映画批評家 服部弘一郎氏によるハリウッドにおける西部劇・戦争もの・冒険活劇ジャンルの盛衰のお話

映画批評家としての著書もある(「銀幕(スクリーン)の中のキリスト教」 [ https://www.amazon.co.jp/dp/4873957605/ ])映画批評家 服部弘一郎氏によるハリウッドにおける西部劇・戦争もの・冒険活劇ジャンルの解説 https://eigakawaraban.wordpress.com/
29
サム @Sam03220414

@eigakawaraban でも彼はポリコレのせいで西部劇も冒険活劇も戦争物もなくなったって言うじゃないですか というかスターウォーズとかも冒険活劇に入るのではないのかw

2021-01-02 09:41:16
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@Sam03220414 ポリコレは1980年代以降ですから、西部劇の衰退とは全く無関係です。 あと『スター・ウォーズ』も冒険活劇の一種です。下敷きになっているのは黒澤の『隠し砦の三悪人』ですしね。でも『隠し砦』がまず「時代劇」として受容されたように、『スター・ウォーズ』も冒険活劇以前にまずSFでした。

2021-01-02 09:58:01
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@Sam03220414 冒険活劇(アクション・アドベンチャー)というジャンルはものすごく幅が広いのですが、古典的なパターンのひとつしては、主人公が敵と戦って奪われた宝物を取り返し、お姫様を救い出し、世界に平和をもたらすという感じ。あ、まるっきり『スター・ウォーズ』ですね。

2021-01-02 10:01:20
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@Sam03220414 『レイダース』は映画史の初期にあった連続活劇を、現代の技術で甦らせようとした映画です。連続活劇というのは、主人公が絶体絶命の危機になると「続きは来週のお楽しみ」で次に続くという連作シリーズ映画でした。結果として『レイダース』自体がシリーズ化するんですけどね。

2021-01-02 10:09:49
kuri・作家【「不死の宴 第三部 沖縄編」快調に執筆中!】 @hajime_kuri

@eigakawaraban @itu_wan3781 @Calcijp 「ソルジャーブルー」あたりがターニングポイント作なのでしょうが、ちょうどベトナム戦争でアメリカ人の「正義観」や「セルフイメージ」が地に堕ちていくタイミングとも重なったように感じます。

2021-01-02 11:24:20
安達O@Kindle版「特攻!両国国技館」発売中! @Adachi_O1958

@eigakawaraban @Calcijp 西部劇は、「アメリカ先住民(いわゆるインディアン)」をぶち殺せなくなったから、という理由もありますよ。 戦争物も、「単純にナチスドイツは悪い」「日本は狂っていた」という図式だとドイツ市場や日本市場を捨てることになるし。まあ西部劇も戦争物も、新味がなくなった理由が最大だと思います。

2021-01-02 12:51:36
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@hajime_kuri @itu_wan3781 @Calcijp 『小さな巨人』もありますね。どちらも1970年の映画です。これで「開拓民がインディアンに襲撃されると騎兵隊が駆けつけて間一髪で救出。めでたしめでたし」という映画は作れなくなりました。

2021-01-02 11:39:16
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@Adachi_O1958 @Calcijp 西部劇がアメリカ先住民を無邪気に殺せなくなったのは、1970年の『ソルジャー・ブルー』や『小さな巨人』以降のことでしょうね。ポリコレ以前の話です。

2021-01-02 12:56:11
Kerblombo @kerblombo

@eigakawaraban @itu_wan3781 @Calcijp 後時代がブロックバスターになってからむしろマッチョヒーローが増えた気も。 pic.twitter.com/ANCFpoNwgp

2021-01-02 11:56:49
拡大
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@kerblombo @itu_wan3781 @Calcijp みんな80年代以降ですね。ハリウッドルネッサンスによる、1950年代以前の映画への回帰です。ジョン・ウェイン、チャールトン・ヘストン、ヴィクター・マチュア、バート・ランカスターといった、往年の肉体派スターの現代版。

2021-01-02 12:00:26
ふじき78 @fjk78dead

@eigakawaraban @yoridori_midor 冷戦終わってから007は敵の選定大変そうだなあとは思います。007にエイリアンや虫と戦わせる訳にもいかないし。

2021-01-02 12:57:54
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@fjk78dead @yoridori_midor ピアース・ブロスナン主演シリーズ以降は、冷戦後の世界が舞台になってますね。といっても、エイリアンや虫と戦ってるわけじゃありませんが、毎回敵の設定には苦労している様子が見えます。(ブロスナンのボンドは大好きです。)

