更新 2023年4月30日作成 2021年5月17日

泛塵の新情報を発見！～世界よ、これがTwitter集合知だ

真田信繁佩用と言われる脇差「泛塵」。泛塵に関する新事実を、考察ガチ勢の審神者（刀剣乱舞プレイヤー）達が１週間でズガガガガン！と掘り起こしてしまった、その過程をまとめました。泛塵好きな方や、調べ物好きな方のご参考になれば幸いです。

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sayonosuke
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泛塵くんの顔を見るのもつらくなっていたのですが、4月下旬になって、２度目の鍛刀キャンペーンが開催されます。

刀剣乱舞ONLINE【運営】 @TOUKEN_STAFF

【「期間限定鍛刀キャンペーン」開催！】メンテナンス終了より、期間限定鍛刀キャンペーンを開催いたします！今回は「泛塵(はんじん)」が期間限定で各資源500の鍛刀に登場いたします！＜開催期間＞4月27日(火)メンテナンス終了時～5月5日(水)23:59 #刀剣乱舞 #とうらぶ pic.twitter.com/ct3dBPBYhZ

2021-04-27 18:47:40

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さよのすけ @sayonosuke

泛塵くん、やっと来てくれましたーーー！鍛刀回数約1000回。長かった……よかった、来てくれて……もうダメかと思ったようううう😭😭 pic.twitter.com/2jLjsUUSeu

2021-05-02 19:01:54

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浮かれた私は、ネットで泛塵のことを検索。
泛塵の元主が野呂介石であるということを知り、野呂介石のことを調べます。
そして、野呂介石の前の所有者である伊藤蘭嵎の名前にたどり着きました。

さよのすけ @sayonosuke

昨日やっと泛塵くん鍛刀できた勢いで少し調べたら、新事実を発見しました！泛塵、質に出されたことがあるっぽいです。 18世紀末、紀州藩の儒学者・伊藤蘭嵎が差料としていた刀が、死後、質に出された。それを、彼の元教え子で医者・画家の野呂介石が買い取り、大切にした。それが泛塵のようです。

2021-05-03 21:13:35

さよのすけ @sayonosuke

順を追ってお話します。泛塵の基本情報の出典はこちら。江戸時代後期の医者・橘南谿の随筆「北窓瑣談」。「私の友人で紀州藩の藩士の野呂九一郎（介石）が脇差を秘蔵している。『泛塵』『真田信繁が持っていた』『国広が磨り上げた』との象嵌銘が入っている、宇多国次の作だ」といった内容です。 pic.twitter.com/cST1hx4Z7v

2021-05-03 21:14:49

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さよのすけ @sayonosuke

「北窓瑣談」の内容自体は、福原酔剣「日本刀大百科事典」に載っているのですが、実は出典表記が間違っています。「人見蕉雨『黒甜瑣語』」になっている。「瑣」しかあってない！　偉い先生もたまには間違える。で、正しい出典を見つけられたのが、kirik*さん。すごい！！ twitter.com/kirik_nya/stat…

2021-05-03 21:15:12

kirik*🌱周防国 @kirik_nya

泛塵くんを実際に見た人の話。『北窓瑣談』より。この子現存してるんですかねぇ……。 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid…

2021-02-28 15:26:36

さよのすけ @sayonosuke

さらに、文化元（1804）年の「北窓瑣談」の手書きの写本に当たって、「野呂何某」が「野呂九一郎＝介石」だとつきとめられたのがymur@さん。泛塵が刀剣乱舞に実装後わずか数か月で、刀剣研究者も知らなかった新たな来歴を明らかにしていく……審神者の調査力のすさまじさよ。 twitter.com/yumiuri_99/sta…

2021-05-03 21:16:22

ymur＠ @yumiuri_99

さて問題は該当箇所の冒頭です。活版印刷されたもの（有朋堂文庫版）は「野呂某」となっていますが（ネットにある泛塵の記事も、見た限り記述あるものはすべて「野呂某」でした）、原本らしきものでは「野呂九一郎」となっております。おそらく印刷するにあたり、個人をぼかしたのでしょう。

