大人の自由研究「給糧艦・間宮」について調べてみた【新事実？？？】

藤ゐまりも @Fuji_i_san

給糧艦「間宮」について既知だろうけど、見つけた個人的に面白い事実を友人がまとめてくれているのですが、この垢で需要あるだろうか…一応、ツイート予定です

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タイトル「入江淵平を褒めたい」 発案、添付画像編集：藤ゐさん 文：友人Aさん #給糧艦 #自由研究 #間宮 以下、友人がまとめてくれた文章です。

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艦長「俺の艦がクソすぎる」 海軍「どうした」 艦長「ソーダもアイスも作れないんだ。ありえない」 海軍「？」 艦長「これじゃ南方作戦の士気に関わるっつってんだよ！」 海軍「そうかな？　そうかも！」 こうして海軍の合理的判断（？）によって、ある艦が生まれた。前線で甘味を作る艦『間宮』である

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前ツイでは状況を端的にまとめすぎて意味不明だと思うので、以下でちょっと解説させてほしい。 　給糧艦『間宮』は、前線の将兵に甘味・嗜好品を提供したことから、海軍人に広く愛される「アイドル艦」だったというのは有名な話。某ソシャゲにも士気回復アイテムとして名前がでてくる。

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これはひとえに『間宮』が持つ製菓を始めとした嗜好品の製造能力によるところ。砂糖は力である。 　しかしこの『間宮』を特徴づける「嗜好品づくり」の能力は、本艦が生まれ持ったものではなかった。「アイドル艦」は、誕生当初はアイドル性を持ち合わせなかった。

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『間宮』を艦隊のアイドルたらしめたのは、5代目艦長『入江 淵平（いりえ えんぺい）』だ。彼のプロデュースによって給糧艦『間宮』はスターダムを駆け上がった。入江が「『間宮』は、嗜好品が作れないからだめだ（要約）」と報告書に記したのが、ことの始まりだ

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大正12年に計画され、翌年竣工した『間宮』。当時最新鋭の冷蔵冷凍設備を備え、海上勤務で不足しがちな生鮮食品を艦隊に供給する任を負った。豆腐、コンニャク、麩などの製造設備のほか、家畜を艦内で屠殺して加工できる装備も備え、18000人の胃袋を3週間まかなう能力を持っていた

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竣工4年目の昭和2年11月15日、上掲の入江中佐が『間宮』艦長の任に就く。ひと月強にわたって給糧艦としての任務をこなしたあと、入江は海軍に『昭和二年度特務艦間宮任務報告』を提出し、給糧艦としての能力不足を痛烈に批判した pic.twitter.com/I57RkKNZrd

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報告書、とくに艦内での食料品類の生産設備に関しての入江の報告文面を要約して紹介する。（原典：アジ歴「特務艦間宮任務報告」）基本的に昭和のくずし字からなり、正直に申し上げてまともに読めていない。ニュアンスと雰囲気で理解しているので、誤りがあったら指摘してほしい

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要約「ただ倉庫がデカいだけでは、給糧艦はほかの運送艦と変わらない」「給糧艦の使命は、他の艦にはできない新鮮で優良な糧秣を供給するところにあって、給糧艦の生産設備は、この特権を付与するものでなくてはならない」 pic.twitter.com/eSSU1djefF

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以下は面白いので引用。「現在の設備はいまだ完全ならず、幾多増設改善を要すと認めらるものあり。なかんずく嗜好品生産設備の見るべきものなきは給糧艦としてすこぶる物足らざるを感ずるなり。将来糧食品生産設備の完備とともに嗜好品生産設備も等しく整備すべきを要すと認む」 pic.twitter.com/fXdjm3oKoV

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つまり「単に食料品を作れるだけじゃだめ。嗜好品を生産できないと、給糧艦としてお話にならない」ということ。「嗜好品生産設備の見るべきものなき」とは随分な言いようである。入江は艦内の生産設備に関する評価を述べる項目で、導入するべき嗜好品の製造設備として具体的な言及を行った

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引用「給糧艦の理想として、また現実の必要として、これら設備を要するは既に述べたる通（筆者注・前ツイ、前前ツイ参照）なり。然るに間宮には現在これらの設備なく、すこぶる遺憾とする所なり。将来ぜひこれら設備を完備せられしことを希望するものなり」 pic.twitter.com/8s59PNg0Qk