2021-01-02 13:04:56
nekotama @nukotama001

平成の怪獣映画の予算、単純な価値換算だと、黄金期の大作の半分くらいだとか。 twitter.com/eigakawaraban/…

2021-01-01 20:01:18
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@Calcijp 西部劇、戦争もの、冒険活劇がダメになったのに、ポリコレは全く関係ないです。話はもっと単純で、予算がかかる企画に、映画会社や制作会社が魅力を感じなくなっただけです。同じような理由で廃れたジャンルにミュージカルがあります。日本だと時代劇と戦争ものが、やはり予算不足でダメになりました。

2021-01-01 15:58:42
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@nukotama001 映画会社が「怪獣映画は特撮にお金がかかるからダメだ!」と言うのに対して、「お金をかけずに工夫して作りますから!」と現場の人たちが頑張ってきた結果が平成の怪獣映画でしょうね。

2021-01-01 20:10:04
ユルドゥルム @yildirimbey7931

@eigakawaraban @Calcijp 横からすいません、これ本当なんですか? 予備校時代に塾講師が西部劇や戦争物や冒険活劇映画が廃れたのは公民権運動やウーマンリブ運動のせいだと話してたんですが。

2021-01-01 17:44:15
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@itu_wan3781 @Calcijp 僕は映画専門学校で映画史の講師だったんですけどね……。 細かく解説すると、西部劇の全盛期は1930年代から1950年代。60年代にはハリウッドの西部劇が衰退して、スタッフやキャストはテレビ西部劇で糊口をしのいだり、イタリア製西部劇(マカロニウェスタン)に出稼ぎに行ったりするようになります。

2021-01-01 18:57:10
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@itu_wan3781 @Calcijp 1960年代のハリウッドは大手映画会社のスタジオシステムが崩壊し、独立系プロダクションによるニューシネマが脚光を浴びるようになります。等身大の日常やアンチヒーローを描いた映画が多いです。大予算のスペクタクル映画も時々作られていますが、戦争映画や冒険活劇のような映画は衰退しました。

2021-01-01 18:59:50
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@itu_wan3781 @Calcijp ハリウッド映画が冒険活劇に戻ってくるのは、1970年代後半から80年代です。コッポラ、ルーカス、スピルバーグ、スコセッシなど、大学の映画学科を卒業した若い映画監督たちがハリウッドの主流になり、往年のジャンル映画の伝統を復活させました。これがハリウッドルネッサンスです。

2021-01-01 19:02:44
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@itu_wan3781 @Calcijp 戦争映画はちょっと特殊なんですが、西部劇、冒険活劇、ミュージカルなどの映画は、全盛期には毎年何十本も作られてたのです。その後もこうした映画が作られていないわけではないのですが(ヒット作もあります)、年に数本では全盛期に遠く及びません。

2021-01-01 19:05:34
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@itu_wan3781 @Calcijp かつてのハリウッドは周囲に畑や牧場がたくさんあって、西部劇が安く作れたんです。これは京都で時代劇が大量に作られた事情に似ています。ロケ地が豊富で地理的に優位だったんですね。でもカリフォルニアの人口が増えて都市化すると、ロケ地がどんどん遠くなり、お金がかかるようになりました。

2021-01-01 19:09:23
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@itu_wan3781 @Calcijp 「ポリコレ」が言われだしたのは1980年代で、過度なポリコレを皮肉った「政治的に正しいおとぎ話」が日本で翻訳出版されたのが1990年代。この頃はもうハリウッドルネッサンス以降ですが、少なくとも西部劇やミュージカルは、遠い過去に滅んだジャンルとみなされていました。

2021-01-01 19:15:11
ユルドゥルム @yildirimbey7931

@eigakawaraban @Calcijp 丁寧な解説どうもありがとうございます。 塾で聞いた話と現実の映画の歴史がだいぶ違うので勉強になりました。

2021-01-01 19:34:05
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@itu_wan3781 @kerblombo @Calcijp 単純に映画会社にお金がなくなって、大規模な冒険活劇や戦争映画が作れなくなっただけですけどね。映画をちゃんと見ていれば、女性が活躍する映画は1930年代からたくさん作られ、1960年代にはアクションヒロイン映画が山ほど作られていたことがわかります。

2021-01-02 09:21:46
服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou) @eigakawaraban

@itu_wan3781 @Calcijp まあ塾の先生は映画の専門家ではないので、しょうがない面もありますけどね。公民権運の結果として、西部劇でアメリカ先住民(インディアン)を単純な悪役として描けなくなったのは事実なので、それとの混同があるのかもしれません。『駅馬車』みたいな映画はもう作れません。

2021-01-01 19:47:30
ナカウラ @nakaura831

@eigakawaraban @Calcijp 西部劇はアメリカ若手俳優からすれば名前を売るには一番出たいジャンルですが あまりに荒唐無稽だと今の観客には受けずまた 広大な風景も年々撮影場所がなくなり 日本で言うVシネマになってしまいました ダンスウィズウルブスで息を吹き返したんですがねぇ

2021-01-01 23:23:26