2021-03-03 16:52:48

さよのすけ @sayonosuke

泛塵の所有者だった野呂介石は、江戸時代後期の紀州藩（和歌山）の藩士で、医者・画家。画家としてはそこそこ評価が高く、その生涯について戦前のものですが研究論文があります。野呂介石伝の研究 tobunken.repo.nii.ac.jp/?action=reposi… 野呂介石伝の研究２ tobunken.repo.nii.ac.jp/index.php?acti…

2021-05-03 21:21:31

論文には続きがありました。
野呂介石伝の研究３

当時のツイートは紛らわしいので消してしまったのですが、下書きが残っていたので、再現します。

【ツイート再現】
論文２には
「南紀徳川史の伊藤蘭嵎の条には、蘭嵎が真田幸村遺愛の塵払という太刀を佩刀としていたこと、没後それが典物（注：質物）となっていたのを介石が贖って所持していたことなどが記してある」
とあります。
伊藤蘭嵎（～1778）は紀州藩のお抱え儒学者で、野呂介石は十歳頃に彼に学びました。

南紀徳川史を調べれば、さらに正確な情報がわかるのかもしれません。
大阪の図書館は緊急事態宣言で閉まっているので、行けないのがもどかしい。

泛塵くんを手に入れて浮かれて、一晩でネットで調べた範囲なので、粗い仮調査で申し訳ないです。

脇差と太刀、「泛塵」と「塵払」という食い違いはありますが、
①号に「塵」が入っていて
②真田の刀剣で
③野呂介石が持っていた
と、これだけ条件が一致するなら、 「塵払」＝「泛塵」と考えていいでしょう。

つまり、伊藤蘭嵎が1778年に亡くなった後、その差料の刀剣が質に出された。それを、かつての教え子の野呂介石が買い取ったのが、「泛塵」だろうとわかります。

泛塵くん、君はゴミなんかじゃない……儒学の先生の死後、質に出されても、彼に縁がある人が買い取って、大切にしていたんだよ。

南紀徳川史に泛塵の新情報が！

kirik*🌱周防国 @kirik_nya

@sayonosuke へええ～！出典迷子になってたのですか、今まで知りませんでした！道理でというか、何かよくRTされてるなーと思ってましたｗ実は東京国立博物館のデジタルライブラリーの『圭山随筆』という本で見つけたのです。他の随筆からの抜き書き集で、引用元書名も載ってました。 webarchives.tnm.jp/dlib/detail/46…

2021-05-03 22:03:18

さよのすけ @sayonosuke

@kirik_nya 出典迷子だったんですよ。だから、ネットの情報も、日本刀大百科事典を丸写ししたものばかりで。 kirik*さん、本当に広く文献を渉猟していらっしゃる。尊敬します。超能力のようにどこからともなく文献を探し出して示されるの、かっこいいです。

2021-05-03 22:07:46

kirik*🌱周防国 @kirik_nya

@sayonosuke いえいえ！東博デジにて「徳川宗敬」で検索かけると垂涎モノの刀剣本がどっさり出てくるので、暇なときに眺めてる感じです。あ、あと『南紀徳川史』ネットにありますよ。 archive.org/search.php?que…

2021-05-03 22:15:21

さらっとおっしゃってますが、刀剣関係の書物を片っ端から読み漁ってるの、すごすぎる。

さよのすけ @sayonosuke

@kirik_nya おお、南紀徳川史！海外までは調べていませんでした、ありがとうございます。

2021-05-03 22:18:07

さよのすけ @sayonosuke

@kirik_nya ありました！　新情報モリモリです、ありがとうございます！（日本語で書物の中身のワード検索できるとか、めちゃくちゃ優秀ですね、このデジタルアーカイブ。） archive.org/details/nankit…

2021-05-04 01:05:25

kirik*🌱周防国 @kirik_nya

@sayonosuke お疲れ様です～！調査が早い！『泛塵刀記』という由緒書きがある？あった？みたいですね。現存してるといいのですが。

2021-05-04 01:32:04

さよのすけ @sayonosuke

「南紀徳川記」には、泛塵について以下の記述があります。・紀州藩の儒学者・伊藤蘭嵎が泛塵を佩刀としていた・「泛塵」は「ちりはらい」と読み、水に刃を向けると流れてきた塵を両断するからだという・伊藤蘭嵎の息子が高野山の方へ質に出したのを、野呂介石が買った archive.org/details/nankit… pic.twitter.com/YUVqvZqJ7N