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芥川龍之介との関係では、芥川の短編「葱」(『新小説』大正九年一月)が、今東光から聞いた話をもとに千代をモデルにして書かれた作品だということになっている。 (曾根博義『私の文学渉猟』42) 「葱」は芥川の作品でも五指に入るくらい好きなのにこれは知らなかった。
2022-01-30 10:17:52最後洒落てるな。こういう引用をサラッとやれるようになりたいぜ…。 pic.twitter.com/1tKYJDuPm1
2022-01-30 10:27:13しかし「純文学」という用語自体、戦前の第一次文学大衆化の時代に、既成文壇文学が「大衆文学」の進出と公正からいかにして身を守り、生き延びるかという、被害者としての危機意識から生まれた言葉にほかならなかった。 (曾根博義『私の文学渉猟』74)
2022-01-31 01:36:51昭和三〇年代の文学大衆化の時代には、批評も文学の一ジャンルだという認識が一般化するだけでなく、批評でも食えるという夢さえ実現されかかった。批評あるいは文芸評論がカッコよく見える時代が来ていたのである。 (曾根博義『私の文学渉猟』76) 逆に昭和三〇年代からなんやな、という感想。
2022-01-31 01:46:28文学について考える場合も、本や作品だけでは面白くない。作者はもちろんだが、編集者や読者やそれにかかわりのある人、人間にどうしても関心が向いてしまう。あなたは他人のことに興味を持ちすぎると、今は有名作家になった若い女子学生に言われたことがある。 (曾根博義『私の文学渉猟』)
2022-02-13 02:12:08語学教育の発達と普及は、大正期から昭和期にかけて外国語が読める多数の文学青年たちを産む出していた。とくに昭和に入ってからは、世界の新しい文学の動向を知るために、欧米の雑誌や単行本を言語で直接読む人々も多くなっていた。 (曾根博義『私の文学渉猟』134)
2022-02-13 09:30:46このように「アパート」という言葉が流行語になった大正末年から昭和初年の時代でも、言葉の持つモダンなイメージと実際の対応物との間にはかなり大きなギャップがあった。 (曾根博義『私の文学渉猟』165)
2022-02-15 11:27:26「孤独」はわれわれの考えているほど客観的な存在でも、自明の観念でもない。現代の「孤独」は「孤独」という新語の生み出した観念であり、言葉以前には存在しなかったのである。 (曾根博義『私の文学渉猟』168) こういうものって実は結構多いんじゃなかろうか。
2022-02-15 11:36:30帝大新聞に『晩年』の広告を出すつもりで山岸外史にその推薦の言葉を依頼した手紙では「『天才』くらゐの言葉、よどみなく自然に使用下さい」と書いている。こういうことを抜け抜けと言ったり、やれたりする神経の持主でないと「太宰治」にはなれないのだ。 (曾根博義『私の文学渉猟』297)
2022-02-19 16:06:11日本語には、言葉がつねに発話の場や発話者に結びついていて、そこから離れて自律しにくいという特徴があるらしい。言い換えれば、発話者や発話の場が聞き手にすぐわかるような言葉や語り方が本当らしく聞え、その場や人物を離れた客観的な言葉や語り方は、
2022-02-19 16:08:21その内容がどれほど妥当であっても、その真実性を支える実感的根拠、つまりリアリティを欠く。 (曾根博義『私の文学渉猟』309)
2022-02-19 16:09:33『生』の語り手は、作中人物と同じ平面(場)にいて、人物や場を外側から描写したり、ある人物の中に入ったり出たり、また別の人物の中に入ったりしながら、その場全体を自由に移動する。 (曾根博義『私の文学渉猟』311) 滝口悠生『死んでいない者』もこういう語りのかたちをとっていた気がする。
2022-02-19 16:18:48その結果、単一の主観ではなく、複数の主観を同じ平面に並べるというかたちで、西欧近代の客観とは異なった一種の「客観」がそこに実現される。「平面描写」とはそういう性質のものではなかったかと私を考えている。 (曾根博義『私の文学渉猟』312) このあたりは自分も関心があるな。
2022-02-19 16:22:58今ではほとんど忘れられているが、昭和初年はマルクス主義とともにフロイトの精神分析が流行した時代である。 (曾根博義『私の文学渉猟』332)
2022-02-20 01:14:53フロイトないし精神分析についての大槻憲二の最初の著作は昭和四年一月から四月まで『文章倶楽部』に連載された「性欲心理学から見た文芸」である。続いて同年六月四日付の『東京朝日新聞』に「無意識心理派の文学」を発表した。 (曾根博義『私の文学渉猟』334) 尾崎翠を想起してしまうな。
2022-02-20 01:29:53