「古神道と考古史の実証的研究」氏【縄文人(の祖先系統)は、大部分が現在の朝鮮半島を経由して渡来してきた蓋然性が高いことについて】

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古神道と考古史の実証的研究 @KAERU_REIWA

【縄文人(の祖先系統)は、大部分が現在の朝鮮半島を経由して渡来してきた蓋然性が高いことについて】 日本考古学において、「渡来系弥生人および古墳時代渡来人は朝鮮半島を経由して渡来した」という事実が強調される傾向にあるが、一方で縄文人の渡来元について言及されることはあまりない。

2021-10-12 22:50:19
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この理由について、「縄文人は、 旧石器・縄文時代の間に東アジア各地(特に朝鮮・樺太・台湾)から渡来した人々によって形成された」という説が長らく支配的であったために、特定の経由地に強く言及されることがなかったから、ということがある。これは言わば、2010年代半ば以前の貧弱な人類学研究と

2021-10-12 22:50:51
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空想を根拠に形成された「定説」である。 しかしながら、ごく近年(2010年代後半以降)の間に指数関数的に発達したゲノム人類学による、縄文人および周辺古人骨や現代人集団の詳細なゲノム解析研究は、「縄文人」等の遺伝的形成についての、かつて不可能とされた時空間的事象の解析さえ可能にしている。

2021-10-12 22:51:37
古神道と考古史の実証的研究 @KAERU_REIWA

まず、最近判明した事実として「縄文人の遺伝的多様性は非常に乏しい」ことがある。 縄文時代晩期に人口ボトルネック(遺伝的多様性減少に寄与)があったことは既に知られていたが、最近では旧石器時代後期から縄文時代草創期にかけてもボトルネックがあったことが判明した。 それによると、

2021-10-12 22:53:13
古神道と考古史の実証的研究 @KAERU_REIWA

集団が絶滅しない程度のギリギリな人口(全体で1000人くらい)をなんとか維持しつつ、1~2万年ほど凌いでいたという。 また、(これも前述のボトルネックと関係することだが)縄文人の遺伝的形成は「縄文時代よりかなり前に」既に完了してしていたことも明らかとなった。

2021-10-12 22:54:51
古神道と考古史の実証的研究 @KAERU_REIWA

即ち、日本列島に渡来してくる前に「縄文人」は既に誕生していたことになる。 これは「様々な起源を持つ人々が日本列島で出会って生まれた縄文人」に大きく反する。 縄文人ゲノムは東部ユーラシア沿岸部系統(coastal)を44%、東部ユーラシア内陸南方系統(interior south)を56%祖先に持つ「混血集団」と pic.twitter.com/IkloRlE1xS

2021-10-12 22:57:31
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判明しており、似たようなゲノム構成を持つ古人骨は中国の長江・黄河・遼河流域でも発見されている。 東南アジアのホアビン文化個体とも近縁だ。 このうち、coastalは3~4万年ほど前に東ユーラシア人ゲノムから分岐した基層集団であり、縄文人ゲノムを現代東アジア集団において特異的なものにしている

2021-10-12 22:58:17
古神道と考古史の実証的研究 @KAERU_REIWA

原因となる。 ちなみにcoastal祖先系統は、アンダマン諸島オンゲ族で100%である。 また、interiorから分岐したinterior southも、中国南部の古代人と近縁である。 このように、縄文人は古代東ユーラシア南方祖先系統と強い遺伝的近縁性がある一方、

2021-10-12 23:00:28
古神道と考古史の実証的研究 @KAERU_REIWA

縄文人に近い遺伝的構成(coastalとinterior south祖先系統を持つ)を持つ古人骨は、シベリア~沿海州地域には分布していない。 また、基本的に古代北シベリア系統のANE・ANS系古人(マリタ遺跡出土個体等)と縄文人は疎遠であり、シベリアルーツの人々が居たとしてごくわずかなものであったと推測される。 pic.twitter.com/RMCds2bRmf

2021-10-12 23:02:37
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縄文人の「北ルート由来説」は、およそ20年前のNHK番組でセンセーショナルに取り上げられて久しいが、当時の稚拙な遺伝人類学的証拠に基づく仮説は、現在では否定気味である。 むしろ、樺太ルートからの縄文人祖先系統流入は、皆無に等しいのではないかとすら今となっては考えられるのである。 pic.twitter.com/mJCTD9Drdx

2021-10-12 23:04:49
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古神道と考古史の実証的研究 @KAERU_REIWA

では台湾ルートはどうなのだろうか?確かに縄文人ゲノムは東南アジアのホアビン文化個体と強い遺伝的類似性があり、縄文人の遺伝的構成上は「台湾→琉球→九州南部を経由する南方ルート」が最も近い気がする。 しかしながら、対馬陸橋が成立していた旧石器時代後期における黒潮ルートは九州南部海域

2021-10-12 23:08:19
古神道と考古史の実証的研究 @KAERU_REIWA

付近で大きく蛇行しており、台湾から琉球への渡航は可能であるが、九州南部や日本本土への渡航は不可能だったのである。(このことは前述のNHK番組でも取り上げられていた。) 従って、上記理由を複合的に勘案かつ消去法的に見て「縄文人は古朝鮮→九州北部経由」が主体的であっただろうと考えられる

2021-10-12 23:09:20
古神道と考古史の実証的研究 @KAERU_REIWA

のである。 実際、これもごく最近の研究であるが、新石器時代の朝鮮半島古人骨は縄文人との遺伝的近縁性が強く見られており、これは日本列島から進出した縄文人系統の他にも、「日本列島に渡らずに朝鮮に残った縄文人グループ」の末裔も含んでいるものと考えられるのである。 pic.twitter.com/k29JjP22eg

2021-10-12 23:14:48
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古神道と考古史の実証的研究 @KAERU_REIWA

縄文人の遺伝的形成については「東ユーラシア南方の古代人から派生した縄文人祖先(狩猟採集民)」が、「大陸沿岸に沿って北上し、朝鮮半島経由で日本列島に流入」し、「長きにわたる人口減少の辛酸時代」を経て、「温暖化した縄文早期に日本列島で人口増加」したものというのが最新の知見に近い。

2021-10-12 23:19:58