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引用継続「なかんづく、左記は設備工事としても簡単かつ経費も多額を要せざるものにつき、急速実現を希望す」 　そして具体的に提示されるのが「ラムネ（サイダー）製造設備」「アイス製造設備」であった。このあたりも面白いので要約して紹介する pic.twitter.com/ndBjjL3BsZ

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「１．ラムネ製造設備　酷暑の艦隊勤務においては清涼飲料のニーズが切実。軽巡以上の艦ならキャパシティがあるためラムネ製造機を備えるものもあるが、駆逐艦のような小型艦では無理なので、乗員の慰安上、甚だ問題」 pic.twitter.com/0gQPJ3kaw9

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要約継続「夏季、錨地での作業中、駆逐艦乗員が『間宮』に来るたび、空き瓶を携行し冷水を汲んでいくあたりに窮状がうかがえる。『間宮』で清涼飲料を製造し、安くこれら小型艦乗組員に提供することが理にかなう。これは理想論でなく必要性の要請である」 pic.twitter.com/AOK8QvBc3a

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こんどは引用「思うに糧食品は乗員の健康を維持し嗜好品はその元気を鼓舞す。いずれの一方も欠くべからず」 として、『間宮』に一刻も早く清涼飲料の製造設備を設置するよう訴えた。またアイスの製造設備については以下のように述べた pic.twitter.com/maufasNnTE

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要約「前項と同様に、主として准士官以上のニーズ応えるべくアイスも導入すべき。今年試験的に導入したが大人気だったので、もっと規模を拡大したい」 　のちに製菓スペースとなり「間宮羊羹」などの名物を生産する空間は、当時は家畜を生きたまま運搬するための飼育室だった。 pic.twitter.com/T69n2KfF77

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この時点において『間宮』は、単に生鮮食品を製造・供給し、将兵の健康維持を支えるために存在する艦であった。のちに『間宮』が獲得した「浮かぶ菓子工場」的なイメージは、実は入江の申し入れをうけて嗜好品の製造設備・人員を導入したあとに獲得された、後天的なものである

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注目すべきは、この時入江が要求したのがラムネとアイスの製造設備にとどまり、和菓子や羊羹といった、『間宮』産品として評判となったような嗜好品については触れていない点。あくまで南方での活動を円滑化するための「冷たいもの」の生産設備を求めている。

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とはいえ『間宮』は、現実には「間宮羊羹」をはじめとする和菓子類の生産・供給において名を馳せたことはご存知の方も多いと思う。入江の要求とその後の運用がどこで乖離したのかを探るべく、次ツイにて入江の報告書（昭和3年1月）をうけた連合艦隊の訓令（同年7月）を引用する

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引用（原点：アジ歴「連合艦隊第5の12号の8」）「給糧艦をして給糧任務に余力範囲内において当隊乗員のため「ラム子（ね）」並びにうどん、菓子等の嗜好飲食品を生産供給せしむるは、すこぶる有益と認め、別紙の通りこれに関する規定を制定（以下の崩し字は読めない）」 pic.twitter.com/WgcJDQz91A

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うどんについては後ほど述べるので措くとしても、ラムネとアイスの設備をくれ、と入江が当初に出した要望から一段階抽象度を上げ、「ラムネと菓子は有益だから、作ってもらうことにしよう」ということで認可が降りた。訓令は以下の通り続く

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別紙「連合艦隊給糧艦嗜好飲食品生産供給整理規定」から引用「第一条　連合艦隊附属給糧艦に於いて連合艦隊乗員のため生産する嗜好飲食品生産（以下単に飲食品と称す）の生産供給整理に関しては本規定による。前項において飲食品とは清涼飲料、菓子、うどんなどを言う」 pic.twitter.com/BmyKiJP2EP

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引用継続「第二条　本規定による飲食品（前ツイにある通り、嗜好飲食品のこと）の生産供給は給糧艦給糧任務の「余力範囲内（ここ傍線）」とし、給糧艦主計長をして独立の会計を立て、これが生産供給整理を行わしむるものとす」 　連合艦隊としては、嗜好飲食品の生産は余技という立場だった pic.twitter.com/KKwlVv8DFa

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