#今日の構造式 1(1-100)

佐藤健太郎先生による #今日の構造式 をまとめましたが、たくさんあるので100ずつに分けることにしました。 こちらでは1-100までをまとめました。
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Nori @Nori_112514

@KentaroSato 以前から思っていたのですが、構造式というのは、その式の表現の中に三次元立体構造の情報をどの程度持っているのでしょうか。言い方を変えると、化学者は構造式だけからどこまで立体構造のイメージに迫れるのでしょうか。変な質問かも知れませんが。

2020-11-12 00:34:24
佐藤健太郎 @KentaroSato

@Nori_112514 構造式は三次元構造を平面に押し込んだものですが、くさび線や点線で立体化学の情報を表すことはできますので、構造式から立体構造を再現可能です。相当に複雑な分子でも、慣れれば頭の中に立体構造を思い浮かべることはできます(限度はありますが)。

2020-11-12 00:38:52
佐藤健太郎 @KentaroSato

体組織を透明化する試薬は最近いろいろ出てますね。中国の神話に出てくる「神農」は体が透明で、毒草を食べると内臓が黒く変色するのを外から見て、毒の有無と作用部位を判定していたらしいです。てことで、次に透明化試薬が出てきたら「SHINNO」という名はどうでしょうか。

2020-11-12 16:16:18
佐藤健太郎 @KentaroSato

さて、昨日から一気に3000人近くフォロワーが増えてびびってますが、そろそろ今日の構造式行きますかね。

2020-11-12 16:34:00
佐藤健太郎 @KentaroSato

#今日の構造式 2 酢酸。文字通り、酢の酸味のもとになる化合物です。後ほど詳しく構造式の見方を書きますが、2つの構造式は同じ意味です。3次元の図もつけておきます。灰色が炭素、白が水素、赤が酸素原子を表します。 pic.twitter.com/ityIgYET4B

2020-11-12 16:38:06
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佐藤健太郎 @KentaroSato

昨日のエタノールと似たような構造ですが、こちらは酸性を示し、そのため酸っぱい味がします。-CO2Hという構造(カルボン酸)のHは水素イオン(H+)として離れていきやすいです。これがエタノールとの大きな違い。

2020-11-12 16:41:06
佐藤健太郎 @KentaroSato

エタノールのHもイオンとして離れていくことはできますが、その場合マイナスの電荷を酸素原子1つで背負うことになります。酢酸の場合、2つの酸素原子がマイナス電荷を分散して受け持つことができるのでしんどくない、つまりH+を手放してもわりと大丈夫、という感じです。 pic.twitter.com/P3quUvK9n2

2020-11-12 16:55:07
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佐藤健太郎 @KentaroSato

#今日の構造式 3 メタン。炭素に水素4つがつながった、最も基本的な有機化合物です。平面的な構造式では正方形に描かれることが多いですが、実際には正四面体型の構造をしています。要は、水素同士が反発してお互い最も遠くなろうとした結果と理解すればよいかと。 pic.twitter.com/EJ5P3qoiVL

2020-11-13 20:36:17
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佐藤健太郎 @KentaroSato

メタンは天然ガスの主成分で、燃料として使われます。また、日本近海の海底には、このメタンが閉じ込められた「メタンハイドレート」が大量に存在しており、将来の資源として期待されています。CO₂よりも強力な温室効果ガスなので、扱い注意の面もありますが。

2020-11-13 20:40:20
佐藤健太郎 @KentaroSato

#今日の構造式 4 今日はバニリン。その名の通り、バニラの甘い香りのもとになっている化合物です。真ん中の六角形はいわゆる亀の甲、正式には「芳香環」といいます。よい香りをした化合物が多いと思われたのでこの名がつきましたが、あまりいい匂いとはいえないものも多かったり。 pic.twitter.com/BFJ5gJo4NE

2020-11-14 22:01:39
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佐藤健太郎 @KentaroSato

芳香環を持った化合物を「芳香族化合物」といい、生体分子にももちろん、医薬や液晶、有機ELなどのハイテク製品にも、この芳香族化合物がたくさんあります。そのへんについては、拙著「すごい分子~世界は六角形でできている」などお読みいただければ。 amzn.to/3pr0IHv

