シンガポール~オランダ領東インドでの連合軍商船の戦い

太平洋戦争の開戦劈頭、シンガポール~オランダ領東インドの海域では多数の連合軍商船が沈没しました。これはそんな商船の戦いのほんの一部
9
のりっく@泡沫戦史研究所(マスコミに惑わされずマスク・手洗い・うがいで防衛!) @noricksakurai

太平洋戦争開戦劈頭のシンガポール攻略戦で、連合軍が1/3のBM 9A船団を皮切りに次々と増援船団を送りこんでいるのに、撃沈できたのは2/5着のBM 12船団の「Empress of Asia」のみというていたらくで、「なんじゃこりゃ?」と思ったんだが、いろいろ事情はあったようだ。 netherlandsnavy.nl/Singapore.html

2020-01-13 21:41:59
のりっく@泡沫戦史研究所(マスコミに惑わされずマスク・手洗い・うがいで防衛!) @noricksakurai

最初のBM 9A船団とBM 9B船団は1/3と1/6に到着しているが、この時期の日本軍航空隊はまだシンガポールへの空襲を本格化していない時期で、爆撃機の航続距離もシンガポールがぎりぎりで、南方の海上にいれば船団は比較的安全だった模様。

2020-01-13 21:57:10
のりっく@泡沫戦史研究所(マスコミに惑わされずマスク・手洗い・うがいで防衛!) @noricksakurai

DM1船団は1/13にシンガポールに到着。貨物船Sussex には箱詰めされたハリケーン戦闘機52機が積載されており、24名のパイロットとともに無事到着している。この日は日本軍機約80機が来襲したが、悪天候のため雲上からの爆撃となり効果はなかった。英軍機は20機で迎撃し3機撃墜を報告している。

2020-01-13 22:06:21
のりっく@泡沫戦史研究所(マスコミに惑わされずマスク・手洗い・うがいで防衛!) @noricksakurai

貨物船Sussexで運ばれたハリケーン戦闘機は戦史叢書では51機となっている。日本軍航空隊はマレー半島の前進基地に進出し、1/12からシンガポールへの攻撃を本格化したが、悪天候のため効果が上がらなかった模様。英軍側も空襲を警戒して入港は夜間のみにするなど対策している。

2020-01-13 22:12:54
のりっく@泡沫戦史研究所(マスコミに惑わされずマスク・手洗い・うがいで防衛!) @noricksakurai

BM 10船団、MS1船団、MS 2A船団、BM11船団も全船無事到着した。MS 2A船団はもともとMS2船団として大型客船Aquitaniaで運ばれてきた増援部隊だったが、日本軍の空襲を警戒してスマトラ島のラタイ湾で小型船7隻に分乗して計画どうり無事到着している。

2020-01-13 22:23:28
のりっく@泡沫戦史研究所(マスコミに惑わされずマスク・手洗い・うがいで防衛!) @noricksakurai

最後のBM12船団は2/5に到着したが、船団は夜まで待たずに昼間に入港しようとして爆撃機の目標になってしまった。客船Empress of Asiaは午前11時頃被弾炎上して沈没し、Félix Roussèlも被弾損傷したが大事には至らなかった。大規模な増援船団はこのBM12船団が最後で、2/8には地上攻撃が始まった。

2020-01-13 22:37:44

客船「エンプレス・オブ・アジア」(Empress of Asia)

和中 光次(わなか みつじ) @111g0

『英国人捕虜が見た大東亜戦争下の日本人』の著者、デリク・クラーク(英第18師団の工兵)は、1942年の今日、インドのボンベイから輸送船エンプレス・オブ・アジアに乗って出港。目的地はシンガポール。 アマゾンリンク amzn.to/2AanWtj 前回までのスレッドです。 twitter.com/111g0/status/1…

2020-01-23 14:44:26
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

1941年10月28日、『英国人捕虜が見た大東亜戦争下の日本人』の著者クラークが、輸送船で戦地に向け出発。 「我々はSSオロンセイに乗り、行き先を知らされぬままエイヴォンマス港を後にした……この時、未来を覗くことができたのなら、絶望的な光景が見えたことだろう」 amzn.to/2lPTDE2 pic.twitter.com/d7iHhBg7Y3

2019-11-01 21:11:31
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

滞在することなく、埠頭に停泊している“エンプレス・オブ・アジア”(アジアの女帝)という船を目指した。 しかし乗船して驚いた。逃げ出したくなるような船だ。ゴキブリや南京虫がはびこり、あまりにも不潔なのだ。 兵士たちは船倉の四分の一ほどのスペースに押し込まれた。寝台は汚く、暑くて息苦しい

2020-01-23 14:48:02
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

一方、士官たちは残りのスペースで、ゆったり快適に過ごしている。 第251工兵中隊の寝床は、船の後部、喫水線の下、機関室の真上だ。そんなところで眠れるはずがないじゃないか、と我々はずっと文句を言っていた。 ようやく軍医が配慮してくれて、凹甲板に上がって寝てよいことになった。

2020-01-23 14:48:43
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

乗船後、船は錨を揚げ、沖へ向かう。ボンベイは次第に水平線の下に消えていった。ついてきたのはカモメだけだ。 翌朝、4隻の輸送船、1隻の巡洋艦と合流。我々は、また未知の目的地へと旅立った。 (写真はエンプレス・オブ・アジア) pic.twitter.com/6JEtJICWf3

