【創作企画】第15話 希望【UP A Mystery】

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UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

しかし、少女はその未来を閉ざされた。

2022-06-02 21:06:57
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未来の全てが絶望に染まって行くと思っていた。

2022-06-02 21:07:18
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そこまで話し終えて、ステルプレーナは嗚咽混じりにジルに向かって頭を下げた。 「ごめんなさい」と繰り返す彼女の意図はおそらく、あなたの兄を助けられなくて、という意味だろう。

2022-06-02 21:10:37
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近くで話を聞いていたピンク色の髪の探偵が、そっと飲み物を差し出して「スーナ、大丈夫だから」と心配そうにしているのが見える。 ジルはしばらく…何も言わなかった。

2022-06-02 21:11:32
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口を半開きにして、黙ったままの彼に、黒いコートを着た彼の友人が声をかける。

2022-06-02 21:13:43
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覗き込むようにジルの顔を見ると…彼は、静かに泣いていた。 ───そして、ゆっくりと微笑む。

2022-06-02 21:14:46
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「…ステルプレーナちゃん。 ありがとう」 「……え?」

2022-06-02 21:15:49
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顔を伏せて泣いていたステルプレーナは顔を上げた。 突然告げられた礼に驚いて前を見ると、涙を流したまま微笑むジルは優しげで。

2022-06-02 21:16:59
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「…それから。 君を、救えてよかった……本当に」

2022-06-02 21:17:52
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零す言葉すら、優しかった。 それを聞いた途端、ステルプレーナはこくこくと頷いて泣きじゃくる。 相棒の探偵や友人たちが彼女を宥めているのを尻目に、ジルは俯いて目を閉じた。

2022-06-02 21:18:57
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自分たちが助かったのはギルのおかげだった。 彼の言葉があったから、自分たちは全員生きてあの館から出ることが出来た。

2022-06-02 21:20:01
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しかし、託すと言った彼の“リヒューティを救う”ことだけは、達成できていない。 真実を暴けても、それがまだ残っている。彼女の行方だって分からないままだ。

2022-06-02 21:21:03
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…ギルが死んでしまった。 そんな悲しさと、期待に応えられたかどうかわからず不安になる気持ちと、色んなものでごちゃ混ぜになっていく感情を抑えきれない。

2022-06-02 21:21:56
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そばに居た相棒の少女が「大丈夫ですか……?」と声をかけてきたことで、ようやく我に返る。

2022-06-02 21:22:27
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「……うん、大丈夫。 ありがとう、グレースちゃん」

2022-06-02 21:23:26
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グレース、と呼ばれたその少女は、心配そうに彼を見つめながらも、その答えを聞くと少しだけ微笑んで頷いた。

2022-06-02 21:24:13
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ジルが少女に返事をした直後、ステルプレーナが声を上げた。 ぐしぐしと涙を服の袖で乱暴に拭い、顔を上げる。 相棒の探偵に「スーナ、」と呼びかけられた彼女はそれを制した。 大丈夫、と頷いて。

2022-06-02 21:26:09
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