【ホビージャパン】経済学者「原則取引自由の社会で転売を取り締まりするのは社会にとってもコスト」「転売対策は自分たちでそれなりの努力をするのが優先」
転売問題がまた火を噴いているようだけれども、 まともな経済学者で、価格は供給と需要が釣り合う(S=D)となるようにきまるべきである、(よって転売屋は善)と無条件で主張する人はいないと思う。
2021-07-27 10:07:30別にメーカーなりなんなりが、S=Dとなる価格よりも低価格で流通してほしい、と思うのも勝手。ただ、S=Dとなるような低価格で流通させようとすれば転売屋が生じてくるのは社会法則という名の自然現象のようなもの。
2021-07-27 10:07:30じゃあ、転売屋を取り締まるべし!という議論も出てくるが、原則取引自由の社会でそう取り締まりするのは社会にとってもコストである。(立法コスト、警察コスト、裁判コスト etc...)
2021-07-27 10:07:30そういったビジネスモデルを維持したい産業は、自分たちでそれなりの努力をすることが優先だろう。もっと潤沢に供給するとか、製品によっては転売するのが技術的に大変にするとか。当初はあまり生産しないふりをして後で増産して転売屋に痛い目に合わせるとか。
2021-07-27 10:07:31供給を増やすのが難しい入場券関係の方では、本人確認や購入者の身元確認をするなどの努力をしたうえで、法律の助けを借りている。法律もそれを求めている。 (いわゆるチケット転売規制法 第2条第3項、第5条など)
2021-07-27 10:07:31今回話題になっている産業では、転売屋防止のためにどういう努力をしているのだろうか? 転売ダメよというのはかまわないが、多くの人が転売違法、取り締まれというのはすごい飛躍がある。
2021-07-27 10:07:31「きちんと」経済学を学べば、転売どうのこうのいっているツイートのほとんどが*どちらの立場のものでさえ*読む価値がないものだとわかるだろう。もちろん人々の感情を知るために読んでみる価値はあるかもだけれども。 twitter.com/takekan/status…
2021-07-28 05:02:25話題の転売 ・経済学で転売の機能が分析できても、「ふざけるな転売め!」の感情は解消されない。 ・そして、その感情をバカにする転売擁護論はナイーブな生兵法。気持ちの存在を拒否する教条主義。 ・転売非難も擁護も、理屈と感情の峻別「精神の鍛錬」が足りないように思える。個人の感想です。
2021-07-27 18:51:32「本当に欲しい人」が手に入れられるようにしたい、と言う意見は多いのだが、「本当に欲しい人」と言うのをどう測るんだい?と言うのは真っ当な疑問。と言うよりもこの言葉を聞いてそこに考えが至らないのであれば、経済学をきちんと学んだとはいえない。
2021-07-28 05:02:25で、経済学をちょっとかじった人は、「本当に欲しい人」=「支払ってもいう金額が多い人」 と言うのに飛びつく。これに飛びつけば、大抵は「転売OK」の結論になるのだが、生産者がこの基準で「本当に欲しい人」を測らなければいけない理由はどこにもない。
2021-07-28 05:02:26ただ、この基準はすごい強力で、これ以外の基準で「本当に欲しい人」を判別して売ろうとしても、「そこまで欲しいわけでない人」が「本当に欲しい人」のふりをするのでうまくいかない。
2021-07-28 05:02:26そう言うことをするためには、転売ができなくなるような工夫をした上で、ファンクラブなどを作って各人の活動をよくモニターして配分するとか言う工夫がいるだろう。(感動的なファンレターを書いたとか? それでも金を使って誰かに代筆させるという抜け道も考えられるが。)
2021-07-28 05:02:26ここで挙げられている論文(結構おもしろい。学生に読ませたことがある)では、「その財を手に入れるのに支払ってもいいと主観的に思っている金額」と「予算制約」の二つを考えている。普通の経済学だと、両者のうち小さい方が観察される(現実の購買行動に顕れる)「支払ってもいいという金額」になる twitter.com/takekan/status…
