『魔女見習いをさがして』が刺さりに刺さったオタクの私見まとめ【2020.12.31追記】
- momonekopotte
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(承前)各々の夢を叶えるための第一歩として3人の"魔法"を組み合わせる、謂わば現実版のマジカルステージ(「マジカルステージみたいですね」byレイカ)が完成して、その帰結として3人はどれみ達に会えた(※諸説あり)という流れは、TVシリーズの判定基準なら十分に「成功」なんだよね。
2020-12-06 22:43:51大前提として3人のマジカルステージごっこは酔っ払いの奇行でしかないし、終盤の展開は言うまでもなく理屈で考えちゃいけない所なので、元より成功も失敗も無い話ではある事は百も承知だけど、ただ「もし魔法が本当にあるとしたら」3人のマジカルステージは成功したのかもしれない。そういう筆致。
2020-12-06 22:44:40サトジュン監督も”「魔法があったと思っていた自分はちょっと素敵かも」と思って映画を見てほしい”とは言っているのであながち外れた見方ではないと自分では思っているよ。(別に作り手の意図を言い当てるゲームがしたい訳ではないけれども) kai-you.net/article/78809/… pic.twitter.com/sm8A7pMzTM
2020-12-06 22:51:57その下にある「見ていた世界が変わるとか、人生が変わるとか、アニメの力でそこまでのことはできません。ほんのちょっと物事の見方や気持ちが変わるくらいが精一杯だと思いますから。」もレイカの出した結論に鑑みると納得感がある。
2020-12-06 22:55:40ミレとレイカが喧嘩するシーンとおジャ魔女♯19話について
映画で引用されたシーンでは満場一致で「どれみが悪い」とされていたので一体何を言ったのかと思ったら、はづきを「人に思っている事を言えない子」と誹謗したのが咎められていて、正しくミレがレイカに言った事とドンピシャだし、実はミレ本人にも刺さっている。
2020-12-12 13:18:29川谷レイカはコミュ力高そうに見えて肝心な時に「言いたい事」が言えない人だし、吉月ミレは”思った事を何でも口に出してしまう”割に肝心な時に「言うべき事」が言えない人なので、何方も雑に括ってしまえば「人に思っている事を言えない子」だ。
2020-12-12 13:19:00レイカの場合は言いたい事はハッキリしているけど口にする「勇気」が足りなくて、ミレの場合は踏ん切りが付かないというよりは「正解」が分からないから結局伝えられなかったり、アプローチを間違ったり(それがソラの目には無神経な言動に映っていた)してしまう。
2020-12-12 13:20:41ミレが「ここに居ても何も変わらない」とレイカを(彼女にとって未練の象徴である)尾道から連れ出したのは初めて「言うべき事」を言えた瞬間だろうし、「言いたい事」を置き去りにしてモラトリアムに浸っていたレイカは最後のシーンでは3人の中で真っ先に自分の夢を口にする。
2020-12-12 13:22:36そんな2人がソラに大宮への告白を薦めるのは当然の流れで、ミレの「自分の心の声を聞いて」は「自分の気持ちに素直になれ」というよりは「言いたい事があるなら表に出しても良いんじゃない?」ぐらいのニュアンスだと思った。 twitter.com/momonekopotte/…
2020-12-13 01:32:44ミレはレイカの境遇を聞いた後の言動を見れば分かる通り他人への共感性が高くて面倒見も良い(但し面倒の見方はイマイチ分かっていない)タイプなので、ソラの恋愛事情に関しても8割がた面白がっていたレイカと違って彼女は割と真面目にソラの背中を押そうとしている様子が垣間見える。
2020-12-13 01:47:25もしかしたらレイカと喧嘩した時にソラから受けた指摘やサポートが無ければ仲直りできなかっただろうという事で彼女への恩返し的な側面もあったのかもしれない。
2020-12-13 01:51:11リーダー適性はあるけど気質が一匹狼なミレは能力と性格が噛み合ってない典型例なので「手を取って引っ張りたいと思える誰か」と「自分のやりたい事を後押ししてくれる誰か」が傍に居て初めて物事が上手く回り始めるのは道理なんですよね。
2020-12-12 13:23:49なのでレイカが東京に来て救われたのは寧ろミレの方だったりする。レイカは東京がどうこうより尾道という父親への未練とモラトリアムの象徴から脱する事が必要条件だったので。 #尾道の扱い
2020-12-12 13:24:31実際、尾道に関しては作劇上の扱いはアレだけど、背景美術や劇伴、住民の気質をハートフルに描写する事でバランスを取っている感はある。(ただ東京からのアクセスの悪さも容赦なく描かれているので実際に行ってみようと思う人は少ないかもしれない)
2020-12-12 13:25:11おジャ魔女♯19話の話に戻る。魔女見習いに出て来たシーンでは「溝が深まらん内に謝った方がいいで」→「どれみちゃんごめんね」「謝るのはこっちの方だよ!」でシームレスに移行したように見えるけど、実際には間にもう一悶着あって溝が深まってしまう。
2020-12-12 13:26:54はづきに謝るために箒で藤原邸に向かったどれみだが、丁度はづきの世話係がどれみを罵倒しているのを窓越しに聞いてしまい、翌日、それを非難されたはづきはどれみが盗み聞きした事に対して憤慨する……という要するにディスコミュニケーションで拗れるやつだった。
2020-12-12 13:28:48はづきは世話係を諫めてどれみを擁護するのだが、その前にどれみはキレて立ち去ったので当然はづきの本心を聞いてないし、逆にはづきはどれみが謝りに来たという事実を知らない。(また世話係の意図は明確には示されないが十中八九はづきに自省を促す事だと思われる。)
2020-12-12 13:29:25正直、"魔女見習いをさがして"を見た時は「溝が深まらん内に謝った方がいい」が即座に「会うのが一番ね」に繋がる理由がピンと来なかった(言わんとしている事は分かる)けど♯19話がディスコミュニケーションで拗れる話だったと知った今は「まぁ、そうですよね……」ってなってる。
2020-12-12 13:30:20余談だが、妹尾あいこは境遇が境遇なので何気ない一言に"""意味"""が付与される事に定評があるけど、♯19話の「溝が深まらん内に謝った方がいいで」は正にそれだった。 #妹尾家とかいうディスコミュニケーションの塊
2020-12-12 13:31:07ちなみに次の回のサブタイは「お母ちゃんに会える! あいこ涙の再会」で、両親の溝が致命的に深まった今でも再婚を願う娘と、元夫に隠れて娘と密会し、あわよくば連れ帰ろうとする母親のディスコミュニケーション(本人達は擦れ違っている事に気付いてすらいない)がお出しされる。鬼か。
2020-12-12 13:31:49あと気付いた事と言えば、魔女見習いの最後で”魔法が使えると信じていた頃”の幼少期の3人を幻視するシーンは、そのままおジャ魔女♯19話でどれみとはづきが(魔法で再現された)2人の幼少期の様子を幻視するシーンのセルフオマージュだった事かな。
2020-12-13 02:05:44