- rouillewrite
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後ろ髪を引かれるような表情をしている少女や探偵たちに笑顔で背を押すと、ようやく歩き出した彼らの背を見送った。
2022-04-21 21:26:37と、言い残してナタリアが走り出そうとした方向は、部屋がある方とは逆の方向だ。 慌ててメノンは彼女の肩を掴むと、「そっちは逆です」と告げる。 そのことに気づき、ナタリアは足を止めて舌を出して笑った。
2022-04-21 21:28:34無理して明るくしているのか、それともそれによって自分を鼓舞して考えないようにしているのか、メノンがいるであろう方向にナタリアは手を差し出した。 ほんのり右にズレているが、一応方向としてはメノンの方を向いている。 視覚を失った分、聴覚が鋭くなったのだろうか。
2022-04-21 21:29:56メノンはその小さな手を取る。手をとると、少し嬉しそうに笑うので、切ないような温かいような気持ちになった。
2022-04-21 21:32:55「帰って休みましょう。 あぁついでに、“お医者さん”に診てもらいましょうねぇ」 「病院はやだなぁ」 「もしかしたら治るかもしれませんし、一応ね」 「へへ、そっかあ」
2022-04-21 21:33:57伸ばした手をそのままに、ギル・アーティは勢いよく起き上がった。 追いかけようとしたからなのか、親友が居なくなってしまうような気がした緊張感からか、起き上がった自分の体は随分汗だくだった。
2022-04-21 21:37:55「…………………………………………」 pic.twitter.com/jMbRzgnf0O
2022-04-21 21:38:29呼吸を整えてベッドの左を見ると、レイラが椅子に座ったまま眠っている。 …ずっと、見てくれていたのだろうか。 そういえば誰もいない。
2022-04-21 21:40:04ガタン!という大きな音ともに膝から崩れ落ちてしまう。 その音で目を覚ましたレイラが「お兄様!?」と驚いたようにギルの肩に手を添えてきた。
2022-04-21 21:43:02「…よかった…目が覚めて…!で、でも大丈夫ですか…!?お怪我は…!?」 「……い、いや……大丈夫、」
2022-04-21 21:43:36どれくらい眠っていたのか。 ギルが発した声は随分と弱々しかった。それに身体に力が入らない。 どうしたものか、と床に手をつけて四つん這いになった状態から動けないでいると、ガチャリと扉の開く音がした。
2022-04-21 21:45:02入ってきたのはデアダームだ。液体の入った袋を持っているが、あれは替えの点滴だろうか。 ベッドのそばの机の上にそれを置いて、慌ててギルをベッドへと戻す。
2022-04-21 21:47:40「4、5日ほど眠っておられたのです。急に起き上がればそうもなりましょう」 「4日…!?待て、みんなは…リオの旦那は!?」 「…………夢でも見ておられたのですか?」
2022-04-21 21:48:08ギルの焦ったような言葉に、デアダームは首を傾げる。 「とにかく皆さんを呼んで参ります」と彼がそう口にした時、先程の音を聞きつけたのか再び扉が開いた。 本館から各々部屋に戻った後、部屋で休んでいた全員が、仮医務室に集まってきた。
2022-04-21 21:50:29