茂木健一郎(@kenichiromogi）さんの連続ツイート第2851回「私たちの人生は、保坂和志の小説のようなもの」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート２８５１回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

茂木健一郎 @kenichiromogi

英語のユーチューブもほそぼそとやっているけれども、昨日、雨の中走っている途中でしゃべったのは、「すべての人生は未完成である」ということだった。だいたい、走っているうちにこんなことを話そうかと思って、突然iPhoneを自分に向けて話し出す。 youtube.com/watch?v=XIAuVu…

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シューベルトに『未完成』という有名な交響曲があるけれども、すべての人生もまた、未完成である。人生は、物語が終わるまで待ってくれない。フィクションでは都合よく大団円を迎えるけれども、すべての人生は、脈絡と関係なくある日終わってしまう。

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人生だけでなく、さまざまなことがそうである。人間関係であるとか、プロジェクトであるとか、計画だとか、いろいろなことが、その内的な意味とか力学とは関係なく、ある日終わってしまう。そして、そのことは忘れられてしまう。

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日常は平凡だけれども、いつ終わるかわからないという緊張感を内包している。だからこそ底光りしている。ぼくは小説家の保坂和志さんが、デビュー作を編集者に送った時、長さの調整を問われて、「どこでもいいからそこで切ってください」と答えたエピソードが好きだ。

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小説は起承転結がなければいけないと思いがちだが、保坂和志さんのように、それは、いつどこで断ち切られても作品として成立するという達観もある。だとすれば、私たちの人生は、保坂和志の小説のようなものなのだろう。

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以上、連続ツイート２８５１回「私たちの人生は、保坂和志の小説のようなもの」をテーマに５つのツイートをお届けしました。