ホッブズの政治学、信約、名誉そしてベーシック・インカムへ
@mmatoiba ちょうどいま混乱したまま第14章一通り読み終わりました。難しいですね。「脱臼」とは言っても、全くの無効宣言ではなさそうなニュアンスで書かれてますものね。つまり、「コモンウェルスの第一動因は、最後のところで貴族の名誉に賭けられている」ということですか?
2010-05-01 19:24:03(もしそうだとすれば、この戦略、「名誉欲」を支配欲、所有欲より一歩前に出すカントの戦略とかなり似てるかも知れない。今日多くを語る余裕はないけれど)
2010-05-01 19:25:50@mmatoiba それってつまり、コモンウェルスの設立と起動は(等しくではないにせよ)恐怖と名誉の両方にかかっているってことですよね?
2010-05-01 19:30:48あと、伏線的に14章で信約と名誉について述べている箇所がある。"Then End of an Oath" という小見出しがついているとこ。↓の質問についてはちょっと待って。
2010-05-01 19:31:47The force of Words, being...too weak to hold men to the performance of their Covenants; there are in mans nature, but two imaginable helps
2010-05-01 19:33:02to strengthen it. And those are either a Feare of the consequence of breaking their word; or Glory, or Pride
2010-05-01 19:34:23in appearing not to need to break it. This later is Generosity too rarely found to presumed on...
2010-05-01 19:35:18、と。つまるとこ、信約を守らせるには、基本的に恐怖なんだけど、ごくまれに「そんなの破る必要がないぜ」ということを見せびらかしたがるPrideをもちGloriousな奴がいるんだ、と。オークショットもたしかここを使ってたと思う。
2010-05-01 19:37:25おそらくだけど、『リヴァイアサン』では特に少数の名誉心を持つ者に期待しているってのはあると思う。RT @ox11: @mmatoiba それってつまり、コモンウェルスの設立と起動は(等しくではないにせよ)恐怖と名誉の両方にかかっているってことですよね?
2010-05-01 19:41:25@mmatoiba なるほど、だとすると、「そんな名誉心もったヤツは少数しかいない」ってのが名誉心に対する挑発になってる可能性があるわけですね?
2010-05-01 19:43:01これは僕自身の関心ではあるけど、『法の原理』と『市民論』では、名誉を欲する人びとと、主権者の脅威に怯える人々を書き分ける必要はなかったのだと思うよ。そこでは基本的にすべての人が名誉を欲するとされているのだから。あそこでやられいるのは貴族政の再編というのが僕のテーゼ。
2010-05-01 19:43:40ところが『リヴァイアサン』だと、そういう訳にもいかなくなる。名誉なんて知ったことか、大事なのは千年王国の建設であるっていう人々を相手にしなければいけない。だから、一方で「快適な生活って大事だよな」とそれらの人々を懐柔し、他方で名誉を欲する奴に「ほら、名誉が得られるよ」と囁く、と。
2010-05-01 19:45:23そんな感じで二重戦線を張っているのが『リヴァイアサン』ではないか、と僕は考えているわけです。つまるとこ、『法の原理』と『市民論』では、いかに名誉という厄介なものを棚上げにして貴族たちの統合を可能にするかが問題視されていた。『リヴァイアサン』では逆に希少な徳として名誉が必要となる。
2010-05-01 19:47:19@mmatoiba さんの以前からのテーゼですね?読み、お話をうかがっているうちに仰ることの感覚が掴めて参りました。『リヴァイアサン』は前ニ作に比して叙述がシンプルになっていくのとは裏腹に、戦略的にはより巧みになっているわけですね。
2010-05-01 19:47:10@ox11 そういうことです。でも、叙述は前二著作の方がシンプルだよ(笑)。僕にしてみれば。『リヴァイアサン』は色んなことを一度にやろうとしている非常に難解な本だという感じがする。
2010-05-01 19:48:35@mmatoiba 知ったかぶりましたww。でも、正に「著者が語っていないところ」に問いが立っている熱いテーゼですね。あやかりたいです。その手応えをこそ、深夜の「しばきあげ会」で伝えるべきだと思いますよww。
2010-05-01 19:51:23@ox11 問いを何とかテクストから透かしてみようとして、ダメそうだったらコンテクストに逃げ込むという、非常に姑息なやり方だと、今書きながら気づいた(笑)。いずれにせよ、その問いは僕のものでもある(あるいは僕のものでしかない)という自覚が大事だな、と。
2010-05-01 19:56:00@ox11 もうすでに僕の『思想』論文を読んだみたいだね(笑)。「もしホッブズの政治理論を近代的と呼ぶことが許されるならば、それは、近代とは貴族政の夢の残滓に他ならないことを、ホッブズがこのうえもなく明瞭に描き出した点にあるのだ。」(結)
2010-05-01 19:57:41某S先輩に「何だこの勃起した文章は」と哂われた結語です。たしかに、若干やりすぎたかなという気もしないではない。
2010-05-01 19:59:41@mmatoiba 姑息ww。でもそれもテクストから透かし見ようとした結果の戦略的撤退なら、名誉の撤退だと思いますよ。そう、心は伝わっているので屹立したそのブツを送ってくださいww。>『思想』論文
2010-05-01 20:00:47ホッブズをめぐる @ox11 @mmatoiba お二人のやりとり興味深く読みました。ニーチェでは強者の友愛的共同体は「名誉」によって、弱者の国家は「恐怖」によって成立します。恐怖の別名であるセキュリティが最大の関心事である現代において、名誉のモメントはどこに見いだせるのか..。
2010-05-01 21:19:23