「米国の5G戦略詰んでる？」ファーウェイ排除にも影響したされるペンタゴンの5G戦略レポートを読むと"アメリカの痛恨のミス"に気づいた

ミック @copinemickmack

米国連邦政府のファーウェイ排除の意思決定に影響したと言われるペンタゴンの5G戦略のレポート、噂にたがわぬ面白さだった。 同時に思ったのは「もしかして米国の5G戦略詰んでる？」 専門家の間ではもう既知の事柄かもしれないが、以下自分の備忘と整理も兼ねて連投。 media.defense.gov/2019/Apr/03/20…

ミック @copinemickmack

5Gで利用が検討されている周波数帯には、大きく二つある。24～300GHzの「ミリ波」と6GHz未満の「サブ6」。ざっくり言うと、前者は早くて大容量だが距離が短い、技術的に難しい。後者は遅くて低容量だが長距離いけてカバー範囲が大きい。各国とも、基本的にこの二つの周波数帯での開発を行っている。

ミック @copinemickmack

基本的に多くの国が、基地局の投資が少なくてカバー範囲の広いサブ6を直近の5G利用として重視している。特に中国はサブ6を重視している。ところが、米国はこのサブ6帯、特に各国が利用を見込む3～4GHz帯への5G割り当てを全くやっていない。いったいなぜだろう？ pic.twitter.com/H7tydN7Opk

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ミック @copinemickmack

実は米国では、このサブ6をすでに連邦政府、というかペンタゴンが排他的に利用するように割り当ててしまっている。このため米国では（少なくとも直近は）強制的にミリ波主体でいくしか選択肢がない。ペンタゴン将、痛恨のミスである。あーーーと、これはいけない。なんのための5Gだ！

ミック @copinemickmack

ファーウェイは当然ながら中国政府の戦略に沿ってサブ6主体で技術を開発している。もしこのままサブ6がグローバルスタンダードになれば、米国のミリ波主体の技術はガラパゴス化することになる。それは何としても避けねばならない。連邦政府の排除命令も、ファーウェイの足止めのためと解釈できる。

ミック @copinemickmack

では米国はミリ波一本で強行突破できるか？ これもきつい。ミリ波はサブ6に比べるとカバー範囲がとても狭い。添付の図はロサンゼルスで行った実験結果で、サブ6（右）に比べてミリ波（左）のカバー範囲が極めて狭いことが分かる。そうなると、ミリ波で行く場合は基地局を建てまくる必要がある。 pic.twitter.com/1ynt6ZIJR0

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ミック @copinemickmack

米国の二大通信業者であるAT&TとVerizonは、1000億ドル以上の負債を抱えており、多くの基地局建設に投資するリスクを負えるか怪しい。ではサブ6を民間に開放するのはどうか？ 実は2010年にFCCは政府利用の帯域を商業部門に開放した経験があるが、このときも5年以上かかった。

ミック @copinemickmack

このように、ミリ波、サブ6どちらで行くにも米国にとっては辛い状況である。トランプ政権がファーウェイ排除という強硬手段に出た理由も分かる。ペンタゴンは最悪シナリオとしてサブ6がグローバルスタンダードになり、米国は民間への帯域開放に手間取り、完全に取り残される状況を想定している。

ミック @copinemickmack

レポートの大意は以上。5Gに関して米国の置かれた状況のきつさがお分かりいただけただろうか。ペンタゴンもこんな正直なレポートよく書くな（そして全世界に公開するな）と感心する。「自分たちはこのままだと中国に完膚なきまでに負ける」と、国防を担う官庁が正面から危機を認識できるのがすごい。

ミック @copinemickmack

ペンタゴンもキレイなのから汚いのまで、色々対策は考えていると思う。汚いのは書かれていないが、読んでいて「アッ」と思ったのが、「ゼロトラスト・セキュリティはサブ6で中国が覇権を取って、中国製の機器を米国も使わなければいけなくなったときの保険」と言っていたこと。

ミック @copinemickmack

米国が中国製のNW機器を利用しなければいけなくなれば、情報を抜かれる「攻撃面（attack suface）」は従来より飛躍的に増える。その最悪の状況において、何物も信用せず常にNWトラフィックの監視を行う手段として、ゼロトラスト・セキュリティは国策として必要なのだ。そこまで考えているのか・・・。