2021-07-28 05:02:27面白いのは、例えば、支払意思額と"評価"が相関しない状況。レア商品は転売屋や金持ちではなく、それに値する"正当な"愛好者が買うべきという社会的選好を表すために予算制約を入れる場合(doi.org/10.1093/restud…)。 ・このときは、売値を均衡価格(需要=供給となる水準)よりも、低くつけておく
2021-07-27 18:55:34が、生産者は「支払ってもいいと主観的に思っている金額」が高くても「予算制約がきつい人(お金がない人)」は、「本当に欲しい人」と考えて、そういう人にも行き渡るようにしたいと考えている。経済学一知半解の者はこういったことを笑い飛ばすが、生産者がそうしたいと思うのは自由。
2021-07-28 05:02:27で、どうすればいいのかとこの(一流の)理論家が分析したところ、時には定価を安くして転売を許した方がいいこともあるという結論。定価を安くして抽選制にすれば、運が良ければ本当に欲しい貧乏人にもチャンスがある。
2021-07-28 05:02:27ただそれだけだと、お金もあってすごくすごく(1億円払ってもいいというくらいの)本当に欲しい人が運悪く買えない可能性がある。そういう人は運良く手に入れた人たちでWTSが低い(そこまで欲しいというわけでも無い)人から、転売市場で買ってきて貰えばいい、というからくり。
2021-07-28 05:02:28なるほどねという論文。結構好きな論文の一つ。 本当に欲しい人に買って欲しい、からといってすぐに転売禁止、ということになるかは明らかではない。
2021-07-28 05:02:28ただしこの論文では 転売が許されればどこからか転売目的の人間が大勢現れてくるということが想定されていない。この論文の転売とは、その財は自分も欲しいけれども高く買ってくれる人がいるのならば売るよ、というもの。匿名でいくらでも買えて転売できるような状況だとこの結論にはならない。
2021-07-28 05:02:28あと、「予算制約」といっているけれども、実際には「その財を手に入れるのに払ってもいい金額(WTP)」と「その財を手放すのに最低欲しい金額(WTS)」が違う、というモデル。通常の経済学ではWTP=WTSが想定されるが、行動経済学ではWTP<WTSと想定されることもある。
2021-07-28 05:02:29なので、論文のうり(キャッチフレーズ)の一つは「お金のあるなしでなくお金があったとしたらどれくらいまで支払う気があるか?」で本当の欲しさを測ってみましょうね、ということなんだけれども、実際にはWTPでなくてWTSで測ったうえでの分析。
2021-07-28 05:02:29まあ、お金のあるなしはWTP<WTSとなる要因の一つなので、羊頭狗肉というわけではない。ただ、お金のあるなし以外の理由でそうなっているときにWTSで「本当に欲しい消費者」を見分けるのがいいのかは別の議論。
2021-07-28 05:02:29論文を読むときはAbstractやIntroductionの売り文句だけでなくて、実際にモデルを見てやっていることが売り文句と一致しているかは気をつける必要がある。
2021-07-28 05:02:29自分の専門の話でもあるから、転売問題で盛り上がるとこういう思考が動き出して、そんなに軽々しくものは言えなくなる。僕自身も含めて、自分の専門でないことだとつい軽々しくものが言えるものだ。
2021-07-28 05:02:30一知半解はさらに軽々しく物をいう。物を言って悪いわけではないが、あとで振り返って恥ずかしい思いをすることもあるだろう。そういうのを「XX学はしか」と名付けたことがある。自分自身も含めて、専門家になろうとする過程では多くの人が罹患するのでバカにする気はない。だから「はしか」。
2021-07-28 05:02:30経済学者の言葉の使い方は「本当に欲しい人」=「一番お金を出せる人」だと解釈したんですが、「本当に欲しい人」=「本当に必要な人」ではないと思うので「本当に必要な人」にモノやサービスが届く仕組みであって欲しい
2021-07-28 08:30:26@66mh 「本当に必要な人」というのをどう測るかは難しいです。どれくらい欲しいか10段階で答えてくださいと訊いても意味ないですし。大抵は、それを手に入れるのにxxをどれだけ犠牲にしてもいいかで測ります。xxがお金ならばそれは市場メカニズムやオークションですし、xxが時間ならば先着順の行列です。
2021-07-28 08:42:58