【ある冒険者の装備】

サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の装備23】『ビームガン』 「そろそろ着陸態勢に入る。用意は出来ているな？」 「コイツの出番がなければラッキーなんだがね」 「文明レベルはともかく、翻訳データからは知性レベルに大きな違いが見られなかったぞ」 「知性があれば争いが起きないなんて、信じていたかったなあ」

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【ある冒険者の装備24】「まさかと思うけど、その矢は全部買ってるのかい？」 「"まさか"だな。全部手作りだ」 「へえ……売り物にしか見えないな。しかしいちいち作ってるんじゃ、いざってとき矢が足りなくなったりしないのかね」 「それは自分の見積もりが甘かったというだけのことだ」

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【ある冒険者の装備25】『針』暗器として用いるつもりがあるなら、長期に渡る鍛錬を避けることはできない。的確に急所を突くことができなければ、致命傷を与えることはおろか獣相手であれば皮膚を貫くことさえ叶わないだろう。絵物語を読んで憧れた少年少女が練習し、挫折する確率は非常に高い。

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【ある冒険者の装備26】「ほう！ キミも鎌を扱うのかい!? いやいやまさか同志に出会えるとは思っていなかったよ誰もが鎌を武器だなんて変人扱いだしところで良かったら技術を見せてくれないか勿論希少だし秘密なら無理にとは言わないのだが是非互いを高め合うためにも」 「これはただの草払いだ」

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【ある冒険者の装備27】『暗黒剣（偽）』特殊効果を持たない、ただ丈夫なだけの黒い剣。本物であれば振るうたびに生命力を吸われるが「あなたは暗黒騎士の適正があるから影響がない」という言葉を持ち主は信じ切っている。切れ味は平凡だが非常に頑丈なため、使い手次第では攻防に優れた武器と化す。

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【ある冒険者の装備28】「随一の槍使いだったキミが剣に持ち替えだなんて、どんな心境の変化だい？」 「さあ」 「アレかな？ 槍を使うまでもないってこと？」 「どうかな」 「確かキミの好敵手は剣士だったよね。意識して――」 「興味ない」 生涯、彼の剣が友の形見であると語ることはなかった。

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【ある冒険者の装備29】『仕込み杖』鞘に収めた剣を杖代わりにしていた者が「行儀が悪い」「剣が傷む」などと指摘され、煩わしさのあまり作成したもの。人間相手に振るわれることはなかったが、その完成度は非常に高く、仮に相対してもそれが仕込み杖だと見抜ける者はいないだろうと言われている。

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【ある冒険者の装備30】高価で優れた装備は持ち主の生存率や依頼の成功率を高める一助となる。しかしそれは物事の主たる要因ではなく、装備を適切に活用できる知識と判断力がなければ、大枚はたいて揃えた優秀な装備の数々はあなたの亡骸を漁った別の誰かの懐を温める助けになるかもしれない。

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【ある冒険者の装備31】「必需品なら、雨避けにテントも必要だな。都合良く小屋だの洞窟だのあるとも限らないし」 「岩に穴開けるべ」 「それは君だからできるんだ」 「ゴーレム作って屋根にするとか」 「それは君だからできるんだ……」 「天候操作でいいですよ」 「それは君だからできるんだ！」

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【ある冒険者の装備32】『矢避けの護符』身に着けることで、自身に対し殺意を込めて放たれた矢が当たらなくなる護符。射られたことを認識していなくても避けられるが、本人の意思に関係なく体が勝手に動いてしまうため、矢が当たる以上の被害が出る場合もあり使用者の評判は賛否両論である。

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【ある冒険者の装備33】あなたが薬の知識を持っておらず、しかし病や怪我には備えたいと考えているならば、信頼できる薬師から薬箱を買うことを推奨する。丈夫な箱は中身を保護し、薬草や丸薬は用途別に仕切られ使いやすい。決して安くはないが、それがそのまま命の値段に繋がることはよく考えよう。

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【ある冒険者の装備34】『耐火マント』難燃性のマントで、素材によってはドラゴンの吐息を受けてさえ燃焼を防ぐ。炎を扱う敵や獲物との対峙に重宝されるが、耐熱ではないことを理解せず装備する者も少数ながら存在し、時折落ちているマントはそのような者が身に着けていたのだろうと言われている。

