2021年4月1日

掌小説語り~自作つぃのべる集~64

自作つぃのべるのまとめです。 2018年8月分。
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リュカ @ryuka511

「貴方があの日私を助けてくれたんでしょう?」「知らんな」幼い頃、私は病気で死ぬはずだった。この歳まで無事に生きているのは死神が私を助けてくれたからだと思っている。恩返ししたくて死神の背を追う私は愚かでしょうか #twnovel 仕事に失敗しただけなのに追いかけてくるとは。どうしたらいいんだ

2018-08-01 00:08:05
リュカ @ryuka511

世界一美しいのは誰かと問えば、魔法の鏡は姫の名を挙げる。姫と同じ顔に整形し再び問うと、またしても鏡は姫だと言う。同じ顔なのに何故だ。言葉遣いや仕草も真似た。憎い姫と同じになるのは屈辱だが、世界一の美しさの為ならば #twnovel 鏡の前、自我を失った壮年の女が一人。鏡よ鏡よ「私」を教えて

2018-08-02 00:11:48
リュカ @ryuka511

規則正しく響く秒針の音が無ければ、あまりの静けさに時が止まったと錯覚しただろう。君は銀河を見上げる。「綺麗だね」視線だけを僕に向けそう言った。その横顔を僕は美しいと思った。本当に時が止まればいいのに。君は行ってしまう。伸ばした手は君の肩をすり抜ける。後には汽笛の残響だけ #twnovel

2018-08-03 00:29:27
リュカ @ryuka511

結局、他人同士が分かり合えるはずは無いのだ。他人とは利用するだけのもの、愛などおためごかしの幻想に過ぎない。彼女は自嘲する。あんな夢を見ていたなんて、馬鹿馬鹿しい。気が付けて良かった。彼女が絶望を知った夜 、彼女の世界は変わった。絶望こそ世界の真理。逆に生き易いじゃないか #twnovel

2018-08-04 00:48:42
リュカ @ryuka511

恋した王子と結ばれなければ、彼女は海の泡と消えてしまう。だが王子は隣国の姫との縁談が決まった。故郷も声も捨てたのに、何も得られないまま死を受け入れるなんて。僕では駄目ですか。僕だって王子なのに。人魚は僕に涙を一粒見せると水中に消えてしまった #twnovel 何も知らず幸せそうな兄が憎い

2018-08-04 23:59:47
リュカ @ryuka511

魔王が討たれ平穏が戻った世界に、君は生まれた。あの暗く絶望に満ちた世界を、知らずに済んだのは良いことだ。君の祖先である救世の勇者を、君はとても誇りに思っている。だが彼らが辿った末路を、君は知らない方がいいだろう。本当に恐ろしいのは、魔族や魔物ではなく、人間なのだ。 #twnovel

2018-08-06 01:06:21
リュカ @ryuka511

絶世の美女である海底の歌姫の噂を聞いた王は、早速歌姫を手に入れろと命じた。それは王国に必要なのか?臣下は疑問を抱くが王命に逆らえば文字通り首が飛ぶ。歌姫の正体も解らぬまま多くの兵が海に消えた #twnovel 戦力を失った王国に、海底の民が攻め込む。愚かな人間の王よ。海の命の無念、思い知れ

2018-08-07 00:31:28
リュカ @ryuka511

宰相が水面下で何やら画策していると大臣から報告を受けた。隣国へ秘密裏に横流しされた武具や金銭のリストに愕然となる。私の施政に不満があるなら直接言えと告げてあるのだが。失意のままに宰相の左遷を決めた #twnovel 「王よ、何故です⁉︎」宰相の叫びに大臣は嗤う。愚直な王を操るのは容易い。

2018-08-08 01:06:00
リュカ @ryuka511

貴女は手の届かないところへ行ってしまう。没落する家を救う為の政略結婚。悲しみに満ちた貴女に、召使いの私にはどうする事も出来なかった。もう主従でさえなくなってしまうのだ。この目に映す事すら許されなくなる。貴女の隣で笑うことさえ罪ならば、心など捨ててしまえたら良かったのに。 #twnovel

2018-08-09 00:21:04
リュカ @ryuka511

君がいなくなってから何年かが過ぎた。毎朝、君の写真におはようを言う。笑顔のままの君は少し眩しくて、目を細める。大丈夫、泣いていないよ。君に心配をかけないように、頑張るから。今、幸せだよ、なんて、嘘を吐く。君にも、自分にも。失意のままに君の後を追うのは多分、正しくないよね #twnovel

2018-08-10 00:12:20
リュカ @ryuka511

吸血されても吸血鬼になるとは限らない。大丈夫、私は人間だ。何を食べても美味しくないなんて気のせいだ。そう言い聞かせる私に奴は自分の腕を切ってみせる。「いつまで保てるかな?」滴る血、その甘い香りに我を忘れて、床に落ちた血を啜る。「可愛いよ」屈辱的な褒め言葉さえ、もう響かない #twnovel

2018-08-11 00:20:48
リュカ @ryuka511

坂道を登ってくるのは長年探し求めた仇に間違いない。物陰に身を潜め呼吸を整える。人気の無い夜の闇、絶好の機会だ。仕損じてはならない。緊張に震える。落ち着け、私はあの頃とは違うのだ。奴が通った刹那、月光が射す。短刀を抜く。「覚悟!」 #twnovel 振り向いた奴の顔を、不覚にも美しいと思った

