帝国憲法に殉死した清水澄法学博士の遺言

最後の枢密院議長 清水博士は、帝国憲法に殉じて投身自決しました。 彼が命を賭してまで戦後日本人に伝えようとしたことを読み解くため、原文より平易な言葉になるよう、書き起こしを行いました。
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ふぐば🐽 @Fuguba

も良いのではないかと信じる。尤も、地位が安固であることで自己の意見を発表するのに掣肘を受けるおそれがないために、人を得れば、その社会的地位から上院の議論を指導して正論に赴かせ、貴族院の政党化なる現下の情勢を阻止することができることは疑いない。

2020-09-09 13:32:38

公爵と侯爵は、その地位を保証されているため、誰に遠慮することなく正論を言うことができます。
また、華族としての家格の高さから言って、意見を取りまとめるリーダーを得ることが期待されます。

ふぐば🐽 @Fuguba

③伯子男爵は満33歳で同爵から選出された者は7年の任期の議員となる。略して互選議員と言う。伯子男の成年以上の者が選挙権を有し、投票は被選挙人・選挙人両方の連記記名投票である。記名投票によって避けられない多数代表、幹部専横の弊は現に著明で、この改正は論者の力説するところである。

2020-09-09 13:40:17
ふぐば🐽 @Fuguba

④国家に勤労ありまたは学識ある満30歳以上の男子で勅任された者は終身議員となる。略して勅選議員と言う。 蓋し世襲議員はその材幹を問わず当然議員であり、互選議員は選挙によるとは言え約5人に1人の割合であり必ずしも悉く有為の人材とは言えない。しかし勅選議員は、国務に対する経験が深いか、

2020-09-09 14:54:08
ふぐば🐽 @Fuguba

これに対し相当の見識を有するものであり、実に貴族院の中堅となるべき者である。貴族院で著者はこの勅選議員に最も期待すべく制度の趣旨もまたここにあると考える。然るに近時、政党政治の弊はこの制度を馳りて貴族院をもまた政党化しようとする傾向がある。元来この種の議員を選ぶにあたっては、

2020-09-09 14:57:37
ふぐば🐽 @Fuguba

その議員の対政府関係、政党関係等に依り左右されてはならない。現に従前は公正に選任されていた。しかし近来この公正は失われ、政府の奏薦するのは多く時の政府と同一政党に属する者か、そうでなくとも少なくとも密接な関係を有するものに限られるに至り、斯くして選任された者がその政党の為に

2020-09-09 15:00:33
ふぐば🐽 @Fuguba

行動することがあるのは当然であり、その状況は恰も衆議院に於けるのと異ならない。こうして貴族院の特色は漸次失われ、その決議が衆議院の決議の単なる機械的反覆に了るということは著者の杞憂ではない。勅選議員を終身議員としたのは人物本位に勅選される為であるが、制度の本旨が有為の材を貴族院に

2020-09-09 15:03:31
ふぐば🐽 @Fuguba

送ることにある以上、年齢の如何を問わず終身の任とするのは至当とは言い難い。身体または精神の衰弱により職務に堪えない場合は貴族院に於いてその旨議決し上奏し勅裁を乞うことが可能であると雖も、この方法が情実のため実行し難いことは用意に想像できる。停年制を採るかあるいは一応の任期を

2020-09-09 15:07:05
ふぐば🐽 @Fuguba

定めた上で再戦を許すなどの方法は、救済手段のひとつと言えるだろう。

2020-09-09 15:07:40

貴族院が衆議院の劣化コピーになってしまったら、
やっぱりただのアンケート調査になってしまいます。
しかも政党の利益のために行動するのでは、アンケート調査よりなお悪いことになってしまいます。
帝国憲法下ですら、このようなことが嘆かれていました。

ふぐば🐽 @Fuguba

⑤帝国学士院の互選。満30歳以上の男子で帝国学士院会員の中から4人を互選、勅任された者は7年の任期の議員となる。前記の勅選議員が上述のごとく政党政治の影響を蒙ること顕著である今日に於いて、学識あるの理由のみで貴族院議員となり得るのは、事実上この学士院会員たる議員に限ることに至った

2020-09-09 15:13:51
ふぐば🐽 @Fuguba

⑥多額納税議員 以前は対象者が少数のため人物を得るのが困難だったが、大正14年貴族院令改正により対象を拡大した。これで少し匡正(きょうせい)されたとは言え、選挙によるためおのずから政党的彩色を帯びるに至った。廃止論もあるが、この存置の目的は農業工業商業の代表者を貴族院に