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【ある冒険者の装備35】「あなたの料理は調理器具からしていつも凝ってるね。もっと手抜いていいんだよ？」 「そう言われても、この料理研究書に書かれてるものしか作れないんだ」 「難しいことはできて、単純なことができないとは奇妙なものだね」 「見知った知識をそのままなぞってるだけだからさ」

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【ある冒険者の装備36】「これぜーんぶ変装用の衣装？ にしても女物が多い気がするけど」 「そりゃ変装なら異性のほうが効果的だからな」 「どれ、キミがどれほど可愛くなるか見せてもらおうか」 「その代償は『今後お前に近付く女が俺の変装かもしれない』呪いだが、構わんよな？」 「うわあああ！」

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【ある冒険者の装備37】『装甲靴』 「そんな鉄塊みたいな靴で荒地を歩く奴があるか！」 「だって丈夫な靴を用意しろって言ったじゃーん」 その靴は、固く尖った棘の生えた植物も、革程度なら触れただけで裂く鋭利な岩石も踏み砕いた。翌日に歩けなくなる疲労に見合う結果かどうかは本人のみぞ知る。

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【ある冒険者の装備38】『聖書型暗器』神の教えを記した書物を模した暗器入れ。金属針やナイフ、薬物等が仕込まれているほか、書物自体も打撃に耐えうる素材が使用されている。これを使う者は罰当たりとされている一方で、敬虔な信者であることを示すためにこれを使うべきと主張する者もいる。

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【ある冒険者の装備39】「身にまとった岩石をゴーレムとして操作することで効率の良い戦闘が可能になる！」 「岩石を操るだけで良いのでは？」 「自身の目で状況確認できる上に、無防備な術者が狙われる欠点も克服できるのだよ」 「どうでした？」 「暑い……無理……」 「通気性最悪ですもんね」

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【ある冒険者の装備40】『鋼のペンダント』身に着けていたことで幸運にも刺突や射撃による致命傷を免れた逸話にあやかろうと、一部地域で流行り始めた装飾品。重く大きく頑丈になるほど攻撃を防げる確率も高くなるが、それは無粋だからと標準サイズのペンダントを身に着ける者がほとんどである。

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【ある冒険者の装備41】『賢者の石（偽）』所持しているだけで持ち主の願い事が叶うという触れ込みで売買されている石。ささやかな幸運を寄せる効果があるため虚偽ではないものの、価格には全く釣り合っていない。簡単につけ込める目印として、詐欺師たちからは"愚者の石"として呼び親しまれている。

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【ある冒険者の装備42】「俺の携帯食料セット、妙に偏りがあるな……」 「こっちも。チーズ味が多いね……よし、交渉。こちらチーズ２でそちらフルーツ２、どう？」 「いいだろう。こっちもうすしお１とサラダ１で頼む」 「構わないけど、どっちも結局のところ塩味でしょ？」 「香りが違うんだよ」

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【ある冒険者の装備43】『鏡の盾』自分の姿が明瞭に確認できるほど磨き上げられた盾。一見して魔術の反射効果を警戒する者は少なくないが、そのような効果は一切なく、また強度も高くないため攻撃を受け止めるにも不向き。その性質を利用して光を反射させ、相手の目を眩ませるのが主な用途である。

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【ある冒険者の装備44】「このままじゃ到着前に夜になりそうだ。灯りの用意はあるか？」 「松明～」「ランタンあるよ」「僕は術で」「夜目が利く」 「見事にバラバラだな……まあ対応できる状況が多いに越したことはないか」 「灯り、いらなかったね」 「満月の下を歩くのも風情があっていいもんだ」

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【ある冒険者の装備45】『魔法の地図』水に浸す、日光に晒す、火に炙るなどの方法で地図が浮かび上がる特殊加工が施された紙。既製品以外に持ち込んだ地図への加工もできるため、情報秘匿やシーフギルドの教材、子供の遊びにも用いられる。音声や虹彩による認識も可能なほどの高い技術が使われている。