パイデでオメガの話

アルファでパイロンの龍馬さんとオメガでデッドローンの話だよ
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かむい @sunyaxxx

今日は、幹部連中を揃えた会議をとり行っていた。 だからどれだけの腹心であろうとも一人が護衛につくだけで中に入ることは許されないのだが、彼女だけは違った。

2021-08-29 19:58:04
かむい @sunyaxxx

りょーまが、番の女と閨を共にしていようともなんだろうともりょーまと同じアルファのおりょーだけは、いつだってりょーまの側にいてどんな状況だろうと入ることも話かけることも、そしてパイロンになったりょーまをりょーまと呼ぶことを赦されているのだ。

2021-08-29 19:58:04
かむい @sunyaxxx

「いぞーが、賭場に顔を出したぞ」 そして左手を出しその手にもった何かが書いてある紙を見せる。 「あいつの負債額を全部買い取った」

2021-08-29 19:58:05
かむい @sunyaxxx

厚みのある紙を手に取り、まず一枚に目を滑らす。 周りがざわめく。いぞーの名前が飛び出したからだ、いぞーのことをまだりょーまが気にしていたのかとしかも今賭場で負けた負債額を買い取ったと言ったのだ。 特別にこしらえた重厚感のある円卓を叩き、おりょーに対して口を開こうとしたが、

2021-08-29 19:58:05
かむい @sunyaxxx

「僕が頼んだ」 厚みのある紙を一枚めくり負債額の確認と最近までの行動を徹底して調べ上げた情報を静かに目を通しながら男が立ち上がっても目線一つくれることなく制止する。 「座れ」 静かな声で紙面を見ながら一度だけ言ってやる、おりょーに開きかけた口をりょーまに顔を向け、

2021-08-29 19:58:05
かむい @sunyaxxx

「パイロン様が気にするほどの者ではないはずです、あれは末端にいるチンピラでしかもオメガの中では最底辺の…」 「座れ」 ちり…、その場にいる者達が身動き一つとれなくなる、そして立ち上がった男が床に倒れる。 震える手で首に手をやりかきむしり、ゆっくりと泡を吹きだした。

2021-08-29 19:58:06
かむい @sunyaxxx

「言葉には気いつけえや、誰が最底辺じゃ言うか」 紙面から目を離さず、そして表情一つ変えず、だが圧だけがかかかる。 りょーまの言葉からひどく訛りのある言葉がでたということは、それは怒りを買ったということだ。

2021-08-29 19:58:06
かむい @sunyaxxx

泡を吹きながら黒目を白目に…首に爪をたてかきむしりたいのにそれもできず、ただ必死で一言、たった一言を言わないと男はこの見た目に反した冷たい男による死を与えられる。 「ず、ずび…ば…ぜ、ん」 その一言を耳に入れ、ようやく圧を霧散させ解放する。

2021-08-29 19:58:07
かむい @sunyaxxx

「おりょーさん、久々に振ってくれるかな?」 「おー、やるのか」 「頼めるかな」 「まーかせろ、って、あのクソ雑魚ナメクジにイカサマするほどかあ?あいつ、本当に弱いくせに馬鹿じゃないのか?」

2021-08-29 19:58:07
かむい @sunyaxxx

「まあまあ、好きなものはしょうがないけど、ま、ちょっと僕の方でもやってるって言うのもあるからね」 会議をやめ二人がその場に重役連中を残し笑いながら行ってしまう。

2021-08-29 19:58:07
かむい @sunyaxxx

いぞーは、現在、あんまり強くないのは自覚があるのだが、どうしても賭場のあのひりひり感がやめられず、負けがこんでもついつい足を向けてしまう。 最初は勝てるのだ、だが次第に勝てなくなり勢いのままにまともに借用書に目を通さずかなりの負債を抱え込んでいる。

2021-08-29 22:17:34
かむい @sunyaxxx

そして無理な仕事を請け負いながら借金を返せていると思っているのだ、いぞーは腕はたつが頭の足りないオメガ。 密かに呼ばれている裏の呼び名がデッドローンと、もういぞーがどれだけの仕事を請け負おうとも返せるものではない周りはそれを知っているがそれを本人一人が知らないだけ。

