紙幣で無税国家」という話は、「永久機関で資源不要」とか「フリーエネルギーで石油が要らない」とかそういう話に近い。

2020-11-13 23:26:08
しろうと @sirouto

なお、ここで注意がある。直接「無税国家」みたいには言わなくても、負担が軽減されるように言う(たとえば、政府紙幣で消費税を廃止できるとか)か、そもそも負担の話をしない、というのもそれに近い。

2020-11-13 23:28:22
しろうと @sirouto

もうひとつの注意として、政府紙幣だとか公共紙幣だとかの話を、私は一切全否定している訳ではない。しかし、それがさも無税国家につながるかのような話は否定する。

2020-11-13 23:30:31
しろうと @sirouto

政府紙幣だろうが公共貨幣だろうが何だろうが、実質的にインフレ税で払うことになる、という本質をごまかさないのなら、その話を聞く余地はある。

2020-11-13 23:32:06