転生したがチートもなく追放もされず令嬢でもないので小作として農業をしています（人口の9割がそうだし）

帽子男 @alkali_acid

転生したが異能もなく知識もなく追放もされず令嬢でもなくスローライフ環境もないしレベルアップもしない。 小作として農業をしています（人口の9割がそうだし）

帽子男 @alkali_acid

年齢は多分…20ぐらい？になったか？日々の暮らしに追われていると自分の歳がいくつなのかもわからない。 異世界での両親はすでに死んだ。多分インフルエンザだと思う。死なないでしょと思うが栄養が足りないと割と死ぬ。あと兄弟姉妹も5人ぐらいいたが全員死んだぜ。

帽子男 @alkali_acid

小作はやばい。まず耕起が人力。そうないからね耕運機が。種蒔も人力、育苗の概念はなく運ゲー、施肥も人力、除草も人力、防虫は謎の煙を焚きながら変な歌を歌う（無意味）、ホムセンはなく農具は消耗品も含め自作が基本。

帽子男 @alkali_acid

異世界に金貨、銀貨、銅貨だけで経済回るのおかしいって話あったじゃん。そもそも貨幣を見たことない。 小作料は作物を基本に不足分を縄とか布とか物納ですね。小作料を払ってるのに人頭税をとられる。地主が立て替えてくれるが基本借金。貨幣持ってないのにだ。

帽子男 @alkali_acid

なお親が死ぬと親の分の借金が自動で引き継がれる仕組みだ。無限に増えていく借金。 その上道路工事とか、地主住んでる「庄」つって丸太と土と石と堀でできたミニ要塞とかあと道路の工事とかもさせられる。無償で。

帽子男 @alkali_acid

耐えかねて逃げると馬に乗った追手がかかる。この辺を知り尽くしててやばい。 そもそも村を離れると盗賊やら魔物やら、いやそれ以前に飢えや渇きで危険だらけなので移動ルートがめっちゃ限られてるしだいたいでかい町に逃げ込むぐらいしかチャンスがないのでな。

帽子男 @alkali_acid

おわかりいただけただろうか。 騎士。ああいっぺんみた。すごい勢いで駆けて行ったな。まあ戦になるとだいたい税が重くなるだけだからいいことは何もないです。ちなみに戦争に参加するのは権利であって「庄」にいる地主の血縁がほぼ独占しとる。

帽子男 @alkali_acid

まあそれでも奴隷よりはましだから。奴隷は悲惨。いやそうかな。庄にいる奴隷は俺等小作をめちゃ見下してくるが。 いやでも俺等は結婚ができるんだよ。地主の許可があればな。ちなみに俺の周りに結婚してる小作はいない。

帽子男 @alkali_acid

だいたい10人に1人ぐらいかな。結婚できんのはな。いや女は違うよ。女は…でも少ない。多分減らされてんだな。生まれてすぐに。まあ働き手としてはちと弱いからな。

帽子男 @alkali_acid

いやでもここの地主は割といいやつだ。 そこはちょっとチートだと思う。 よそだと普通に逃げた小作吊るし首にするけどここはしばらく土牢に閉じ込めるぐらいだしな。

帽子男 @alkali_acid

うそやっぱクソだわ。

帽子男 @alkali_acid

馬に乗った地主の名代が呼びに来た。 逆らえるはずもないので放牧地の家畜の糞集めを中止してできるだけ身ぎれいにして「庄」に向かう。 ちなみに「庄」は盗賊や魔物が攻めて来た時に立てこもるための防備があり、その時は俺等小作が真っ先に累にのぼって木槍と石礫で戦うが、まあ死ぬ。

帽子男 @alkali_acid

戦いで死ぬ方がインフルで死ぬより勇ましくてさっぱりしてるって言うじゃん？嘘だね。魔物に塁の外に引きずり遅されて、生きながら食われたやつの最期みたら絶対そう思わんわ。