2020-09-09 15:20:53
ふぐば🐽 @Fuguba

入れるためである。 貴族院の権限に専属し衆議院に関渉されない事項は、 ①貴族院令改正増補の議決 ②貴族院議員の資格および選挙に関する争訟の判決 ③天皇の諮詢に応え華族の特権に関する條規の議決 である。

2020-09-09 15:24:00
ふぐば🐽 @Fuguba

貴族院の組織を勅令を以て定めたのは、貴族院の組織を衆議院同様法律で定めては、貴族院が衆議院に対し独立の地位を保有することが困難であるためである。

2020-09-09 15:24:43
🐽すまん寝@秩序回復 @sumannne

清水博士も、事程左様に民主主義の台頭からいかにして国家を守るかに頭を痛めていた様子が分かる。

2020-09-10 10:08:23
ふぐば🐽 @Fuguba

同意。単純に多数意見を募るなら議会でなくて国民投票でこと足りる。その方策が正義に合致しないことは、容易に想像できる。と述べ、衆議院の劣化コピーでは二院制の意味がないという旨、論じています。そっくり現代に適用できる内容であり、とてもひと事とは思われず、読んでいて悪寒がしました twitter.com/sumannne/statu…

2020-09-10 13:31:53
ふぐば🐽 @Fuguba

私は以前は「米国にデモクラシーを教えてもらわずとも、戦前には憲政の常道による民主的政治があった。戦後はそれにも劣る」と述べていた。しかし今後それを言うのはよそうかと思う。ハッキリ、「帝国憲法下の戦前ですら政党政治の弊害が顕著であった。況や現代をや」と言うのが正しいと思うに至った

2020-09-10 14:03:00
ふぐば🐽 @Fuguba

第7章第73條より 我が国は万世一系の天皇と相依りて終始し天皇を持って統治権の主体とする観念は、歴史の成果・国民の確信にして、千古動くことがない。憲法中、国体に関する規定があるといえども国体を創設したのではなく、宣明したに過ぎない。従って国体に関する規定は将来永久に

2020-09-22 01:30:35
ふぐば🐽 @Fuguba

変更することが許されない。仮にこれを変更したとしても、その変更は何等の効力をも発しない。つまり、国体の根本は憲法が左右できるようなものではなく、天皇の統治権は憲法によって成立したのではない。どうして憲法をもってこれを変更できる筈があろうか

2020-09-22 01:32:26
ふぐば🐽 @Fuguba

巻末の文「国民の覚悟」より 以上帝国憲法の大要を説述した。要するに我が国の国体は真正君主国体でありその政体は純真なる立憲政体である。按ずるに我が国は祖宗が国を肇め皇統一系万世相承け、天壌とともに無窮である。三千年来歴史の成果によって国体を醸成し国民の確信牢として動かない。

2020-09-22 01:38:37
ふぐば🐽 @Fuguba

統治権の所在は日月のよう炳(へい)としており、泰山のように動かない。坤輿(こんよ)の上に君主国は少なくないが、大率(たいそつ)上下争奪し強弱抑制の結果である。我が国のような真正なる君主国体は未だその類を見ない。その立憲政体は明治大帝の創設せられた欽定憲法と国体とが結合し、

2020-09-22 01:49:25
ふぐば🐽 @Fuguba

万機大権に出でて百僚は命を承けて国政に参与し各機関はその所を尽くして臣民の権利を確保し、君は民を慈しみ、民は君を奉じて宝祚は愈々堅く、国礎は益々重い。このようにして国運は永遠に発展し千秋万古金甌無欠である。我が国民深くその由る所を思わなくてはならない。冀(こいねがわ)くは、

2020-09-22 01:54:25
ふぐば🐽 @Fuguba

全国民一致団結してこの真正君主国体の精華を擁護し、憲政有終の美を済すことに努力精進せられんことを。

2020-09-22 01:56:19
ふぐば🐽 @Fuguba

以下ふぐば 隅々まで精読するまでは至っていないが、これにて一旦通読。巻末の文「国民の覚悟」は清水博士の決意であり、いかに謬論の多かろうが、国運の天壌無窮なるを堅く信じた赤誠。事実、帝国憲法改正の手続きに則り、国体(憲法)に反する憲法典の成立するや、同年、帝国憲法の精神に殉じられた

2020-09-22 02:00:32
ふぐば🐽 @Fuguba

幾ら繰り返しても足りないが、帝国憲法によって国体が創設されたのではなく、国体に反する憲法典が何等の効力を発し得ないことは、本書でも強調されているところである。帝国憲法を知るには国体を知らなくてはならないし、帝国憲法だけ読んでも意味がない

2020-09-22 02:02:21
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