縦スクロールマンガは日本や世界のマンガ市場を席巻するのかという話
なおこれらの動きは言うまでもなく、将来を見据えた投資、リスクヘッジのようなものであり
日本のマンガは縦スクロールに移行すべき、という0か100かの話ではない。
おそらくは日本のコマ割り式のマンガと、縦スクロールのマンガは似てはいるが別物としてそれぞれ発展を遂げていくのだろう。
良い記事なので興味のある人は是非読んでもらいたい。webtoonをどう捉えているか、にも触れている。
とくに重要なところだけ引用する
ウェブトゥーンに勝てる?
加登:
「日本漫画はクオリティが高いから、負けるはずがない」という人たちもいますが、デジタルに限ってはそうともいえない、とわたしは考えています。
ケータイ片手に読む人たちは、ライトにコミックを消費したい人たち。カラーの雰囲気を楽しみながら、でも文字が多いものは避ける。ウェブトゥーンを読むのはそういう層の人たちではないでしょうか。
森本:
インドネシア、ベトナムなど物価が安いところでは書籍の値段も安いこともあり日本の出版社が現地でライセンスビジネスを拡大していくことがなかなか難しいという面はあるのかなと思います。
一方で韓国や中国はそういう国に対して、デジタルでガンガン攻めていくんですよね。
それらの国の人は本屋にはあまり行きませんがスマホはたいてい持っています。ユーザーからしてみれば、スマホで手軽に楽しめる娯楽がほぼ無料で簡単に手に入るわけです。しかもカラーで見栄えがいい。
そんなわけで、ウェブトゥーンは東南アジアのみならず北米など先進国でもどんどん受け入れられ始めています。
これはサムスンなどが台頭しはじめたころのテレビとか携帯電話といったエレクトロニクス業界で起こったパターンととても似ています。
東南アジアでやられているうちはまだ大丈夫といって安穏としているんですが、気がつけば日本以外の全世界を席巻される可能性はあると思います。
だから、「日本の漫画はクオリティが高いから負けるはずがない」という考え方は非常に危険だと思っています。
――あぐらをかいていてはダメということですね。
森本:
これはよく言われていることですが韓国では国内需要が限られているから海外に自国のエンタメカルチャーを輸出することを常に念頭に置いています。日本でよく目にするようになったK-POPや韓国ドラマもそうですよね。
――そして、実際にアジアである程度、成功を収めている。
森本:
怖いのは、漫画=「カラーで縦読みが当たり前」という具合に文法を書き換えられてしまうことですね。
気がついたら白黒主体で右開きの日本漫画スタイルこそが異質なものになっているという状況になるのが恐ろしいです。
縦スクロールは紙媒体に残すことを前提とせずに今主流のスマホの形に最適化されたものなので、スマホの形が変わったら廃る可能性もゼロではないと思ってます。むしろフルカラーであることのほうが注目すべき点なのかなと。作家さんが安心して物語作りに専念できるような環境を模索しまーす。 twitter.com/keiichisennsei…
2021-05-28 12:39:29今週の授業でデジタルマンガに関わる人がゲスト講師をしてくれた。驚いたのはボクらの見えている世界からはうかがい知れない「縦スクロールマンガの台頭」だ。 月間で1億円も売り上げる作品も結構あるとか。読んでいるのは10代20代が中心で50代のマンガ関係者からはその実感が湧かない。(続く
2021-05-28 12:00:49中国のコミック書籍を最近買ってるんですが、ウェブ媒体縦スクロールリリース後にフルカラーで書籍化してるのを複数冊持ってるので、紙媒体に残さない前提の〜という認識なら、やはりかなり相当に市場認識がマズいのではと思いました……。 twitter.com/ym_suzuki/stat…
2021-05-29 09:46:01@ka_za_mya 人気作品はコマの組み替えをして紙媒体にすることがあるのは重々承知です。 コマの組み替えをするという作業が発生する時点で、紙媒体を前提としていないよね、という意味です。 ご心配おかけしました。
2021-05-29 11:52:34紙の単行本では日本のマンガ人気は海外でもかなりのものだが、いずれ紙のマンガを買える層は頭打ちになる。
なお講談社は海外向けにサブスクでのマンガ読み放題アプリ、Mangamoと提携している。
これはwebtoon対策というよりは海賊版マンガサイトへの対抗策として月額4.99$と、初回2ヶ月トライアル無料と安価な価格設定で提供している
少し本題からそれる(ので読み飛ばしてもいいです)
webtoonは紙に印刷しないでデジタル向けに書いてるからか、最近の作品のなかにはflashのように動いたり音が出たりといった仕掛けの作品もあるとか。でもそれって日本の見開き作品でもできるからなあ。そこは優劣の差にはならない
2021-05-30 18:12:39講談社のコミックDaysで連載されていた殿さまとスティッチ。
webとアプリでの連載ではページ内でスティッチたちがgifアニメのように動く仕掛けが存在する。
もちろん紙の単行本では動かないため、おまけとしてパラパラ漫画がついている趣向あり。
意外に思うかも知れないが、電子版の単行本は存在しない。
各社の電子書籍サイトのビュアーで動きを実装するのは厳しいからだ。
なので現在、殿さまとスティッチで非公開となった話で動くスティッチたちを新規で読む手段は存在しない(連載当時先読み課金した人を除く)。
動きや音と連動させる仕掛けはwebマンガやマンガアプリ媒体なら可能ではあるが、単行本などで売上を回収するビジネスモデルとは相性が悪いのがネックといえる。
ただし。スマホにかわるデジタル媒体に移行した際に、音声や動きを自由につけられる仕掛けつきのマンガが一定の支持を得る可能性はあるかもしれない。
その際にはコンテンツ自体の質よりも、ユーザーを多く抱えられるプラットフォームとしての規模の差がものをいうのだろう…