#3 思い立ったが吉日

殺させ屋【公式】 @korosaseya

ペンを握る。仕事用のペン以外のペンを握るのは久しぶりかもしれない。

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｢では、ご案内しますね。そのご様子だと、帰り辛いでしょう？｣

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｢えっと……そちらの方は……｣

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｢あぁ、気にしないでください。ただ、見学に来られている方です。なんでも、様々な死に方を見てみたい、だとかで｣

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彼は湯田さんに会釈をした。話す気は無いのだろうか。いつものおしゃべりな彼と対比すると少し面白いなと思ってしまう。

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｢ではこちらがご用意させていただいたものになります！……ふふ、3分クッキングみたいですね｣ pic.twitter.com/OsG6Kkxujy

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湯田さんの前に瓶を置く。今日こそは間違えていないかしっかりと確認した。

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｢まぁ俗に言う……毒薬、ですねぇ｣

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その言葉に、湯田さんは少し動揺した様子だった。 普通に生きていたら毒薬なんて見る機会無いですもんね〜仕方の無いことです。

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｢では私は退室させていただきますね。お好きなタイミングでどうぞ〜｣

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虚ろな目で瓶を見つめる。 毒薬とはかなり色々な種類があると思うが。苦しいのは嫌だ。できるだけ楽に死にたい。

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高望みしすぎか。瓶に書いてある用量を見て、その通りに薬を手に乗せる。

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大丈夫、大丈夫。口に入れて、飲み込むだけ。 それだけだ。

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口に放り込み、用意してあった水で流し込んだ。

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おそらく毒薬の効果ではなく、単純に力が抜けてその場にへたりこんだ。 どんな風に効果が出て来るのだろう。もう毒虫は体内へと入り込んだのだ。

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何故か安心して、また眠りに落ちてしまったらしい。

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時計を見ると、あの時から……10時間ほど経過している？ しかし、体に異変はない。

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何故？正しい量を飲んだはずなのに。 もう一度同じ量を口に入れる。2回目ということもあり抵抗はなかった。

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しかしやはり効果はない。 半ばヤケになった僕は瓶の中の薬をザラザラと飲み下した。

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｢……………ッ、あ｣ pic.twitter.com/Yel6aQuRSR

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パタタ、と口から飲みかけの錠剤がこぼれ落ちた。

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｢はぁ……はぁ………っう、あ"ぁ｣