2021年4月以降、英語のだいたい新刊ノンフィクションを読んでみた記録

2021年4月にツイートで読書記録を開始。 英語を読めない人には意味がないし、読める人は他にいくらでも情報源があるので、自分以外にはあんまり意味がない。 あとサムネ詐欺。
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エミコヤマ @emigrl

フェミニスト地理学者Leslie Kernが去年出した「Feminist City」基礎的だけど読みやすくて良い。女性にとって住みやすい都市がどういうものなのかという結論は出せないけど、いまの都市にどういう問題があるのか、それを改善しようとする試みにどういうものがあり、またどういう弊害があるのかなど。 pic.twitter.com/Lw83lFzFZ2

2021-04-03 02:11:49
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エミコヤマ @emigrl

Talia Lavin著「Culture Warlords」も最近読んだ。ユダヤ系クィア女性ジャーナリストが白人至上主義者のオンラインネットワークに潜入調査した本。インセルになりすまして男性至上主義グループに入ったり、ミリシア家庭で育った女性として白人専用出会い系アプリで大物右翼を釣り上げたりすごい。 pic.twitter.com/ZZE8XeZ8ul

2021-04-03 02:16:30
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エミコヤマ @emigrl

あと、帰り際にいつものように「無事に家に着いたらメールしてね」って言い合ったんだけど、それをタイトルに取った「Text Me When You Get Home」という本もあるくらい、ジェンダーが深く関わるやり取り。シス男性同士が別れ際にお互いに言うことはまずない。って「Feminist City」に書いてあった。 pic.twitter.com/GaM6CnTVie

2021-04-03 16:01:40
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エミコヤマ @emigrl

「Feminist City」に書かれていることは、わたしにとってはほとんど当たり前のことばかりなんだけど、その当たり前なことが特権のある側(白人/シス/男性/健常者etc.)にとっては当たり前ではない、というのは分かっているはずなのについ忘れてしまうので、フェミニスト地理学いいなって思った。

2021-04-03 16:07:10
エミコヤマ @emigrl

Kayleen Schaefer著「Text Me When You Get Home」の最初のページから。「家についたらメールしてね」という言葉を交わすのはお互いの安全を確認するためだけではない。安全のためだけでなく、女性が一人で歩いているだけで望まない注視や干渉を受けることを踏まえたうえでの連帯の表明でもある、と。 pic.twitter.com/4fmONJ22XT

2021-04-03 16:14:36
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エミコヤマ @emigrl

Legacy Russel著「Glitch Feminism」 amazon.co.jp/dp/1786632667/ 2000年代初頭に一部で流行っていたサイバーフェミニズムの、黒人フェミニストによる現代的再定義。システムにおけるグリッチとしての女性・非白人・クィアという視点から、ちょっと懐かしい感じの議論を現在に更新している。

2021-04-10 15:46:03
エミコヤマ @emigrl

Scott E. Page著「The Model Thinker」日本語版があったのでそちらにリンク。 amazon.co.jp/dp/462785501X/ 数理モデルの教科書的な。読んでるうちは意味はわかるけど使いこなせる気がしない。まあ考え方を知っていれば、自分では使えなくても使える人を呼んでくることはできるw

2021-04-10 15:49:26
エミコヤマ @emigrl

Alex Zamalin著「Against Civility: The Hidden Racism in Our Obsession with Civility」 amazon.co.jp/dp/B0838JNWR9/ 奴隷解放運動から公民権運動、そして現代の反人種差別運動までの歴史を通して、礼儀正しい行動を求める主張がどれだけ制度側の暴力を黙認しつつそれへの抵抗を潰してきたかの歴史。

2021-04-10 15:54:44
エミコヤマ @emigrl

Jane Dailey著「White Fright: The Sexual Panic at the Heart of America's Racist History」 amazon.co.jp/dp/B085DJH2ZM/ 奴隷制、リンチや人種隔離制度などそれぞれの歴史的段階で「人種間の性的関係や婚姻」が人種差別肯定派だけでなく差別反対派の白人リベラルにまで共有された…

2021-04-10 16:03:25
エミコヤマ @emigrl

…脅威だったことがこれでもかと示されている。第二次世界大戦でヨーロッパに白人と黒人の兵士が派遣された際、米国で通用していた人種隔離が適用できず、現地の白人女性たちと付き合う黒人男性を見た白人たちのパニックの記録など勉強になる。人種隔離の論理がトランス女性排除論ともよく似ている。

2021-04-10 16:03:25
エミコヤマ @emigrl

Mark Neocleous著「A Critical Theory of Police Power」 amazon.co.jp/dp/B08N4K4NJP/ 古典的名著とされる本がBLM運動の盛り上がりをうけて再版。主にイギリスにおける、労働運動のコントロールを目的とした警察組織の発生(ポリシー=行政政策とポリス=警察の分離)と発達についての分析。

2021-04-10 16:10:27
エミコヤマ @emigrl

Ijeoma Oluo著「Mediocre: The Dangerous Legacy of White Male America」 amazon.co.jp/dp/B07XBQM9MW/ 知り合いの本だけどようやく読んだ。白人男性がダメというのでなく、ダメな白人男性が白人男性だというだけで仕事を任されたり責任を取らずにすんでいるせいでみんなメーワクしてる的な。

