【創作企画】第15話 希望【UP A Mystery】

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UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

「……これが……最後です。 …最後まで、聞いてください…」

2022-06-02 21:26:55
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

ステルプレーナは涙を浮かべたまま、強く言い放った。

2022-06-02 21:27:41
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

ピンク色の髪の探偵の「ゆっくりでいいからね」という言葉に頷いて……彼女は再び語り出す。

2022-06-02 21:28:34
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

3人が死んだ、という知らせを、イーライとエリーゼが耳に入れるのに、そう時間はかからなかった。

2022-06-02 21:29:47
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デアダームに言われて礼拝堂から急いで本館に戻り、図書室へと駆け込むとそこは惨憺たる状況だった。 遺体回収前だったのか、レイラの遺体の前にデアダームがしゃがんでいる。そっと彼女の瞼を優しく閉じさせて、寂しそうな視線を向けていた。

2022-06-02 21:30:29
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

イーライが瞠目したまま、静かに呟く。 隣にいるエリーゼは、呆然としたまま無言でレイラの方へと歩き出した。「エリーゼ、」と声を掛けられても、止まることはない。

2022-06-02 21:32:17
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

血溜まりの中のレイラ。 何度も何度も腹部を刺されたような傷が痛々しく、時間が経って広がっている血が黒く酸化し始めていた。 エリーゼは彼女のそばにしゃがみこみ、頬を撫でる。 もう涙も何もかもが枯れて、ただ目の前の少女の死を受け入れるのに必死、といった状態だ。

2022-06-02 21:33:26
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

ぼんやりとした雰囲気で、どこかに消え入りそうな少女。 なにか声をかけないと、とイーライが足を1歩踏み出した時…彼女の方が先に口を開いた。

2022-06-02 21:35:45
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「…………………みんな、死んじゃうんですか」

2022-06-02 21:36:39
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「あなたも、私も…。 こんなふうに………… ギルやレイラみたいに… ………みんなみたいに……」

2022-06-02 21:37:58
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ポツポツと呟くそれに、感情はない。 ゆっくりと振り向いたエリーゼの片方だけの碧眼は、今や光などなかった。輝く青い海のようだったその瞳は、暗く沈む深海のように、生気がない。

2022-06-02 21:39:19
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見れば、髪もだいぶ白色が侵食していることに気がついた。 精神的にはもう、限界なのだろう。

2022-06-02 21:40:32
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「………………………………エリーゼ」

2022-06-02 21:40:58
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イーライはもう一度少女の名前を呼んで、そっと近づいた。 自分を見上げて何も言わない彼女に、彼は続ける。

2022-06-02 21:42:14
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「……───俺は予知能力があるんだ」 「……?」

2022-06-02 21:42:38
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突然なんだ、と言うように、エリーゼは首を小さくかしげた。 エリーゼの前まで来た彼は、ゆっくりとした仕草で彼女と目線を合わせる。 そして、優しく彼女の肩に手を添えると、真っ直ぐにその瞳を見つめた。

2022-06-02 21:43:42
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

「…いいか? 君はここで沢山のものを失ってきたが、近い未来また友達ができる。」

2022-06-02 21:44:44
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「マリンちゃんのように優しい子だったり、ミス・ユースティアのように引っ張ってくれる子だったり、アシェルの様に明るい子だったりするかもしれない。 そして、何よりいい男と出会う。 きっと年上だ」

2022-06-02 21:45:10
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

思い描くように、指先で空を描く。 その声は酷く優しい。

2022-06-02 21:46:04
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

「俺なんかよりずっといい男で、きっと君の卑屈な性格すら包み込んでくれる奴だろう。 いいか、これは近い未来の話だぜ?」

2022-06-02 21:46:50
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

「予知ができるなんて嘘かもしれないけど、これは希望だ。 俺がそうあればいい、という話だ。」

2022-06-02 21:48:09
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