毒の人()による、「水と酒と料理とアルコール耐性とかの歴史と地理」の話 に「中世欧州の水事情」を追記

水が形成した飲食の文化や習慣は、かなり奥が深いですね…… 11/17 中世欧州の水事情についてのツリーを追加しました。
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はすね @Re_113_Gnu

中世の健康書などには良質な水源から汲んだ水は多くの利点をもたらす事が書かれています 例えば7世紀のギリシャ人医師アイギナのパウルスは「あらゆる養生の中で水は最も有用」であると述べています 中世の人々は水に関する記述をほとんど残していませんがそれは「水が無かった」からではありません→ pic.twitter.com/7ZScRaohQL

2022-11-14 23:07:35
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はすね @Re_113_Gnu

水は比較的無味無臭で、他の飲料のエールやワイン、シードルなど比べ、日がな一日好んで飲むものであるとは考えにくいです ですから、それだけ普遍的だった飲料水なので、これに注意して中世の水事情を捉えなければなりません→ pic.twitter.com/1BfIHCEXUv

2022-11-14 23:08:19
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はすね @Re_113_Gnu

では当時、人々がどのように飲料水を確保していたのかお話します イングランドでは14世紀前半から作られたエクセターの地下水道が有名です 市内中心を横切る425メートルの水道は、驚くべきことに80%が現存しており、現在もガイドの案内で訪れることが出来ます→ pic.twitter.com/cKRCbgV7B2

2022-11-14 23:08:55
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はすね @Re_113_Gnu

ドイツ地域では、城では中庭の地下に貯水槽が作られ、川から引いた水や雨水をためていました また、水道の設置に尽力したのが、シトー会やベネディクト会をはじめとする修道院でした 多くの場合、修道院は川の近くに置かれ、溝や井戸を設置し、飲料水の供給を行いました→

2022-11-14 23:09:20
はすね @Re_113_Gnu

イタリア地域でも、清潔な飲料水の確保は重要でした シエナでは大規模な地下水道工事が行われ、市内各地に「ボッティーニ」と呼ばれる地下水道が作られました ヴェネツィアでは、市内に設置されている各広場に天水井戸が作られます→ pic.twitter.com/EP62g1x3fH

2022-11-14 23:10:39
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はすね @Re_113_Gnu

これは土中に石と砂で濾過装置を作り、そこに流れ込んだ水が濾過されてたまるように工夫された物でした こうした水道や井戸は都市当局によって管理され、ルッカなどでは前述の都市当局が、ヴィテルボなどでは「飲料水と道路の管理役」が、飲料水の管理を行いました→

2022-11-14 23:11:25
はすね @Re_113_Gnu

このように中世の人々にとって、飲料水は普遍的なものであり、清潔な飲料水を確保することこそが重要な課題でした→

2022-11-14 23:12:09
はすね @Re_113_Gnu

しかしエールやワインは、そんな飲料類に豊かな味付けをもたらすものだったので、水より好んで飲まれました それは現代でも無味無臭な水よりも、甘く、酸っぱく、辛い、そんな豊かな味を持つジュースやお茶、酒の方が好んで飲まれることと似ているでしょう pic.twitter.com/asgN2lSma4

2022-11-14 23:13:03
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