絵本になった昔話/民話というと、マイナーだろうけど、『むらの英雄』がとても好きな話。エチオピアの民話。 アディ・ニハァスという村の12人の男たちが粉を挽いてもらうために町に行った帰り、1人が仲間を数えたら、自分を数えなかったため、11人しかいなかった。 「大変だ!誰かがいないぞ!」…
2022-07-25 21:36:28…他の者も数え始めるが、みな自分を数えなかったので11人しかいない。「大変だ。道に迷ってヒョウにやられたに違いない」。12人は口々にしゃべり始め、気を付けていればヒョウに食われなかったろうに→ものすごく大きなヒョウだったなあ→でっかいばかりか、気が触れためすのヒョウだった→…
2022-07-25 21:37:09…→あいつは武器も持たないで勇敢に戦った→この国で一番勇ましいやつだった→ヒョウの"群れ"にくわれてしまった。残された妻子は悲しむだろう→勇敢で親切で優しいやつだった、と悲しみながら話が誇大化していき、村に帰った後、知らされた村に人々も悲しみ始めるが、村の1人の子どもが…
2022-07-25 21:37:10…持ち帰った粉の袋が12個あることに気がつき「袋は12ある。それじゃあ12人いるはずだ!」となり、「あいつは1人でヒョウの群れをやっつけて帰ってきたぞ」「武器も持たずにヒョウを皆殺しにしたんだぞ!」「そんなに勇ましいやつがこの村にいるなんて素晴らしいと祭りになり、…
2022-07-25 21:37:10…「この村には1人の強くて勇ましい英雄の話が伝えられるようになったとさ」と〆られる。 勘違いから誕生した存在が英雄になるという、一つの架空の英雄伝承が"できる過程"を描いた民話でとても面白いのだけど、この民話自体がどういう経緯でできたのかが興味深い。
2022-07-25 21:37:11絵本は、渡辺茂男/西村繁男・絵『むらの英雄』(ペンギン社/再刊:瑞雲社)だけど、話自体はエチオピア民話集のハロルド・クーランダー,ウルフ・レースロー/渡辺茂男訳『山の上の火』(岩波書店)収録の「アディ・ニハァスの英雄」から。話も面白いけど、絵本の絵も大胆で好き。
2022-07-25 21:37:11エコーチェンバーな環境で架空の英雄が誕生する過程の話という中々不思議な話だけど、『山の上の火』の訳者あとがきに、この民話集の話はハロルド・クーランダー,ウルフ・レースローがエチオピアで採集した話だということが書かれている。
2022-07-25 21:39:46