医療現場にチェックリストを
アナタはなぜチェックリストを使わないのか? という本を読んだ。作者が外科医だ、ということを買うまで知らなかった。コンサルタントだとばかり思っていたけれど
2011-08-07 12:33:22「チェックリストはちゃんと作れば効果があるんだよ」という、内容はといえば逸話ばかりなのだけれど、「ちゃんとしたチェックリストを作らないとそもそも役に立たないし使ってもらえない」という、作者自身の失敗談が一番役に立った
2011-08-07 12:34:43役に立つチェックリストは本当に役に立って、それを作るのは大変なのだそうだ。逸話を読んで、なるほどたしかにそうなんだろうな、とは思うのだけれど、じゃあどうやればそれが作れるのか、そこが書いていない。業界ばらばらだから仕方がないにせよ
2011-08-07 12:35:38チェックリストとは要するに、場面、場面ごとに、何が一番大切で、何が忘れられやすいのか、落としてはいけない物事を最小限、できれば9つ以内のリストにまとめたものだけれど、その文言を動書けばいいのか、場面の切り分けをどうやればいいのかが知りたかった
2011-08-07 12:38:02たとえば「患者さんの気道に問題がないことを確認する」などとチェックリストに記載したところで、「問題がない」とはどういう状態なのか、読む人によって解釈が多様すぎて、それでは役に立たない。具体的に、たとえば口を全開にして指が縦に3本入ることを確認するとかのほうが、たぶん正しい
2011-08-07 12:39:27「もしこうなったら?」をどう分けるのかがよく分からない。飛行機だったらあらゆるトラブルみたいだけれど、トラブルになってから本を開くのだから、何らかの検索ルートが同時に用意されていないと厳しい。昔書いた奴は患者さんの症状別だったけれど、あれにしたって検索性には問題を抱えていた
2011-08-07 12:40:33「まず大事なことはこれだ」と書くのがいいんだと。航空機のエンジン停止時チェックリストの最初には、「大事なことは飛行機を飛ばし続けることだ」と書かれていて、エンジンの再起動よりも、墜落させないことが大事なんだとパイロットにあらかじめ指摘する
2011-08-07 12:42:16プログラムの単体試験にも通じる、いい話だ RT @medtoolz: たとえば「患者さんの気道に問題がないことを確認する」などとチェックリストに記載したところで、「問題がない」とはどういう状態なのか、読む人によって解釈が多様すぎて、それでは役に立たない。具体的に、たとえば口を全開
2011-08-07 12:43:13このへんは自分たちの鑑別診断リストにしても、頻度順に作る人もいるし、病理的に考えやすい順番で作る人もいる。自分はいつも見逃したら死にやすい順番でリストを作る。脳梗塞っぽい患者さんを見たときには、まずは低血糖から検索するとか
2011-08-07 12:43:35「病院でもチェックリストは役に立つ」と、現役の外科医が本に書いていて、たしかにそのとおりなんだろうと思う。内科でも誰か作って。。
2011-08-07 12:44:41チームがお互い自己紹介するのは大事だと思った。やってないけれど。うまくいく手技なら、自己紹介しなくても何ら問題ないけれど、状況が鉄火になったそのとたん、まわりの人を名前で呼べるようにしておくと、業務が良く回る
2011-08-07 12:46:35自分の仕事の場合時間が一番クリティカルなので、3秒で確認できる事が最初、続いて発生頻度順です RT @medtoolz このへんは自分たちの鑑別診断リストにしても、頻度順に作る人もいるし、病理的に考えやすい順番で作る人もいる。自分はいつも見逃したら死にやすい順番でリストを作る
2011-08-07 12:51:52@medtoolz 訳者です。アメリカで医学生しています。以前からファンのmedtoolz先生にも読んでいただけて嬉しいです。ブログ、愛読しています。
2011-08-08 12:10:56@medtoolz 「チェックリスト作成」の一般的なマニュアル化は難しいですね・・・ どの分野にも当てはまるように一般化すると、抽象的になりすぎてしまいます。でも本書から僕なりにエッセンスを抜き出すなら、こうです:
2011-08-08 12:11:23チェックリストというか、何か言いたいことをリスト化していくと、それがうまくいっているときほど「馬鹿っぽく見える」のが、個人的には難儀だなと思う。シンプルに過ぎて、それが正解なのに、それが故に「こんなの当然だろ?」と言われてスルーされる
2011-08-08 12:34:11チェックリストの本は、実際に気合いを入れて作ったリストほど、案外スルーされて、結局「当然」と看破されるそのシンプルなリストを、どこまで狭い公差の範囲に追い込めるのかが勝負所になる。
2011-08-08 12:35:09畳のヘリを歩くのは簡単だけれど、ヘリをじょうくう100m に持って行かれると、もう歩けなくなる。自分が普段どう歩いていたのか、思い出そうとして、何も浮かばなくなる。そうした頭真っ白状況になったときに、普段の当然を、リストとして持っていると、もしかしたら役に立つ
2011-08-08 12:36:14リストというのはだからこそ、権威筋の人が音頭取って作らないといけない。そうしないと最初のシンプルさが、結果として需要閾値を上げてしまうから。でもお爺ちゃんたちは「昔の俺はすごかったんだぜ」をやりたがるから、チェックリストは「致命的な疾患を除外する。俺なら一目で分かる」とかになる
2011-08-08 12:38:14そのあたり、飛行機パイロットは職人であって、正しい手順を正しく再現されることが求められて、飛行の都度創意工夫するパイロットなんて、危なくて旅客機任せられない。医療はこう、学生の頃は「科学者」としての教育を受けて、実務は職人だから、そこに変なずれがある。
2011-08-08 12:40:19CTが使えて、それがあると確定診断が楽勝なのに「CT使うな。病歴と触診でいける」と教えるのはやはり何か違う。自動操縦が使える状況で、あえてアシスト抜きで着陸するようなもので。非常対応として、シミュレーターでそれを教える必要はあっても、実務でそれをやらせちゃいけない
2011-08-08 12:42:26