2021-04-10 16:16:42
エミコヤマ @emigrl

David Graeber著「The Utopia of Rules」 amazon.co.jp/dp/B00MKZ0QZ2/ 人類学者によるビューロクラシーの研究。巨大な行政機関だけでなく身近な組織においてもいつのまにかさまざまな規則や書類が増えている(そしてめったに減らない)現象について。

2021-04-10 16:22:42
エミコヤマ @emigrl

Chase Purdy著「Billion Dollar Burger」 amazon.co.jp/dp/B07YW5SBZ9/ 動物の屠殺を必要としない培養食肉技術の最前端。コストを下げるには大量生産が前提となるけど、現時点ではスケーリングが難しいみたいな。現行の農業への影響も大きい。ビーガンがはじめたベンチャーから大企業への選手交代も近い。

2021-04-10 16:27:57
エミコヤマ @emigrl

と、最近読んだ本(のうち、少なくともまあツイート1つ分くらいの紹介はしてもいいかなくらいには良かったもの)についての連続ツイート。こうしてツイートしておくと、あとで「あれなんだったかな?」と思い出すときに自分のツイートを検索できるようになるので便利かも。

2021-04-10 16:29:13
エミコヤマ @emigrl

Adam Jentleson著「Kill Switch: The Rise of the Modern Senate and the Crippling of American Democracy」 amazon.co.jp/dp/1631497774 長い任期と1/3 ごとの改選、各州に均等に割り振られた議席数などの仕組みによってポピュリズムへの安全弁として設計された上院が機能不全に陥るまでの歴史。…

2021-04-18 15:06:54
エミコヤマ @emigrl

…多数決の原則の枠内で少数派にも討議の機会を与えていた上院内のルールが、両党の議員の支持を受けていた公民権法成立を数十年遅らせるなど奴隷制擁護論者や人種隔離論者によって悪用され、ほぼあらゆる法案がたった一人の匿名の議員の反対によって阻止できる現在のフィリバスターに変形してきた。…

2021-04-18 15:06:54
エミコヤマ @emigrl

…共和党のミッチ・マコネル上院院内総務によって完成された現在のルールにおいては民主党と共和党のどちらもほとんど重要法案を通すことができないけれど、保守は司法や行政を握れば自分たちの主張(政府の縮小)を大方実現できるのに対し、リベラルが求める変革は立法を必要とするので不利。…

2021-04-18 15:06:54
エミコヤマ @emigrl

…著者は民主党のハリー・リード院内総務の元スタッフで、モルモン教徒であり口下手で大人しい印象のあるリードが党内トップに上り詰めた裏にあった豪腕伝説(ネヴァダのカジノからマフィアを追い出して命を狙われたりとか)がすごい。

2021-04-18 15:06:54
エミコヤマ @emigrl

Koa Beck著「White Feminism: From the Suffragettes to Influencers and Who They Leave Behind」 amazon.co.jp/dp/1982134429/ 最初のあたりは予め批判を予想しての言い訳じみた記述やなんでもかんでもwhite feminismとまとめすぎな感じがしたけど、進むにつれて具体的な指摘に納得いった。…

2021-04-18 15:15:46
エミコヤマ @emigrl

…白人フェミニズムとはもちろん白人のフェミニストによるフェミニズムのことではなく、白人/中流/異性愛者/健常者/シスetc.の中心性を暗黙の前提としたフェミニズムのこと。シェリル・サンドバーグがその典型だけど、そんなわかりやすすぎる例だけでなく広い範囲から具体例を取り上げている。

2021-04-18 15:15:46
エミコヤマ @emigrl

Adrian Daub著「What Tech Calls Thinking: An Inquiry into the Bedrock of Silicon Valley」 amazon.co.jp/dp/0374538646/ ちょっとまえにペイパルマフィアとの抗争wにあたってシリコンバレー系の本(批判的なものもビジネス本みたいなのも)を読み漁っていたときにはまだ出版されてなかった。…

2021-04-18 15:23:15
エミコヤマ @emigrl

…シリコンバレーの起業家やVCたちに影響を与えた思想的なルーツとしてマーシャル・マクルーハンやアイン・ランドなどを挙げて起業家らの言動と繋げている。でもかれらはそれらの思想をちゃんと継承してはいない様子。短い本。

2021-04-18 15:23:15
エミコヤマ @emigrl

Michelle Bowdler著「Is Rape a Crime? A Memoir, an Investigation, and a Manifesto」 amazon.co.jp/dp/1250255767/ 自宅でレイプにあい病院で証拠保全に協力したけれど警察がまともに捜査しなかった被害者が数十年かけて社会による性暴力の扱いの向上と自身の証拠がその後どうなったのか追跡した本。…

2021-04-24 05:24:35
エミコヤマ @emigrl

…序盤で「わたしは重罰化を求めているわけではない」と明言しつつ、性暴力はほかの犯罪に比べて被害者の証言が疑われたり落ち度をあれこれ言われたりするばかりか、警察もまともに捜査しようとしないのはどうしてなのか、レイプは犯罪ではないのか、と問いかける。サバイバーはトリガー注意。

2021-04-24 05:24:35
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