【2021年8月】1日1SSセルフまとめ

小椋 杏/おぐら あん @ogura_anne

あまりに突然すぎてまったく言葉が出なかった。昨日、会ったよね？　ランチでバカ話して勤務後に愚痴言い合ってさ。駅の改札前で、お疲れ、また明日ねって、手を振り合ったじゃん？　当たり前に見ていたあの人懐こい笑顔が急にぼやけて、思い出せなくなってしまった。 夢ならすぐに覚めて。 #TwitterSS

小椋 杏/おぐら あん @ogura_anne

イヤフォンで音楽を流せば、流れ込んだ音符は一瞬で脳みそを満たし、神経を伝って身体の隅々まで行き渡る。指を振れば指先から、通った道には音符が足跡をつける。視線を感じてちらっと見たら、真ん丸な目をした男の子があたしを見てた。立てた人差し指を唇に当てて笑いかける。 秘密だよ？ #TwitterSS

小椋 杏/おぐら あん @ogura_anne

街灯と街灯の隙間、ほかよりやや濃密な闇の隙間に何かが吸い込まれて行った。追いかけてみればその先に細く長く行列が続く。手に手に提げられた提灯の灯は人魂のようでもある。最後尾の者が振り返る。背筋が凍った。そうかこれが。一瞬で理解した。 次の殿を務めるのはどうやら僕のようだ。 #TwitterSS

小椋 杏/おぐら あん @ogura_anne

小さい頃、近所のおねえさんが大好きだった。近くの公園でシロツメクサで冠を作ってくれた。何度も教えてもらったのにあたしは、どうしても作り方を覚えられなくて。いつしか公園はなくなりシロツメクサなんて見ることもなくなって。でもでも。 おねえさんがくれた思い出は失くならないよ。 #TwitterSS

小椋 杏/おぐら あん @ogura_anne

闇の中を彷徨っていた。あかりひとつないと思っていたのは思い込みだったようだ。はるか遠くに点のように見える小さな灯り。いくら歩いてもちっとも大きくならないし、歩き続けるのも正直しんどい。けど、やっぱりその灯りの元に行きたい。 だから僕は、馬鹿正直に歩き続けるしかないんだ。 #TwitterSS

小椋 杏/おぐら あん @ogura_anne

究極のかまってちゃんだねきみは。 あきれたように呟いて、でもにやにやうれしそうにしてるのはなんで。かまってほしいのに「かまって」って言えないアンタの代わりに「かまってちゃん」を演じてることに、いい加減気付けばか。 あたしがかまってほしいのは。 アンタ以外にいないんだから。 #TwitterSS