人生の最終段階、自分でどうしたいかを選べる人は3割しかいない。では、どう備えるか。

「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の内容を紹介し、
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内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

先日、「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」についてツイートしまとめました。 togetter.com/li/1834544 ここで書いたように、認知症の診断を受けるとすぐに意思決定が困難と判断され、様々な決定の蚊帳の外に置かれてしまうことは現状の大きな課題です。続く

2022-01-26 16:04:43
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

一方、認知症が進行することで少しずつ複雑な意思決定に困難が伴うことも事実です。 人生の最終段階において7割の人は自分で意思決定ができないというデータもあります。 これは、「長生きすると誰しも認知症となり人生の最終段階で多くの人が意思決定困難となっている」と言い換えることができます。

2022-01-26 16:04:43
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

このため、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」についても紹介します。 mhlw.go.jp/file/04-Houdou…

2022-01-26 16:04:43
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

いわゆる終末期ケア(厚労省は「人生の最終段階」と言っています)の議論が白熱した一つのきっかけは、2006年3月富山県の射水市民病院で、がんなどの末期患者7人の人工呼吸器が担当の外科部長によって外されたことが発表されたことでした。

2022-01-26 16:04:44
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

患者本人の意向について確認していないケースが多く、家族の意向についても書面がありませんでした。また、この外科部長が他の医療スタッフと相談せず決断したのではないかということも話題になり、国でルールを作るべきだという声が高まりました。

2022-01-26 16:04:44
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

2007年5月に厚労省から「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」が発表されます。 このなかで、きちんとした決定プロセスをふみさえすれば、医療行為の不開始や中止も選択肢としてありうるという姿勢が示されました。

2022-01-26 16:04:44
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

その後、各学会に影響が広がり、2012年には日本老年医学会が適切な意思決定プロセスがあれば、「人工的水分・栄養補給の中止ないし減量という選択肢もありうる、という姿勢を示しました。

2022-01-26 16:04:45
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

2014年には日本透析医学会から、2016年には日本心不全学会から、2017年には日本呼吸器学会から、2017年には日本臨床救急医学会から、治療を見合わせるという選択肢がありうるという姿勢が示されました。

2022-01-26 16:04:45
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

2015年には「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」へ名称のみ変更。 そして、2018年3月に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」として内容も改訂されました。

2022-01-26 16:04:45
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

この改訂の特徴として、 「ケア」の決定がタイトルに追加されたように医療行為だけでなくケアについての決定も含まれるものとなったこともあり、「患者」という表現が「本人」に変わっています。

2022-01-26 16:04:46
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

「緩和医療・ケア」とともに、「本人・家族の精神的・社会的な援助も含めた 総合的な医療及びケア」(トータルケア)の充実の必要性が強調され、「延命治療の中止」のみに焦点が当たらないように配慮されています。

2022-01-26 16:04:46
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

本人の意思の確認が「できる場合」と「できない場合」とに分けていて、本人の意思の確認ができる場合には、できるだけ本人の意思(自己決定権)を尊重することになります。 本人の意思が確認ができない場合は、家族が本人の意思を推定できる場合と家族が本人の意思を推定できない場合に分けられます。

2022-01-26 16:04:46
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

「家族が本人の意思を推定できる場合」は、その推定意思をもとに決定を行います。この「推定意思の尊重」が大きな特徴であり重要です。 できるだけ本人の意思(自己決定権)を尊重していることになります。 また、家族に意思決定の負担をしいらないという点も重要だと感じています。

2022-01-26 16:04:47
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

本人の意思決定が難しい場合、現状では「本人は決定できないのでご家族が代わりに決定してください」と主治医に言われることが多いです。本人の推定意思ではなく家族の意思を聞かれるのです。 これでは、仮に胃瘻を作るかどうか決定する場合、

2022-01-26 16:04:47
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

胃瘻を作ると家族が決定すると「管に繋がれて生きているこの状態が本人のためだったんだろうか」と悩み、作らないと決定すると「胃瘻を作らないことで死を早めたのは自分の責任ではないか」と悩んでしまう。しかし、本人の推定意思にそって決定ができれば、こういった悩みも軽減できます。

2022-01-26 16:04:47
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

家族の役割も尊重されています。 「家族とは、本人が信頼を寄せ、人生の最終段階の本人を支える存在であるという趣旨ですから、法的な意味での親族関係のみを意味せず、より広い範囲の人を含みます」と付け加えられており、今後単身世帯が増えることにも配慮されています(そこで「家族等」という表記)

2022-01-26 16:04:48
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

家族がいない場合及び家族が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、「本人にとっての最善の治療方針をとることを基本とする」とあり、本人の意思も家族の意向も分からないときには、医 療・ケアチームが、 「患者にとっての最善」の方針をとることになります 。

2022-01-26 16:04:48
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

今回のガイドラインでは、アドバンスケアプランニング(ACP、その後「人生会議」に改称)の重要性が強調されました。 ACPは1995年頃に欧米で始まり広がりました。それ以前からあったリビングウィルや事前指示書のようにあらかじめ書類で残すという方法の限界が明らかとなるなかで、

2022-01-26 16:04:48
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

本人の意思は心身の状態の変化や時間の経過などに応じて変化しうるものであるという考え方から、医療・ケアの方針や本人がどのような生き方を望むかなどを、日頃から繰り返し話し合うことをACPとしました。

2022-01-26 16:04:49
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

あらためて、人生の最終段階において7割の人は自分で意思決定ができないというデータがあります。 自分が最後までどう生きたいかについて考え信頼する人と話し合っておくことの重要性を多くの人に知っていただきたいと思います。

2022-01-26 16:04:49