プラモ転売問題に対して経済学者が考える「均衡価格で販売すれば良い」に違和感を覚えてしまうのは何故?→大阪大学准教授の分析が興味深い

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安田 洋祐 @yagena

<転売備忘録> 多くの経済学者は、転売が起こるのは1次市場の価格が安すぎるからで A. 均衡価格p*で販売すれば(超過需要が発生しないので)転売はそもそも起こらない と考えます。ただ、これは B. 均衡価格p*で販売すれば転売屋による転売はそもそも起こらない ことを意味しません。A≠B。なぜか?

2021-07-29 01:03:34
安田 洋祐 @yagena

もし転売屋が均衡価格で一人分を購入したとすると、その代わりに C. 本来購入できるはずだった消費者 のうち誰か一人が買えなくなります。Cの仮定から D. この消費者の支払い意欲はp*以上 ですので、転売屋は(消費者への販路が確保できていれば) E. 最低でもp*円で売れる 有利な状態を実現できます。

2021-07-29 01:04:13
安田 洋祐 @yagena

実際に転売屋がいくらで取引できるかはケース・バイ・ケースでしょうが、Eの性質から(情報の非対称性を前提としても) F. 提示価格をp*未満に下げる必要がない ので、転売自体で損をするリスクがありません【注】。 この議論は、購入できない消費者が一人ではなく複数人の場合でも同様に成立します。

2021-07-29 01:05:22
安田 洋祐 @yagena

【注】転売行為自体に費用がかかる場合や、消費者への販路が確保できていない場合には、転売屋は損をする可能性があります。ただ、ネット上での取引などを通じてこうしたコストが大きく下がっている(だからこそ問題が深刻化している?)と推察。また、ここでの議論では供給量を一定と仮定しています。

2021-07-29 01:06:28
安田 洋祐 @yagena

以上の議論から、仮に売り手が最初から G. 均衡価格で販売していても転売屋が参入する 余地があることが分かります。つまり、転売屋の参入を阻止できない市場では H. 需給均衡価格で売り手が消費者に直接売ることすら難しい 場合が出てきます。この直感は、経済学者も共有した方が良いように感じます。

2021-07-29 01:07:30
安田 洋祐 @yagena

もちろん、売り手が最初に設定した定価が均衡価格のp*よりも安い場合には、さらに転売屋にとって“おいしい”状況になります(最低価格p*で転売しても儲かる!)。したがって I. 転売屋の参入余地を減らすためには価格をp*に近づけよ という、伝統的な経済学の提言が間違っているわけでもありません

2021-07-29 01:13:00
安田 洋祐 @yagena

補足1) 転売屋が複数いる場合も性質Fは成立します。たとえば2人の転売屋がそれぞれq1、q2だけ購入した場合、各転売屋(=i)は「ライバルの販売戦略と関係なく」価格p*で必ず購入したqiを売ることができます。(価格p*のもとで残余需要がq1+q2となるので) 供給制約のある複占モデルのイメージです。

2021-07-29 03:15:03
安田 洋祐 @yagena

補足2) Aで消費者間の転売が起こらない理由。均衡価格p*で購入した消費者(=i)の支払い意欲viはp*以上であるのに対して、潜在的な転売相手(=j)は未購入者のため「vj<p*」が成立する。jに売るためにはp*より安く転売する必要があるが、それなら自分で消費した方が便益が大きいのでiは転売しない。

2021-07-29 03:21:05
安田 洋祐 @yagena

経済学者|大阪大学教授 専門はゲーム理論、マーケットデザイン。経済学のビジネス活用を促進するため2020年に株式会社エコノミクスデザインを共同で創業👍 メディアを通した情報発信、政府の委員活動にも積極的に取り組んでいます。趣味は旅行、ゲーム、サッカー⚽ 『「2030年日本」のストーリー』(東洋経済新報社・共著)近刊❗

yagena.github.io/jp/

U @E8gp3QTJARdHVHr

@yagena 分かりやすい解説ありがとうございます‼️とても勉強になりました。 ちなみにこの議論ケースB(転売屋もいるケース)の価格もケースA(いない場合)と同じP^*なんですよね?価格が需給で決まると転売屋がくると価格が上がるので、ケースBの価格が上がり転売屋が儲からなくなる可能性も

2021-07-29 04:53:34
U @E8gp3QTJARdHVHr

@yagena あるかと思ったのですが、どうなりますかね?

