掌小説語り~自作つぃのべる集~91

自作つぃのべるのまとめです。 2020年11月分。
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リュカ @ryuka511

「約束が違う? 約束とは対等な者同士で初めて成り立つものだよ。」怒りと屈辱に震える私をよそに、貴方は宝石を満足げに眺める。私を踏み躙って、貴方は其れを手に入れた。これも計画通りとはいえ、忌々しい。其れは精巧な偽物。見破れたなら生き延びられたのに、残念だったな。 #twnovel

2020-11-27 01:23:57
リュカ @ryuka511

外套の襟を掻き合わせ夜道を急ぐ。暑すぎる日々を恨めしく思った夏が懐かしくさえある。寒いのは嫌いだ。縮こまらせた身体は気持ちまでも小さくさせる。大切なものを傷つけ失うのは、決まって冬の夜だった。言い訳だろうって?解ってるよ。寒い冬のせいにして、素直に温め合えば良かったんだ #novelber

2020-11-27 23:50:21
リュカ @ryuka511

ここではみんな僕に優しい。淋しい時には慰めてくれる。頑張った時には褒めてくれる。身体を気遣ってくれる。僕の求めるものを与えてくれる。僕を愛してくれる。当然だ。僕がそうプログラムしたから。ここの全てが虚構だと分かっていたけど僕は幸せだ。現実には、どれも手に入らなかったから #twnovel

2020-11-28 23:56:43
リュカ @ryuka511

「えっ⁉︎」警報器が鳴る踏切の向こうに君がいた気がして。ふらりと足を踏み出した瞬間、強く腕を引かれた。尻餅をついて我に帰る。快速電車が通り過ぎる。僕の周りには誰もいない。遮断器が上がる。君はもちろんいない。白昼夢か。なら、僕の腕を引いたのは、君?まだ、逢いに行けないの? #novelber

2020-11-29 23:46:59
リュカ @ryuka511

人間でありながら魔王を討った青年は、後に塔を建て自分を封印した。救世主と持て囃される事に嫌気がさしたとも、魔王を超える自身を恐れたとも、様々に噂されたが誰も真相は知らない。その塔は、魔王城があった孤島から程近い岬にある。その姿は、孤島に寄り添っているようにも見えるという #novelber

2020-11-30 23:40:10