2020-11-14 22:05:05
佐藤健太郎 @KentaroSato

ちなみに、バニリンにイソブチリル基というパーツをくっつけるとチョコミントの香りになると聞いて、こっそり合成してみたことがあります。確かにチョコミントでした。 pic.twitter.com/5Lu6R5U15N

2020-11-14 22:07:59
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佐藤健太郎 @KentaroSato

@tomo141 まあ時効ってことで。ショッテンバウマン条件ですぐできるのでぜひ試して下さい。

2020-11-15 00:31:23
佐藤健太郎 @KentaroSato

#今日の構造式 5 ブドウ糖(グルコース)。OH(ヒドロキシ基)がいっぱい生えていますが、こういう化合物は甘い味がします。グルコースは甘い化合物群、すなわち糖類の最も基本的なものです。糖類は、語尾に「-ose」がつくのがお約束になっています。 pic.twitter.com/d6yxDAIgeS

2020-11-15 22:58:27
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佐藤健太郎 @KentaroSato

グルコースなどの糖の特徴として、糖同士、あるいはヒドロキシ基を持った化合物に結合しやすいことがあります。糖が2つつながったものに砂糖や麦芽糖があり、長くつながったものにアミロース(でんぷん)やセルロースがあります。このへんはいずれ紹介します。

2020-11-15 23:00:37
佐藤健太郎 @KentaroSato

昨日のバニリンは中央の環が平面的でしたが、このグルコースは立体図を見れば分かる通り、環が平面でなくでこぼこしています。こういう立体的な構造を表示できる構造式の描き方もありますが、そのへんはまたいずれ。

2020-11-15 23:02:45
Amberlyst @solid_acid_

6員環NMRを鑑賞するのが趣味なのですが、アノマー効果でコンホメーションが固定されてるシュガー様の6員環構造はステキなNMRが取れて興奮ものですよね 昔66縮環の化合物を開環させながら新たな6員環を作るという反応をやっていて、相対立体配置を決めるのが死ぬほど楽しかった… twitter.com/KentaroSato/st…

2020-11-18 00:33:20
Amberlyst @solid_acid_

紙もデンプンも、モノマーまでぶった斬ると砂糖って面白いっすよね 逆にいえば、家にあるお砂糖をうまいこと脱水縮合すれば紙になるという… 仕組みはわかってるけど不思議

2020-11-18 00:36:21
佐藤健太郎 @KentaroSato

@solid_acid_ 糖はあまり扱ったことがないので、NMRもとった記憶がないですが、楽しいものなのですね。 グルコースがつながり方次第で食べるものと着るものに化けるというのは、昔読んだ本に出てきて感動した記憶があります。いずれ取り上げたいと思います。

2020-11-18 00:41:57
Amberlyst @solid_acid_

@KentaroSato わざわざ返信ありがとうございます 糖類そのもののNMRは取ったことがないのですが、6員環はパズルのようなNMRが取れるので読みがいがあります 糖類もシグナル分離がうまくいけばかなり綺麗なはず… 糖類、私も教科書レベル以上はほとんど触ったことがないので取り上げていただけると嬉しいです

2020-11-18 00:47:08
佐藤健太郎 @KentaroSato

#今日の構造式 シリーズのサポートとして、構造式の見方・描き方をブログに書いてみました。何回かに分けて、構造式の描き方とそこから読み取れる情報について書いていこうと思います。 twitter.com/KentaroSato/st…

2020-11-16 01:00:38
佐藤健太郎 @KentaroSato

有機化学美術館・分館 : 構造式の見方・描き方講座 blog.livedoor.jp/route408/archi…

2020-11-16 00:58:21
佐藤健太郎 @KentaroSato

有機化学美術館・分館 : 構造式の見方・描き方講座 blog.livedoor.jp/route408/archi…

2020-11-16 00:58:21
たかちゃん @turkey_jp

@KentaroSato 先生、さらっと「結合が余っている」と書かれていますが、炭素は4価、窒素は3価、酸素は2価、水素は1価という前提がないとパズルのルールが成り立ちません。有機化学はパズルです。

2020-11-16 15:16:25
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