ミック @copinemickmack

"境界防衛モデルは効果がないことが証明されており、5Gでは、より多くのシステムが共通のネットワークにリンクされることになり、この問題を悪化させるだけである"。日本企業に毎日百遍復唱してもらいたい言葉である。

ミック @copinemickmack

連邦政府のレポートは、いつもそのリアリズムの深さに感銘を受ける。希望的観測も偉い猫への忖度もなく現実を分析し、幾つものシナリオをシミュレーションして最適解を見出そうとする執念。GoToの代替案を考えていない日本政府とどこで差がついたのか、慢心、環境の違い、強い電磁波による学力低下… pic.twitter.com/mi8V2NaRnd

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ミック @copinemickmack

コメントで教えていただいたが、ペンタゴンは今年サブ6の電波オークションを実施してVerizonが落札した。サブ6帯の民間への開放はレポートでも提言されていたので、その戦略に沿って今後もオークションが行われる予定。 eetimes.jp/ee/articles/20…

ミック @copinemickmack

細かい点やその後の展開も補足してブログにまとめました。詰みに近い状況になってもクールな現状分析から活路を開こうとするペンタゴンがステキ。野球成分多めなのは特に意味はない / 米国の5G国家戦略の要諦 - ペンタゴンレポートを読みとく｜ミック @copinemickmack #note note.com/mickmack/n/n66…

ミック @copinemickmack

ブログにも書いたけど、ワイはこの5G戦略に関するペンタゴン・レポートの存在と重要性について、遠藤誉氏の『米中貿易戦争の裏側』から教えてもらった。また遠藤氏による解説ダイジェストは ITMediaでも読める。御礼申し上げます。 itmedia.co.jp/business/artic…

ミック @copinemickmack

今回、ペンタゴンの5G戦略レポートを読み解くため、「どうしたんだ佐伯！」の動画を何度も見直したが、実況解説が芸術点の高い名言になるのは野球というスポーツの本質だ。複数の局面がデジタルに展開するので解説がツッコミ機能を持ちやすい youtube.com/watch?v=SzEJ1L…

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ミック @copinemickmack

サッカーやバスケのように局面がアナログかつシームレスに展開するスポーツだと、一つの局面を切り取って論評するコメントを挟むのはなかなか難しい（セットプレーみたいに流れが切れたときにできるくらい）。こういう一つの局面を味わえる解説が可能なのは、野球、アメフトみたいなスポーツだろうか。

ふため @Futamen

iPhoneが北米だけミリ波対応するのはこんな経緯だったのか。疑問解決。 米国は情報公開だけは素晴らしいなあ twitter.com/copinemickmack…

嬉野年金積立金管理運用独立行政法人(UGPIF) @ls99ml

時間がないので後でまた読み直したい…(´･ω･｀) twitter.com/copinemickmack…

じんさん @JinSun0064

逆に中国はスキと見たからなんだろうけど、1番の疑問は何故それを知り得たか。 …まさかの日本じゃ… twitter.com/copinemickmack…

masked Ikedam Mk. VII @msIkedam

THE 5G ECOSYSTEM: RISKS & OPPORTUNITIES FOR DoD - DEFENSE INNOVATION BOARD, April 2019 media.defense.gov/2019/Apr/03/20… 米国の5G国家戦略の要諦 - ペンタゴンレポートを読みとく｜ミック note.com/mickmack/n/n66… twitter.com/copinemickmack… twitter.com/copinemickmack…

水曜どうでしょうファン🌗 @jemgank

読み物としてもめちゃくちゃ面白いｗ内容の大意はこのツィートの連投部分にあります。 日本の5G開発は「米国、中国、韓国に続いています」と明確に書かれている点が、第三者から見る日本における開発結果を表している。 米国の突破点はビームフォーミングでミリ波をより遠くへ飛ばす技術の開発やな…。 twitter.com/copinemickmack…

テの字 @ces_Tineke

AmazonやらFacebookやらが、データ通信用の小型ミリ波衛星を低軌道に数千基打ち上げる計画立ててるし、Sub6は『真の5G』(速い！低遅延！)としては中途半端だから問題ないんじゃないかね。 twitter.com/copinemickmack…