- rouillewrite
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エリーゼと一緒ならそれでいいが、イーライが“エリィ”と一緒にいると思い込んでいるのなら、むしろ不安の種でしかないのだ。
2022-04-28 21:28:34そんなことをぼんやり考えていたからか、朝食を口に運ぶ手が疎かになる。 隣で様子を伺っていたマリンが心配そうに声をかけてきた。
2022-04-28 21:29:31「そう…? ……あんなことがあって、アシュリーもきっと食欲ないだろうけど…食べないと元気でないもんね!うん!」
2022-04-28 21:31:55そう言って明るく笑うマリン。 そんな言葉とは裏腹に、彼女の前にある朝食はほとんど減っておらず、精神的に消耗しているのが見て取れた。
2022-04-28 21:32:17目を細め、無理をしていると明らかに分かる彼女に心配をかけるわけにはいかないと、アシュリーは再び朝食に手を付け始めた。
2022-04-28 21:33:32まずはイーライの部屋に行ってみよう。メノンとナタリアが死んだことを、あの2人は未だに知らないだろうから。 この状況で伝えるのも気が引けたが、遅かれ早かれ分かることだろう。
2022-04-28 21:34:26チキンスープをトレーに入れて、左の方に運んでいくデアダームを視界の端で見ながら、アシュリーは再びため息をついた。
2022-04-28 21:35:09………朝食後、Aと書かれたプレートの前でアシュリーはマリンと共に立っていた。 随分静かだが、まさかまだ寝ているのだろうか。
2022-04-28 21:36:19マリンが3回小さく扉にノックをしてから、そう声をかける。 しかし、依然として返事はない。 まさか本当にまだ寝ているのか。
2022-04-28 21:37:50イーライはともかく、朝食にイーライを引っ張ってくるほど早起きするのが得意なエリーゼが、この時間まで寝ているのはさすがに有り得ない。
2022-04-28 21:39:46…さすがに疲れているのだろうか、そっとしておくべきか、とマリンと目を合わせて扉の前から立ち去ろうとした時。
2022-04-28 21:40:26「! エリーゼ?大丈夫?具合悪いの?まだ眠たい? ごめんね、朝ごはんもう終わっちゃって」 「違う、違うんです、……ごめんなさい。ご心配をおかけしてすみません、」
2022-04-28 21:41:19エリーゼの声が震えている。 やはりそっとしておくべきだろう、とアシュリーがマリンに目配せをしようすると、扉の向こうで、ガタン!と大きな音がした。
2022-04-28 21:42:22すぐに小さく「痛…」とエリーゼの声が聞こえる。 中で何かあったのか、怪我をしたのかとマリンは慌てて扉に手をかけた。
2022-04-28 21:42:52とにかくエリーゼのことが心配なマリンは、扉を開ける。 ギィィと音を立てて開いた扉の中は暗い。 …アシュリーがベッドの方を見ると、イーライはまだ眠っているようだった。エリーゼも今起きたのだろうか。 しかし服はいつものものである。
2022-04-28 21:44:47彼女の髪の所々が、白くなっていたことだった。 pic.twitter.com/z8chLOEkeq
2022-04-28 21:46:15座り込んでこちらに背を向け、光の差し込んだこちら側を見つめてくるエリーゼの瞳は揺れていた。 驚いて固まっている2人の姿を見て、ようやく冷静になれたのかエリーゼは目を伏せた。 隠し通せるわけが無い、という諦めの表情で。
2022-04-28 21:48:35