利己的な遺伝子によってデザインされる親心

「身体は、遺伝子が別の体を作るための手段である」 → 遺伝子存続のため、身体には親子愛という心理システムが”デザイン”される
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ しかしそこには重要なひねりがある。動物の生殖腺のなかにある遺伝子は、脳をつくっている遺伝子の現存する唯一のコピーではない。それは脳をつくっている遺伝子が複製を助けるのにもっとも都合のいいコピーであるにすぎない。”

2019-12-27 13:48:39
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ ある動物個体のなかにある遺伝子のコピーがほかの動物個体のなかにも存在するのはどんなときだろう?:動物どうしが血縁関係にあるときだ。おおかたの動物の場合、子どもは両親からそれぞれ半分ずつの遺伝子を受け継ぐので、親のなかにある遺伝子が子のなかにコピーをもつ見込みは二分の一である。” pic.twitter.com/eLLXaMFiq6

2019-12-27 13:49:09
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“ 両親を同じくするきょうだいにそのコピーが存在する見込みも二分の一で、いとこに存在する見込みは八分の一になる。ある遺伝子が、その持ち主の血縁者を助ける脳をつくると、それ自身の複製を間接的に助けることになる。” pic.twitter.com/B8NTdXWucN

2019-12-27 13:49:13
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“ 生物学者のウイリアム=ハミルトンは、血縁者の得る利益と遺伝子を共有する確率をかけあわせたものが、個体の支払うコストを上まわれば、その遺伝子は個体群のなかに広まると指摘した。” pic.twitter.com/PZVSvFkYlW

2019-12-27 13:49:19
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“ ハミルトンが形式化したこのアイディアを考慮していた生物学者は、ほかにも数人いるが、そのあらわれとしてなかでも有名なのは、兄弟のために命を投げだせるかと聞かれて、「いや。しかし、2人の兄弟あるいは8人のいとこのためなら投げだせる」と答えた、生物学者のJ.B.S.ホールデンの言葉である。”

2019-12-27 13:49:20
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ 動物個体がほかの個体の利得のために自分を犠牲にする行動を、生物学では利他行動(Altruism)と呼ぶ。利他行動をする者が受益者と血縁関係にあり、したがって利他行動が利他行動を起こさせる遺伝子そのものを利するために進化する場合、それを血縁淘汰と呼ぶ。” pic.twitter.com/3Lb1JnZkii

2019-12-27 13:49:22
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ しかしそうした行動をする動物の心理を見るなら、その現象に他の名称を与えることができる────それは"愛情"である。愛情の本質は他者の幸福に喜びを感じ、他者の苦難を痛みと感じることだ。” pic.twitter.com/ouNGdyZZdB

2019-12-27 13:49:24
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ こうした感情は養育や保護など、愛されるものを利する行動を引き起こす。現代の私たちは、人間を含む多くの動物がなぜ、自分の子どもや、父母、祖父母、孫、きょうだい、おじ、おば、姪、甥、いとこを愛するのかを理解している。”

2019-12-27 13:49:25
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ 血縁者を助ける人は、自分自身を助ける遺伝子に等しい。愛による自己犠牲は、近縁度によって調整される。人は甥や姪のためよりも、子どものためにより多くの犠牲を払う。” pic.twitter.com/cnni9Fu5yt

2019-12-27 13:49:27
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ 犠牲は受益者の生殖年齢によっても調整される。親が自分より余命の長い子どものために払う犠牲は、子どもが親のために払う犠牲よりも大きい。”

2019-12-27 13:49:28
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ また犠牲は、受益者自身が感じる愛情によっても調整される。孫が祖母を愛するのは、祖母に生殖が期待できるからではなく、祖母がその孫を愛し、ほかの家族を愛しているからである。”

2019-12-27 13:49:29
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ つまり人は、自分や自分の血縁者を進んで助けてくれる人を助ける。〔血縁関係にない〕男と女が恋に落ちる理由もそこにある。私の子どものもう片方の親は、私と同じだけ子どもに遺伝的なかかわりをもつので、彼女にとっていいことは、わたしにとってもいい。” pic.twitter.com/Mph3q7oIXi

