Togetter - 電撃文庫編集者・三木一馬さんの「ストーリーも生き物、起死回生のナイスな具体例が生まれる過程」
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作家さんと打ち合せをする時、事前にプロットなり原稿なりを頂いて、読み込んでおきます。そして打ち合わせ時には「こう言おう!」と思い一杯メモしておくのですが、あとから読み直すそのメモ書きのなんと使えないことか。……というお話です。
2011-08-18 00:27:07これはあくまで個人的な事象なのですが、作家さんと喋っている時に、ノリやダメもとでパッと浮かんだネタのほうが、温めていた指摘よりも、なぜかキャラやシーンが動きまくります。
2011-08-18 00:27:18「相手にどう言えば、この面白さがわかってもらえるか」と、会話の中で四苦八苦してプレゼンしているその仮定で、とても良いアイディアやネタが湧いてくることがあって、しかもそれがクリティカルな結果を生むケースが多いような気がします。
2011-08-18 00:27:27たとえば友達通しで試験勉強をしていて、問題を解けない友達にどんな表現を使えば理解してもらえるか、と方法を練りながら説明していると、自分の理解がより深まるときがあります。
2011-08-18 00:27:36「あ、自分はこの問題についてこうやって理解していたのか」と。就職活動の自己分析にも似た、今までと違う観点から物事を見ることで、斬新な閃きがあります。
2011-08-18 00:27:45それらは目の前に相手が居る、リアルタイムに湧き出てくることが多いです。なので、最近の自分のプロットや原稿の赤入れはパッ見、かなり意味不明です。
2011-08-18 00:27:59最近の原稿のメモを見ると、「ここでどかーん」「シーンの最後やばい感じで」「このへんどーにかする。元気に」って書いてました……いいのかこれで。いやいいのです。
2011-08-18 00:28:09やり方としてはこうです。打ち合わせの時に、以前の自分が書いたこのメモを見て、まず自分自身でビックリします。「え、これ書いた自分バカなの? どうするのこれで? 目の前で作家さんが真剣な顔で自分見てるけど!!!」相手の作家さんはこちらの意見を待っている……!
2011-08-18 00:28:22どうにかこのニュアンスを伝えねばならない。さあどうする。比喩なのか直接指摘なのか、身振り手振りなのか、過去のエピソードから引用するか……とにかく自分の考えを伝えようと悪戦苦闘します。
2011-08-18 00:28:32するとその仮定で、起死回生のナイスな具体例がうまれる! ……ことが多いのです!ここで大事なのは、同時に『代案を出せない駄目出しはしない』と心がけておくことです。「ちょっと違うんだよな」と言ったたぐいの指摘だと、双方思考停止です。
2011-08-18 00:28:44代案はボツになっても良いのです。とにかくどのようなことをして欲しいと自分が思っているか、それが無様な方法でも良いので相手に伝われば、作家さんは創作のプロなので、自分の意見を汲み取りつつ、代案よりもさらに面白い展開をひねり出してきてくれます。
2011-08-18 00:29:02思ったことは、作家さんは当然ですが、実はストーリーも生き物なんだなということです。血が通っていて呼吸をしているのだと。相手に分かってもらいたい、どうにかこの考えを伝えたいという想いが、作家さんだけじゃなく物語という生きた存在にも伝わらないと、呼応してくれない、と日々感じています。
2011-08-18 00:29:21