2021-08-29 22:17:35
かむい @sunyaxxx

それに対して徹底した箝口令をしいているのがりょーまだ。 負債額をどれだけかわかればいぞーは逃げるかもしれない、だから徹底したいぞーが賭場に顔を出していると噂で聞いて片っ端から情報をとり、そして借用書を買い取っていた。

2021-08-29 22:17:35
かむい @sunyaxxx

そしてついに、いぞーは、パイロンの足元の賭場にまで顔を出してきたのだ。なぜ顔を出したのか、いぞーはりょーまの賭場にだけは足を運ばなかった。

2021-08-29 22:17:36
かむい @sunyaxxx

それがなぜなのかと言えば、ここはいぞーの為に作られた賭場だからだ、頭をパイロンではないいぞーも知らないほどの主を置いて息を潜めて現れるのを待っていた。

2021-08-29 22:17:36
かむい @sunyaxxx

考えてみれば、おかしなことだらけだ、いぞーほどの腕だオメガでもその腕の凄さだけは最高位のアルファ達が認めるほどで、周りが手を回してりょーまに引き合わせないようにしたのだと煮えたぎる頭の中で理解した。 周りが引き離すのだ、そして、もう一つはいぞーが逃げているとしか思えない。

2021-08-29 22:17:37
かむい @sunyaxxx

用心棒としてパイロンとして直々に依頼もしたが、どれだけ腕がたとうとオメガ、そんなオメガに対して破格の金額まで提示したというのにそれを蹴ったのだ。

2021-08-29 22:17:37
かむい @sunyaxxx

最初こそ、番のアルファのためかとも思ったが、よくよく調べてみればいぞーに番のアルファがいないこと、ただ子供を産むだけの道具にされたこと、そして死産に捨てられたが、腕がたちそこらのパイロンの申し出は断ってもパイロン経由の用心棒から集金までやっていることがわかった。

2021-08-29 22:17:37
かむい @sunyaxxx

だからりょーまは調べたおりょーを使って、おりょーもいぞーのことを気のないふりで気にかけていたのだ。 面倒だと言いながら調べられることは全て調べてきた。 そしてあの調書と最後の借用書だ。 「おう!!今日はえい日じゃ、こじゃんと稼げゆう!!」

2021-08-29 22:17:38
かむい @sunyaxxx

今日は、いぞーにとって最後の日だとわからず調子づかされ何をしても小当たりから大当たりで負けがなく気分が乗っている。 静かな足音にも気付かず本日初めての借用書にサインをする。 「大博打じゃ!!」

2021-08-29 22:17:38
かむい @sunyaxxx

今日の勝ち分と金を借りてさらに上乗せすれば、どれほどの負債を抱えているかも知らず、一気に精算できると思い全財産全てを賭ける。 「ひひ、こいで勝ちゃあ、今日は無礼講でわしが飲み食い代、ぜ~んぶ出しちゃるぜよ!!」

2021-08-29 22:17:39
かむい @sunyaxxx

周りが一気に湧く。ただの急場の賭場と知らず来るものもいるのだ、いぞーの大博打に湧きあがる。 「僕も含めてもらってもいいかな」 静かな声に湧いていた声が一気に静まってしまった。 そこまで声を張り上げたわけでもない、ただ一言呟いただけだというのに周りが静まってしまった。

2021-08-29 22:17:39
かむい @sunyaxxx

「すごいね、よくここまで勝てたね」 固い靴底が音を鳴らしいぞーの目の前にある空席だった椅子を引いて座る。 「………りょ、」 紅を引いた唇が微笑み、その場にいる誰もを魅了した。 そしてゆったりとした仕草で懐から煙管を取り出し葉を火皿につめると一服する。

2021-08-29 22:17:40
かむい @sunyaxxx

「デッドローンさん、初めまして、この賭場を仕切っているパイロンです」 椅子から立ち上がって逃げようとするのを指を鳴らす音が響き肩を押し椅子から動けぬようにされてしまう。 この賭場のことを知らないいぞーは一瞬パニックになる。

2021-08-29 22:17:40
かむい @sunyaxxx

「いぞー、お前の借金、りょーまとの賭けで返せよ」 後ろからおりょーの声が聞こえて、嵌められとそこで気付いた。 「デッドローンち、なんじゃ」 「君の借金のすごさについたのが、デッドローン、君がどれだけ仕事を請け負おうがもう返せないよ、知ってた」

2021-08-29 22:17:41
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