2020-01-23 14:49:27
拡大
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

1942年1月28日、エンプレス・オブ・アジアの船団BM12(BMはボンベイ・マライ)は、日本軍が未発見のアッヅ環礁のT港付近でDM2(Dは南アのダーバン)と合流、軽巡エメラルドが護衛に加わり、バタビアに向かう。この日マレーの英軍は全軍シンガポール島への撤退を決意、30日夜から撤退を開始 pic.twitter.com/C0NHV2sRoJ

2020-01-29 09:16:07
拡大
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

2月3日クラークの部隊がいる輸送船団BM12とDM2がバタビアに入港(前日、前々日に、重巡1、駆逐艦2、スループ2が合流)。同日、BM12にDM2のシティー・オブ・カンタベリが加わり輸送船5となりシンガポールを目指して出港。護衛は重巡1軽巡2駆逐艦2スループ2。写真はバタビア港の蘭巡ジャワ。 pic.twitter.com/cHAAvLFwi8

2020-02-02 21:53:32
拡大
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

1942年2月4日、船団BM12の輸送船は、エンプレス・オブ・アジア他計5隻からなり、シンガポールに約6千名の兵員と物資を増援しようとしていた。護衛の軍艦は蘭巡ジャワが分離して6隻に。 しかしBM12はバンカ海峡通過時に、日本海軍航空隊に発見され攻撃される。 pic.twitter.com/YsBgj5JqpV

2020-02-04 07:25:24
拡大
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

1月31日にボルネオのクチン基地に進出していた海軍の元山航空隊クチン派遣隊は、2月4日午前9時、96式陸攻9機が索敵攻撃で発進。各機が搭載するのは60キロ爆弾4発。指揮官は二階堂麓夫(ろくお)大尉。この隊は先のマレー沖海戦、その後の珊瑚海海戦でも96式陸攻で敵艦に水平爆撃を敢行。 pic.twitter.com/HtcFwT94A9

2020-02-04 07:26:24
拡大
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

その日の飛行機隊戦闘行動調書 1300 バンカ海峡デルタ角沖に於いて重巡一軽巡一駆逐艦四に護衛中の敵輸送船団を発見(二万屯級二隻一万五千屯級三隻の防御砲火を冒し二万屯商船に対し第一回爆撃六番四弾直撃大火災を生ぜしめ之を撃沈す 1305 船団上空哨戒中の「ハリケン」一機と空戦之を撃退す pic.twitter.com/8n1iQgYQO1

2020-02-04 07:31:25
拡大
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

1320 第二回爆撃針路に入るも敵防御砲火極めて熾烈にして嚮導機は右発動機燃料パイプに被弾。右発動機停止せる為め照準を失い命中弾なし この編隊はエンプレス・オブ・アジアに照準を合わせ、18発の60キロ爆弾を一斉に投下、結果は日本側の報告とは異なり、至近弾5のみで命中弾なく、ほぼ無傷。 pic.twitter.com/8FpKSqnksA

2020-02-04 07:34:25
拡大
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

二階堂大尉の証言 カリマタ海峡、バンカ海峡方面へ毎日のように出撃しました。ある日、輸送船六隻が走っとるのを見つけましてね、爆撃しようとしたら爆撃手が、「病院船の標識がついていますっ」って怒鳴るのです。そこで、「別のを狙えっ」と命じてコースへ入ったら、

2020-02-04 07:37:25
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

先頭に駆逐艦(※重巡エクセター)がいるじゃないですか。では、輸送船には爆弾半量を使って、残りはこれをやろうと決めました。 それで、輸送船一杯に命中弾を与えてから駆逐艦に向かったのですが、敵弾がバンバン飛んでくるんです。

2020-02-04 07:38:25
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

飛行機のまわり、ドンピシャリの高度で爆発しましてね、ついに、あと二、三秒で爆弾投下というところで右舷のエンジンが止まってしまった。 (雨倉孝之著『飛行隊長が語る勝者の条件』光人社)

2020-02-04 07:39:41
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

最初に目標にしたのは、おそらくフェリックス・ラーセル。実際はその船団には病院船は含まれていなかったので、病院船の標識を擬装していたのか、あるいは何かそれらしいものを誤認したのか。いずれにせよ、病院船に対する攻撃は避けよ、ということが搭乗員たちにしっかり意識されていたことがわかる。 pic.twitter.com/JOjWKKO9bu

2020-02-04 07:44:12
拡大
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

二階堂大尉の編隊が爆弾を落としたその下にいたクラークは、この時のことを次のように書いている。 航空機のエンジン音が聞こえてきた。見上げると、空には次々黒い点が見える。全部で27個だ。こんなところを友軍機が飛んでいるはずはない。ジャッ○だ! 護衛の重巡洋艦は急いで探照灯で信号を

2020-02-04 07:46:54
和中 光次(わなか みつじ) @111g0

送ってくる。船団は陣形を解き、散開。三角形の編隊を組んで日本軍機はどんどん接近してきたが、まだ高度は高い。翼に赤い丸が見える。重巡洋艦が砲門を開き、砲撃開始。我が輸送船の3インチ高射砲も火を噴き、その衝撃で船尾が振動した。 黒い炸裂煙がジャップの機の周りに次々と開いていく。

2020-02-04 07:47:22