2019-12-27 13:49:31
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

男女カップルが互いを深く想い合う(愛し合う)のは、遺伝的な利益を───将来的に───共有する関係性だと互いに感じるからだ。セックスをするというのは、その予感を二人で分かち合うことなのだ。 pic.twitter.com/oP0V9NrU3x

2019-12-27 13:49:33
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

そのある種の副作用として、相手の都合を無視した、きわめて利己的(Selfish)にみえる愛し方をする人というのも出てくる。 Re:“ 動物個体がほかの個体の利得のために自分を犠牲にする行動を、生物学では利他行動(Altruism)と呼ぶ。”

2019-12-27 13:49:34
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

当たり前だが、男と女が、遺伝的な利益を共有しない関係性にある場合(たとえば職場のセクハラおじさんと新入社員のOL)、男の側がいくら恋い焦がれても、そこに愛が芽生える事はない。両者は互いに利己的遺伝子ヴィークルであり、女は子孫のためによりよい遺伝子を残すため、男の求愛を切り捨てる。

2019-12-27 13:49:35
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

もし二人が仲良くしているなら、そこには社会的な絆(フレンドシップ)が芽生えるが、それはある種の「協力」「同盟」「保険」としての相互扶助(助け合い)の関係が、利己的遺伝子ヴィークルたる生存機械にとって互いに有益だからだ。

2019-12-27 13:49:36
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

生存機械同士のあいだの、このような関係性の構築を互恵的利他主義/Reciprocal altruismと呼ぶ。 twitter.com/selfcomestomin…

2019-12-27 13:52:24
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

────そこに芽生えるのは「友情」や「好意」ではあるが(もちろん愛情などと呼んでもらってもいいが)、遺伝的利益を共有した男女関係、あるいは家族間の「愛情」のような質を有したものではない。 pic.twitter.com/Yqujhyq7Yx

2019-12-27 13:57:16
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

参考:互恵的利他行動は、霊長類の地位競争に役立つ。 twitter.com/selfcomestomin…

2019-12-27 13:57:18
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

進化心理学者のロバート=ライトは、人間同士の協力関係(=友情)というものが、いかに社会における地位(=ステータス)の争いに役立つかを───当たり前ながらも───論じている。われわれサピエンス社会における人間関係のあれこれも、進化的に霊長類社会と同じダイナミクスにもとづいているのだ→ pic.twitter.com/G0kKDoOKka

2019-11-14 22:43:55
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

────さて、ピンカーは続ける; 「人が自分の子どもを愛するのは、自分の遺伝子を広めたいからではなく、愛さざるをえないからだ」と。

2019-12-27 13:57:18
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ 利己的な遺伝子という説は「動物は自分の遺伝子を広めようとする」と主張する説だと思っている人がたくさんいる。それは事実としても誤りだし、利己的な遺伝子の理解としても誤りである。”

2019-12-27 13:57:19
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ 動物は、大半の人間も含めて、遺伝学のことなど何も知らないし、気にかけてもいない。人が自分の子どもを愛するのは、(意識的にせよ無意識的にせよ)自分の遺伝子を広めたいからではなく、愛さざるをえないからだ。” pic.twitter.com/Ypc2ZLNbFZ

2019-12-27 13:58:03
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ 愛は、親に、子どもがいつも暖かく、十分に食べて、安全であるようにつとめさせる。利己的なのは人間の実際の動機ではなく、その人をつくっている遺伝子のメタファー的な動機である。” pic.twitter.com/t1ZzbqmoeR

2019-12-27 14:01:11
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ 遺伝子は、動物が血縁者を愛し、彼らが暖かく、十分に食べ、安全であるようにつとめるように動物の脳を配線することによって自分自身を広めようと「試みる」。” pic.twitter.com/gFpmj8NHjZ

2019-12-27 14:01:18
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ 混乱は、遺伝子をその人の真の自己〔=人格〕とみなし、遺伝子の動機をもっとも深い、真の無意識的動機とみなすところからくる。そこからは、すべての愛は偽善だというシニカルなうがった道徳観が容易に引き出される。”

2019-12-27 14:01:18