2021-07-29 04:54:01
安田 洋祐 @yagena

@E8gp3QTJARdHVHr 粟屋さん、どうもありがとうございます! はい、2つのシナリオで同じp*を想定していました。(売り手が先にp*を設定し、転売屋が運良く購入&不幸な消費者が一人買えない、というシナリオ) おっしゃるように、均衡価格が内生的に変わる場合には X. 1次市場での購入者がEfficient Rationingで決まる

2021-07-29 05:13:59
安田 洋祐 @yagena

@E8gp3QTJARdHVHr ような場合、かつそのような場合にのみ ・微小な量の転売で儲けることができない (X以外のRationing Ruleでは転売利潤が正になる) といった結果が導けるような気がします。 転売屋の購入量が大きい場合には、1次市場の価格がp*よりもかなり高くなり得るため、より転売で儲かりにくくなりそうですね。

2021-07-29 05:22:01
U @E8gp3QTJARdHVHr

@yagena ありがとうございます! そうですね。価格が内生的な場合全力で転売とはならないでしょうが、微小な量の転売で小さいながら正の利潤をあげられるケースは割とありそうです

2021-07-29 05:36:54
えい @ei_JapanSea

今回、Twitterで活躍されてる経済学者の方々がいっせいに練習問題を解いた、その各々の解答を興味深く拝見しています。 (経済学部出身です) twitter.com/yagena/status/…

2021-07-29 13:00:26
hk @hk91457561

こういう言い方が出来なアカンのやろな >直感は共有すべき 硬いのに優しい twitter.com/yagena/status/…

2021-07-29 11:00:33
からあげ工房㌠@ひまわり会 @ITEM87177

例の件を同じ経済学から切り込んだ素晴らしいツリーだ。想定モデルがシンプルなので「そんなに単純じゃないだろ」と言う人もいるかもしれないが、複雑にして論点がズレる方がよろしくない。 社会学に続き経済学まで馬鹿の代名詞みたいにされてモヤモヤしていたので実に有り難い。 twitter.com/yagena/status/…

2021-07-29 06:14:50
イワモトヒロユキ @h3iwamot

来週の独占・寡占の話題で使おうと思ってた話がそのまま安田先生に解説されてしまったので、これを読んどいてで済んでしまった。時間あまっちゃうな。 twitter.com/yagena/status/…

2021-07-29 13:22:03
オムライスさん @h3iwamot

Tweetは終了しました。

Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

こちらの一連のツィートは、まったく正しいと思います。やはりこの発想ができるのは、ゲーム理論をやってる方だからだと思う。 twitter.com/yagena/status/…

2021-07-29 12:54:54
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

Developer Advocate: Films and Anime, UTS2 author in Unity Technologies Japan, Master of Business, majoring in Econometrics. This account is my private one.

note.com/nyaa_toraneko

廣澤知也 @hirosawatomoya

肝はたぶんここよね。 >財の供給経路を独占することで価格決定権を得ること自体が転売屋の目的 twitter.com/thksngy/status…

2021-07-29 13:38:08
マクシム(経世済民) @thksngy

生産者が均衡価格で売り出したとしても、転売屋は更に高価格に釣り上げるだけです。 財の供給経路を独占することで価格決定権を得ること自体が転売屋の目的なのだから。 主流派経済学の視点でもこれは市場の失敗とされるはずですが、何故か経済学者の多くが転売屋を擁護したがるのは理解に苦しみます

2021-07-29 13:34:40
マクシム(経世済民) @thksngy

今まで見た経済学の転売分析の中で最も転売問題の本質を捉えていると感じます。 転売屋の問題の本質は転売そのものではなく、実物財の供給制約を転売屋自らが創出し、市場価格を高騰させる点にあります。 これは貿易や国内物流など、供給側の「制約を無くす」転売ビジネスとは全く異なる。 twitter.com/yagena/status/…

2021-07-29 12:53:56
マクシム(経世済民) @thksngy

生産者が均衡価格で売り出したとしても、転売屋は更に高価格に釣り上げるだけです。 財の供給経路を独占することで価格決定権を得ること自体が転売屋の目的なのだから。 主流派経済学の視点でもこれは市場の失敗とされるはずですが、何故か経済学者の多くが転売屋を擁護したがるのは理解に苦しみます

2021-07-29 13:34:40
マクシム @thksngy

経世済民系技術者。グローバリズム最前線。豊かな日本を目指して邁進中。アイコンはたか@ta_ka270 さん。

note.com/thksngy