帽子男 @alkali_acid

まあとにかく地主のもとへ行く。 地主はさすがにいい格好しとる。割と太ってるしな。多分ビール飲みすぎだな。長生きはできなそう。 「およびでげしょかお屋形様」 「小作君さあ…ちょっと働き悪いよね」 「…ま、まじめにやっとりますだども」 「いやぜんぜんだめだよ。結果出てないよ」

帽子男 @alkali_acid

「おお…神母様のご加護できっと」 信心深さアピールでしのごう。 「なまけものに加護あるはずないでしょ」 「げしょ…」 「親が親なら子も子か…小作料値上げな」 「そげな…親父と同じて…みんなそうしとりますで」 「は？」

帽子男 @alkali_acid

ここでは地主が法律。 弁護士？いないいない。警察？事実上地主がそう。 「ま、といってもさ…できない小作君に値上げしても、ちゃんと収められはしない訳じゃん？」 「…げしょ…」

帽子男 @alkali_acid

「じゃあどうするか…」 「な、なんでもしますだ…どうか小作料の値上げだけは…」 「ん？今なんでもするって言ったよね？」 「げしょ…」 「小作君には割と期待してたんだよ。小さい頃は頭良かったじゃん？肥がどうとか言って、まあ大人に10回ぐらい殴られたら言わなくなったけど」

帽子男 @alkali_acid

そう。俺も知識チートはやってみようとした。一度は。あれ不思議だけどみんな話聞かない相手どうやって説得したの？コミュ力？どんなにかみくだいて説明しようとしても無視だしそもそも新しいこと始めようとするだけでぼこられるんだけど。

帽子男 @alkali_acid

けっきょくあれ？周りが進取の気性に富んだ 「理解のある現地民君」 だったからってこと？知識チートの「チート」部分て新しいことを始めるのを許すめっちゃ寛容な風土ってこと？

帽子男 @alkali_acid

「でさあ…小作君の言ってた肥の問題。俺もちょっと考えたんだよ」 「はあ…」 「一番いい肥ってなんだと思う？」 化学肥料 って答えると意味不明なたわごとを口にしたってボコられるし、樹皮の鞭はめっちゃ痛い。 「げしょ…おらにはなんとも」 「うんこでしょ」

帽子男 @alkali_acid

「げしょ…お屋形様のおっしゃるとおりごぜますだ」 「でもまあうんこも色々あるよね。うちの村は基本豚とかのうんこから作ってるけどさあ…同じ豚でもいいもん食ってる豚のうんことそうじゃないうんこだいぶ違うよねえ」 「げしょ…」 「驢（ろば）のうんこ、馬のうんこ、牛のうんこもいいらしいね」

帽子男 @alkali_acid

「でかいやつ、いいもん食ってるやつほどいい肥になるよね…でな…この前もてなした客から聞いたんだが、魔物のうんこってのが…いいらしんだよ」 「げしょ…」 「よその村じゃなあ…魔物を生け捕りにしてさ、逃げ出した農奴やら小作やらを餌にして…うんこを出させると…すげえ肥ができるってさ」

帽子男 @alkali_acid

「げ、げしょ…」 異端じゃん。こんなの聞いたら殺される。 「びびんなびびんな。ははは、まったく迷信深い小作はこれだから。やらねえよ。魔物飼うなんて。神尼様方の耳にでも入ったらことだからなあ…だが…拾ってくるなら…別に…たまたま…」 「げ、げしょ…」

帽子男 @alkali_acid

「なあ…魔物の中でも一番でかくていいもん食ってるのってなんだと思う？」 「げ、げしょ…わかりませんですだ」 いやわかるけどわかりたくない。 「竜でしょ」 「…げ、げしょ…このへんに竜なんぞ」 「それがさあ…いるらしいんだよ」

帽子男 @alkali_acid

「げ…」 「死人が沼の向こうの…ほら…昔の騎士のなきがらが今もうろうろしててやべえとこだよ。あの向こうにさあ、うねり石の小山ってのがあって、そっちに竜が舞い降りるのをさ…見たって。客がね」 「げしょ…き、騎士を呼んだ方がいいのでは…」 「は？」