【両手の二月】福間健二 #k2fact321
しし座、北斗七星。あまらない星。歌わない自由とこれは言い訳に使えそうな惑星、金星。必要かどうか考えずに力を発揮している。別のだれかになること。この時期、だれもが、夢見たことはあると言う。つまり、ねじれた心の、精一杯のやさしさに、不用意に進行形は使えない。(両手の二月1)#k2fact321
2022-02-08 17:19:39取り外され、ついに戻る物語が見つからない部品。街の気配、変わっているのか。やがて二人は、隠された世界からのささやく声、チャンスだったのに聞きのがして。わからなくなる。青空の下で今日のおかずとかで言い合いをすることの、まさに青空性。もう少し大きな袋がいる。(両手の二月2)#k2fact321
2022-02-09 10:19:36タバコの吸い方、ジュースやビールの飲み方。そして人との、距離のとり方。自分がいやになっても、自分の歌を反芻している。骨と棒、意味のよくわからない笑いとやってない宿題。天井から壁に広がる、寒い海。打ちあげられたボート。とてもやさしく話しかけてくれたのに。(両手の二月3)#k2fact321
2022-02-10 09:34:32午前十時までの、胴体。やっかいなことの泥沼の、波動を感じてしまうと何を入れても、風に。言わせる。望んだわけではないとしたい着陸に相当する第一楽章、遅い速度。台所やガレージに行方不明の人や動物が戻っている、ということがある。ごめん、ちゃんと探さなかった。(両手の二月4)#k2fact321
2022-02-11 10:27:39しみるなあ、この青。濃いのに明るい。気に入ったインクで弟が母のために地図を描いている。途中すわって休む場所があれば。輪っかと名前、使いみちのわからない三角形も。十年前の冬にもうひとりの自分が死んで、そこからの永遠。散歩はいいですね。迷子にならないように。(両手の二月5)#k2fact321
2022-02-12 11:01:39若くて厳格な人が帰ってくることもある。きれいな爪。見知らぬ母。中で使うものと外で使うものを混同しないで。ぼくは黒い木々を見る。負ける。遠くても確実な、対処しようのない破滅、までを考えている人。ちょっと狂った寒暖計が笑う。新しい楽章だ。人の話を聞きなさい。(両手の二月6)#k2fact321
2022-02-13 10:28:23数字の社会。やわらかい人体で、どうしろと言うのか。いつも時間が足りなくなる。通路、風物、使いすぎた部位、斜めの軸、みんなお疲れさま。出口で待っていた悲しみくん、ついてこなくていい。ぼくはきょうを確かめる。ヴァレンタインデー。空気と光、数えられないもの。(両手の二月7)#k2fact321
2022-02-14 15:26:13母と弟の夢。母が馬に乗って弟がその馬を引いて帰ってくることも。その馬の目にも負ける。視野が広いのだ。その目のなかに吸い込まれる。非常の液体は避けても、速報の流れる社会に出る。ゆっくりと息をする。あまり発展しないように。日々の残像をつないで量に抵抗する。(両手の二月8)#k2fact321
2022-02-15 13:01:56悪天候でも自分だけに語ることなら、ほぼ晴れて。なかったことにできない出来事と隠せなくなった夢、右手と左手だ。不備、そのためのなにかに咬まれるような不利、両手でかかえてしまえばどうってことないのだが、戻らない父たち。理屈を言っている。みぞれ降る暗い街で。(両手の二月9)#k2fact321
2022-02-16 13:40:54ピアノ、上達しない。片手ならなんとか。合わせて両手でやるとおかしくなる。でも、未知の断片との連結のために戻る人、何度でも戻る。台所と学校。両手でも足りなくなる拾い物と落ち込みにくい体質。家族と旧友たちのおかげだが、歌う悲しみくん、きみにも感謝しているよ。(両手の二月10)#k2fact321
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