vaginaの訳語は「膣」?それとも「腟」?

普段我々がよく目にする「膣」という字,実は正式な表記ではないらしい・・・?
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菊地研一郎 KIKUTI , Kenitiro @kenitirokikuti

「腟(膣)」という字が女性器を指す例は19世紀日本からで、重訂解体新書がラテン語のワギナ(鞘)、オランダ語のシケイデ(室)」の翻訳語として「腟」を選んだ。 ということを知った  rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb0000298…

2022-09-15 18:36:31
リンク Wikipedia 重訂解体新書 『重訂解体新書』(ちょうていかいたいしんしょ または じゅうていかいたいしんしょ)は、杉田玄白らが出した解剖学書『解体新書』を大槻玄沢が訳し直した書。寛政10年(1798年)の作。刊行は文政9年(1826年)。文章13冊と図版1冊よりなる。 オランダ語の解剖学書『ターヘル・アナトミア』からの邦訳書である『解体新書』は、日本の医学史上画期的な本であった。だが、初めての西洋語からの翻訳という性質上、誤訳も多かった。 その後蘭学が発展し、蘭語(オランダ語)研究が進んだこともあって、杉田玄白は高弟の大槻玄沢に『解

「腟/膣」は国字なのか問題

古典下ネタを呟く鶴丸国永bot @tsurumaru_koten

国字というのは知ってるかい? 峠や辻みたいに日本で作られた漢字のことだ。面白いところでは、膣も国字だぜ。解体新書を翻訳する時、それらしい意味になりそうな漢字ってことで月に室の字をくっつけたのが始まりらしい。

2019-07-28 01:05:23
九条(*・ω・)ノ 💕 @vollker

国字と言えば峠が有名だけど、膣も国字だって今初めて知ったー!!

2019-11-14 09:29:49
malpicos @malpicos

腟・腟も大槻玄沢が作った国字とかいう話がネットで見えるけど、詳しい資料を見つけた。結論としては国字ではない。 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid…

2018-06-15 02:51:30
拾萬字鏡🐦 @JUMANJIKYO

日本で新しい意味を吹き込まれた中国の漢字「腟」から日本で生じた誤字が「膣」であり、さらに「膣」も中国に元々存在していたことが分かっており現代中国語では日本で発生した方の「膣」を使っているというややこしい歴史がある。そうなると国字と呼べるのか呼べないのか考えるのも面倒くさい話になる

2022-08-26 22:36:01

補足:「現代中国語」とは,20世紀初頭から現在に至るまでの中国語を指す。
ちなみに現在の中国語では,vaginaの訳語としては「阴道」を用いるのが一般的。

リンク 百度百科 阴道_百度百科 阴道(Vagina)是由粘膜、肌层和外膜组成的肌性管道,富有伸展性,连接子宫和外生殖器,属于女性内生殖器官,是女性的性交器官,也是排出月经血和娩出胎儿的管道。阴道微生物群、个体内分泌系统、阴道解剖结构和阴道局部免疫系统共同组成阴道微生态系统,维持阴道正常酸性环境,抑制病原体生长。性反应周期中阴道会经历血管充血、阴道液分泌增加和肌强直等过程。阴道炎症需要用御外法彻底治疗,注意性交卫生。与阴道相关的常见病症有阴道松弛、阴道干燥等。社会曾赋予阴道消极的象征意义,许多学者和各界人士呼吁重建“阴道”平等、正面的象征

「腟/膣」は古くから中国に存在自体はしていたが,どちらも「肉が生じる」という意味で「vagina」を表してはいなかったし,ほとんど誰からも使われていない忘れられた字だった。
しかし,大槻玄沢が『重訂解体新書』を著すに当たってvaginaを表すのに丁度いい「腟」を字書の中に見つけ,新たな意味を付与して再利用したのだと考えられる。
故に,国字というよりも「国訓」相当のものと見なすのが落とし所なのではなかろうか。

※国訓:「鮎(中国ではナマズ)」を「あゆ」と読んだり,「弗」を「ドル」と読むなど,本来の字義と異なる読みを与えること。
参考:
https://www.sanseido-publ.co.jp/publ/gen/gen2lang/zukai_jp_moji/samplepage/zukai_052-053.pdf

「腟/膣」を巡っては複数の論点が存在

なかだちちゃん@ゆるふわ性学ラジオ @Nakadashifc2ber

「腟」と「膣」について調べてて, ・「肉生」としての「腟/膣」はどちらが正字か ・vaginaとしての「腟(シツ)」がどのような経緯で「膣(チツ)」に取って代わられるようになったのか ・医学用語としてどちらを使うべきか っていう3つの問題があるんだろうな~ってことがわかってきたよ~🧐💫✨

2022-11-28 23:11:06

これら3つの論点をA, B, Cとし,「腟/膣」を巡る代表的な学説がそれぞれの論点についてどのように述べているかを見ていこう。

「腟/膣」に関する3つの説

小川説

小川鼎三(1901-1984)は比較解剖学・医学史の大家。東京大学名誉教授。特に鯨類の比較解剖学で有名。

リンク 版元ドットコム 医学用語の起り 小川 鼎三(著) - 東京書籍 癌、梅毒、てんかん、スモン、神経、リンパ、ウイルス…、医学のことばの語源を縦横に綴った科学読物。医学・薬学関係者、ことばに興味をもつ人々の必読書。 - 引用:版元ドットコム
錐夜@栽培係 @kiriyayuri

@tukiwatari 史学の泰斗で東京大学名誉教授であられた故小川鼎三博士は,「日本の医学用語としては【膣】ではなくて【腟】が正式である.」 ほうほう

2019-03-19 21:57:08
awayuki @awayukikan

Wikipedia先生が余計な小ネタを教えてくれる >小川鼎三の「医学用語の起こり」によると、「腟」は(中略)新字であり「しつ」と読ませようとしたが、既存の似た文字である「膣」に取って代わられ(中略)しかし、いずれの字も『康熙字典』に存在するため、この説には疑問が残る。

2014-08-04 18:03:52
☓□コの母 @zombie_to_ecchi

@Nomel_orenoyome 一般的には「膣」と表記されるが、「腟(しつ)」が使われる場合もある。いずれも常用漢字外である。小川鼎三の「医学用語の起こり」によると、「腟」は『重訂解体新書』(『解体新書』の改訂版)を訳出する際に作成した新字であり「しつ」と読ませようとしたが、既

2013-05-29 00:19:36

小川はAについては「腟=大槻玄沢が創造した新字/膣=元々中国に存在した別字」とし,そもそも両者を異体字だと考えていなかったようだ。
Bについては「形が似ているから間違えた」とし,Cについては「大槻玄沢が創造した新字」としての「腟」を支持している。

水田説(小川説を継承)

水田正能「産婦人科医が“膣”を使ってはならない」『日産婦誌』59巻10号,2007年
http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=to63/59/10/KJ00005050092.pdf

発芽中 @hirosatsuku

腟なのか膣なのか 調べてたらこんなん出てきた ”産婦人科医が“膣”を使ってはならない” fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.p…

2019-02-18 21:51:36
Amy🐑産婦人科 @SleepySleepyAmy

@Champ_DP 「腟」という漢字は膣の省略形でもなければ簡体字でもありませんfa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.p… 個人の好みは様々でしょうが、産婦人科医は基本的に産科婦人科用語集・用語解説集に掲載されているものを“正しい”言葉として使用していると思います。

2021-11-13 13:32:00