映画「ブルー・バイユー」で学ぶ「戦争・アメリカ・移民」・・・国際養子やボートピープルにも触れて

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Chihok @Chihokomoriya

ベトナムはフランスの植民地だったこともあり、雰囲気が似ている旧ルイジアナ領に移り住んだ。ちなみにデトロイトに定着したベトナム系を描いた作品がクリント・イーストウッド監督の「グラン・トリノ」。amazon.co.jp/dp/B00FIWCIQO/

2022-02-14 03:05:26
Chihok @Chihokomoriya

彼らもまた気候と街の雰囲気が故郷と似ていたニューオリンズに馴染み、主に漁業や水産加工、食品加工の職に就き、かつての苦力と同様に短期間で財を成した人もいる。劇中のベトナム系女性は、家族や同じコミュニティ同士でニューオリンズに流れ着き、ベトナム文化を保持したまま大きな家に住んでいる。

2022-02-14 03:05:26
Chihok @Chihokomoriya

一方、主人公は3歳でアメリカに連れてこられ、実の親の名前も、かつての自分の本名も分からず、故郷の韓国の文化も言葉も失い、里親の間をたらい回しにされて虐待され育ち、貧しい境遇に置かれている。何もかもから断絶され、アイデンティティが定まっていない。この明暗の差。

2022-02-14 03:05:27
Chihok @Chihokomoriya

本作は勿論家族を引き裂く非人道的な現在のアメリカの移民政策を批判するメッセージもあるだろうけど、同時に子供も海外に売り飛ばすような国際養子縁組をしまくる韓国の政策も批判している作品だと思う。韓国は朝鮮戦争終結後の1953年から国際養子を送り出すようになる。

2022-02-14 03:05:27
Chihok @Chihokomoriya

最初は朝鮮戦争に参戦したアメリカ軍の兵士と韓国人女性との間に生まれたハーフや戦災孤児をアメリカに送り出したのがきっかけだが、やがて未婚の母の子供や貧困で捨てられた子供を国際養子に出すようになり、1970年代からその数が急増、現在までに16万人以上もの韓国出身の子供が海外に送られた。

2022-02-14 03:05:28
Chihok @Chihokomoriya

あまりに多くの韓国の子供が国際養子縁組するもんだから、一時期韓国は「赤ん坊輸出国」と揶揄され、欧米では「貧しいアジア人の子供を育てる」ことが富裕層のステイタスになっていたという。そして、「ステイタスだから貰ってはみたけどやっぱりいらない」となって愛されなくなってしまった子もいた。

2022-02-14 03:05:28
Chihok @Chihokomoriya

そこで気付くのが、本作の主人公を含め、ニューオリンズにアジア人が流れ着く背景には必ず戦争があり、皆当人の意思とは関係ない不可抗力だったという歴史。

2022-02-14 03:21:06
Chihok @Chihokomoriya

アジア人苦力がニューオリンズに来た背景には南北戦争が、ベトナム人が来た背景にはベトナム戦争が、そして主人公が養子に出された背景には朝鮮戦争がある。戦争によって人は流浪し、異国に流れ着き、そして根を張るが、そこでまた抗いようのない国家の力によって分断される。

2022-02-14 03:21:06
Chihok @Chihokomoriya

アメリカが戦争で形作られている国であることに改めて気付かされる。そして現在のアメリカの家族を引き裂く移民政策も、韓国の国際養子縁組も根っこは同じであることも。それは「人材をみすみす国外流出させている」こと。

2022-02-14 03:21:07
Chihok @Chihokomoriya

国家にとって最も貴重な資源は人材なのに、それを積極的に国外流出させることをしている。それが数十年後にじわじわと国家を蝕み、衰退させていくというのに。

2022-02-14 03:21:07
Chihok @Chihokomoriya

ということで、これから「ブルー・バイユー」を見る人は、事前に南北戦争とニューオリンズの歴史、朝鮮戦争と韓国の国際養子縁組、ベトナム戦争とボートピープル、トランプ政権下の移民政策についてあらかじめ予習しておくとより楽しめるのでオススメです。

2022-02-14 03:21:08