芥川龍之介「藪の中」 甲斐シュンスケ氏による推理

芥川龍之介「藪の中」の真実を @Shunsk_X氏に推理していただきました。 そのまとめです。
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甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@hoops03 @kaikoboy 大変お待たせしました。『藪の中』私論を展開したいと思います。

2011-10-06 23:12:47
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@hoops03 @kaikoboy 俺がこの話を読む時にいつもいぶかしんだのは、旅法師の発言です。彼はすれ違った男が20本ほどの矢を持っていることに触れていますが、なぜ法師はそんな所に注目したのだろうか、と。

2011-10-06 23:18:05
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@hoops03 @kaikoboy まずこの「通り掛かった旅法師」という身分に、疑いを持ちます。一瞬すれ違った人物の馬や服装、武装を確認できる彼は本当に旅法師だったのか?

2011-10-06 23:42:38

ここで熟睡中につき、日を改めていただきました。


甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 こんばんは甲斐シュンスケです。昨夜中断した『藪の中』私論を再開します。

2011-10-07 19:27:33
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 結局理路整然と筋が通った話にならないままですが、あまりお待たせしては良くないと思い、考えた事など述べます。

2011-10-07 19:29:18
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 昨日は旅法師がいやに武装に目敏いことが気になる、と言及しました。本当にこの目撃者は「旅法師」だったのか?

2011-10-07 19:33:09
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03「沙門(修業中の僧)」という身分の僧は自由に旅ができるのか?宗派などによっても違うのでしょうが、調べ切ることは出来ませんでした。当時一般的に考えると比叡山延暦寺、ともあれ天台宗の僧であろうか、とまでは推測できますが情報が少ないです。

2011-10-07 19:35:08
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 寺社が「僧兵」という私兵を抱えるのはもう少し後の時代であるというのが辞典の記述です。

2011-10-07 19:37:08
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 補足的に、旅法師の証言に出てくる「関山」というのは山科という地名が出てくる事から逢坂関のことと推察しました。大津に繋がる道です。大津は都の外港として栄えた地域です。

2011-10-07 19:41:43
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 細部に気を取られすぎましたが、彼の証言によって「男の馬は月毛の法師髪である」と決定されました。旅法師の後に登場する放免も、旅法師の証言を引いています。

2011-10-07 19:52:12
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 次に疑問を持つのは多ジョウ丸(ケータイなので漢字がでない)が果たして本人であろうか、という点です。

2011-10-07 19:58:37
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 放免が連れて来て、白状している男が多ジョウ丸であることの根拠は、放免が述べる「紺の水干に太刀」という装束、近くに法師髪で月毛の馬がいたこと、そして本人の弁のみです。

2011-10-07 20:06:30
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 誰も多ジョウ丸の人相を知らないのです。女が懺悔をしたときに首実験をした訳でもない、多ジョウ丸と武弘の顔形が一見似ていることを逆手にとって(言及はありません)二人が入れ代わっている可能性だとて示唆出来ます。

2011-10-07 20:10:22
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

先程の話は、武弘が死んだと思わせることで利益を得る人間がいるかどうかが解らないので置いておきますが、「多ジョウ丸が偽物である可能性」は指摘できます。

2011-10-07 20:12:12
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 例えば、多ジョウ丸は武弘が自分と23合切り結んだことを強調していますが、果たして彼の太刀の刃は特筆するほどこぼれていたのでしょうか。放免の証言には「打ち出しの太刀」とあるのみです。

2011-10-07 20:16:29
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 多ジョウ丸の白状で一番奇妙に映ったのは多ジョウ丸が武弘と真砂を山に誘い出すくだりです。「山の中の古塚の宝物を売り渡したい」と初対面の男に誘われて夫婦で山の中に入っていくというのは如何にも不用心に過ぎます。

2011-10-07 20:20:11
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 ですから、この部分に関しては多ジョウ丸の偽証、あるいは、武弘と真砂を山に誘い出した多ジョウ丸という男が二人の顔見知りであるという可能性を考えます。

2011-10-07 20:23:07
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 そして、多ジョウ丸の独白の中で妙に意味深なのがこの台詞です。「あなた方は太刀は使わない、唯権力で殺す、金で殺す、どうかするとお為ごかしの言葉だけでも殺すでしょう」と。

2011-10-07 20:25:39
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 自分などは、多ジョウ丸の台詞に「この事件は謀殺だ」という暗示を重ねてしまいます。

2011-10-07 20:34:54
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 では次。女=真砂の証言です。彼女は証言の中で「縛られて動けない武弘の冷たい視線」に言及しています。不貞の妻を見る暗い視点という解釈を変えてみます。

2011-10-07 20:37:22
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 すでに、木に縛られた時点で武弘が死亡していたとすればどうだろうか。動かなかったのはすでに事切れていたから。目の色がひどく冷たかったのは死人の目だったから。

2011-10-07 20:39:20
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 あるいは気絶していたでもよいと思います。絶望した真砂は気を失った夫に「蔑み」見つけて絶望し、「殺せ」と言われたと思い込み刺した。という説も成り立ちます。

2011-10-07 20:42:53
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 なぜ彼女は馬を使わなかったのか、というのも疑問点です。

2011-10-07 20:44:04
甲斐シュンスケ @Shunsk_X

@kaikoboy @hoops03 ああ忘れてた。多ジョウ丸に戻るのですが、彼は「都に入る前に太刀を手放した」と証言していますが放免は「太刀」を多ジョウ丸の目印にしていますね。多ジョウ丸は妙に置換可能なアイコンから成っている男です。

2011-10-07 20:46:08