2018-08-12 00:10:07
リュカ @ryuka511

戦支度を進める兄の背を見つめた。戦況に耳を傾ければ、嫌な噂ばかりが聞こえてくる。「母と妹を頼むぞ」肩にかけられた兄の手を思わず掴んだ。「……行くな」困り顔で兄は笑う。「今生の別れではない、そのような顔をするな」父と共に屋敷を出る兄の背は、外の光に飲まれるように消えていく #twnovel

2018-08-12 23:56:57
リュカ @ryuka511

これからの事なんて考えられなかった。地獄のような毎日は終わったんた。畳に寝転がり、蒸し返るような暑さの中で蝉の声を聞いた。ほら、蝉も祝福してくれている。痣だらけの身体を起こして血まみれの包丁を置いた。電話くらいはしとこうか。「お母さんがおへやで死んでいるので来て下さい」 #twnovel

2018-08-14 00:35:55
リュカ @ryuka511

剣技も魔法も中途半端な私が勇者一行に加われたのは、魔力を秘めた踊りの技術を買われての事だった。薄布を纏い、時に神々しく時に艶めかしく、鉄扇を手に舞い魔物を鎮め、人々を魅了する。 #twnvday 「助かったよ」微笑む勇者に疑問を抱く。魔物はともかく人まで魔力で操るのは正しいのか? #twnovel

2018-08-15 00:09:13
リュカ @ryuka511

スラムの朽ちた教会で、君の手を握った。幼心に君を守ると誓う。ここで生きる為に罪を重ねてきた。こんな行為はきっと僕らには許されていないのだろうけれど、どうせ神様は僕らなんて見ていないから構やしない。僕らを見下ろす天使像は無表情で、君の方がずっと僕を救ってくれてると思った #twnovel

2018-08-16 01:12:42
リュカ @ryuka511

「どうしても、行くの?」僕の問に君は淋しげに、けどきっぱり頷いた。「もう手遅れだから」「そんな事ないだろう」「解ってるくせに」気丈な君の笑みに言葉が詰まる。「……行かないで」掠れた僕の声に応える言葉の代わりに、君はただ首を振った。 #twnovel 目が覚める。君は白い花に包まれ眠っている

2018-08-16 23:48:02
リュカ @ryuka511

目が覚めて辺りを見回す。朝焼けに白む街 何もかも今始まったかのような、そんな錯覚さえ覚える。そんなはずないだろうと自嘲した。陽が登り視界が開けてくる。人も、他の生き物も、何もいない。ただ大地と空が広がる世界に一人きり。自分で望んで引き起こした事態だ。慣れれば楽になるだろう #twnovel

2018-08-17 23:57:38
リュカ @ryuka511

亡き人の墓前で君は微笑んでいる。愛しい人と会話しているのだろう。邪魔しないようそっとその場を離れた。いや、君の世界に僕がいない事を見せつけられるのが辛いだけだ。過去は美しくなるけど、現在は悲しく重たい。「泣いてくれてるの?」「え?あぁ…」「優しいのね」僕は優しくなんかない #twnovel

2018-08-19 00:51:01
リュカ @ryuka511

貴方はサーカスのスターで、私は雑用係の道化。ジャグリングも碌にできない私が恋焦がれるなど分不相応だ。舞台袖で、貴方に渡す小道具の造花を持って待機する。袖に戻った貴方に花を渡す。ただの裏方の仕事、それでも心踊る。いつか貴方に本物の花をと願う、しがない道化の夢をどうか笑って #twnovel

2018-08-20 00:58:37
リュカ @ryuka511

ただ手に入れるだけなら簡単だ。侯爵家の力を駆使すればいい。だが、手に入れた後どうしたらいいのだろう。屋敷の奥に閉じ込め、誰の目にも触れさせず愛でるべきか。着飾らせて連れ歩き、私のものだと誇示すべきか。愛しき娘よ、黙っていないで答えてくれ。私の愛はどうしたら伝わるのか。 #twnovel

2018-08-20 23:53:07
リュカ @ryuka511

ロボットの赤い目を、血が通っていない証だと皆は怖がった。だけど僕はロボットが誰よりも温かいと思う。彼は僕の世話をしてくれる。ひとりぼっちな僕の側にいてくれる。それがプログラムによるものでも、機械の熱による温もりでも、僕は嬉しい。何より彼は、僕を絶対に殴らない。 #twnovel

2018-08-22 00:05:52
リュカ @ryuka511

「まじょさま!」幼い深海魚達が歓声を上げ集まる。魔女は海底で深海魚を守り暮らしていた。彼らは何も知らない。それは魔女の贖罪だ。昔、王国に利用され、彼らの文明を崩壊させてしまったのだ。自分を慕う彼らに微笑む。「まだ、終わっていない」 #twnovel 魔女が力尽きた時、深海魚達は深く悲しんだ

2018-08-23 00:22:33
リュカ @ryuka511

こんな展開を迎えるならば、最初から会わなければ良かったと何度も思った。だが、出会った始めを思えば、この恋は私にとって必然だったのだろう。あなたがどう思っているかはわからない。私に囁いた愛の言葉はどこまで演技だったのか。ただ、私を手にかけたあなたの涙を、最期に信じさせて。 #twnovel

2018-08-24 00:02:06
リュカ @ryuka511

黄泉の国へ行ったあなたに会う唯一の方法は、あなたを追う事だと思った。なのにナイフを握る手を、飛び降りようとする足を、あなたが止める。幻のあなたは首を振った。自死じゃ私に会えないよ、と。それは生への未練か、それとも。 #twnovel あなたにまた会えるなら、あなたのいない地獄に耐えてみせる

2018-08-25 00:19:47
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