- 0sak1_m1d0r1
- 1345
- 3
- 0
- 0
事実はみずから語る、という言い慣わしがあります。もちろん、それは嘘です。事実というのは、歴史家が事実に呼びかけた時にだけ語るものなのです。いかなる事実に、また、いかなる順序、いかなる文脈で発言を許すかを決めるのは歴史家なのです。 (E・H・カー『歴史とは何か』p8)
2021-01-29 23:41:16信心深い中世人という姿は、それが真実であっても、真実でなくとも、もう打ち壊すことは出来ません。なぜなら、中世人について知られている殆どすべての事実は、それを信じていた人たち、 (続く)
2021-01-30 00:09:36続き] 他の人々がそれを信じるのを望んでいた人たちが私たちのためにあらかじめ選んでくれたものなのですから。 (E・H・カー『歴史とは何か』p13)
2021-01-30 00:10:31歴史家が用いる言葉それ自体一民主主義、帝国、戦争、革命というような言葉一がその時代の含みを持っているもので、歴史家はこれらの言葉をこうした含みから切り離すことは出来ないものです。 (E・H・カー『歴史とは何か』p31) 「文学」とかいう言葉も近代より前は無かったんだよな、たしか
2021-01-30 01:34:13私自身について申しますと、自分が主要史料と考えるものを少し読み始めた途端、猛烈に腕がムズムズして来て、自分で書き始めてしまうのです。これは書き始めには限りません。どこかでそうなるのです。いや、どこでもそうなってしまうのです。 (E・H・カー『歴史とは何か』p37) これ面白いな。
2021-01-30 01:44:25歴史家というのは、自分の解釈にしたがって自分の事実を作り上げ、自分の事実にしたがって自分の解釈を作り上げるという不断の過程に巻き込まれているものです。一方を他方の上に置くというのは不可能な話です。 (E・H・カー『歴史とは何か』p39)
2021-01-30 01:49:57歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話なのであります。 (E・H・カー『歴史とは何か』p40)
2021-01-30 01:52:03私たちが生まれた途端、世界は私たちに作用し始め、私たちを単なる生物的統一体から社会的統一体へと変えて行きます。 (E・H・カー『歴史とは何か』p42)
2021-02-03 19:01:58社会の発達と個人の発達とは一緒に進み、相互に制約し合うものであります。実際のところ、私たちが複雑な進んだ社会と申しますのは、諸個人間の相互依存が複雑な進んだ形をとっている社会のことなのです。 (E・H・カー『歴史とは何か』p43)
2021-02-03 19:05:09「歴史家を研究する前に、歴史家の歴史的および社会的環境を研究して下さい。」歴史家は個人であると同時に歴史および社会の産物なのです。歴史を勉強するものは、こういう二重の意味で歴史家を重く見る道を知らねばならないのです。 (E・H・カー『歴史とは何か』p61)
2021-02-03 19:07:44いつも偉人というとのは、現存の諸力の代表者であるか、さもなければ、彼自身が現存の権威に挑戦してその想像を助けようとしている諸力の代表者であります。 (E・H・カー『歴史とは何か』p77)
2021-02-03 19:10:08歴史がいろいろの時代に区分されるというのは、事実ではなくて、必要な仮説、あるいは、思想の道具であって、それが光を与える限りにおいて有効なもので、その有効性は解釈の如何によるのです。 (E・H・カー『歴史とは何か』p86)
2021-02-03 19:12:23歴史は特殊的なと一般的なものとの関係を問題にします。みなさんが歴史家であるならば、事実と解釈とを引き離すことが出来ないのと同じように、特殊的なとのと一般的なものとを区別することは出来ないでしょうし、また、一方を他方の上に置くことも出来ないでしょう。 (E・H・カー『歴史とは何か』93)
2021-02-03 19:15:35過去の光に照らして現在を学ぶというのは、また、現在の光に照らして過去を学ぶということも意味しています。歴史の機能は、過去と現在との相互関係を通して両者を更に深く理解させようとする点にあるのです。 (E・H・カー『歴史とは何か』97)
2021-02-03 19:17:24社会科学者や歴史家がその研究対象に巻き込まれているといっても、それは自然科学者の場合とは種類の違うもので、主観と客観との間の関係から生じた問題は遥かに複雑なものである、と申してよいと思いますが、しかし、これで議論が終わったわけではありません。 (E・H・カー『歴史とは何か』104)
2021-02-03 19:20:53今日ドイツ人は、ヒトラーの個人的悪意に対する断罪を歓迎しておりますが、これはヒトラーを生んだ社会に対する歴史家の道徳的判断の結構な代理品になっております。 (E・H・カー『歴史とは何か』113) 皮肉。。。
2021-02-03 19:22:48現代史というものが面倒なのは、すべての選択がまだ可能であった時期を人々が覚えているためであり、これらの選択が既成事実によって不可能になっていると見る歴史家の態度を受け容れ難いと感じているためであります。 (E・H・カー『歴史とは何か』p143)
2021-02-03 19:25:47これと同様に不十分なのは、歴史における偶然はただ私たちの無智の証拠一偶然とは、私たちが知っていないあるものの別名に過ぎぬ一という見解であります。 (E・H・カー『歴史とは何か』150)
2021-02-03 19:27:23この事実と価値という問題の手がかりは、「真理」という言葉の日常の使い方が与えてくれます。というのは、これは、事実の世界と価値の世界とに二股をかけた言葉で、両方の要素で成り立っているからです。 (E・H・カー『歴史とは何か』196)
2021-02-03 19:30:24