◆ハイクを読め◆私家版・忍殺ハイク全集◆ポエット!◆ #njslyr
- karafuto1979
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「赤い波/象牙の浜/黒い雪/紫の松」。256を超える、存在しないIPアドレス。ナンセンス……だがナンシーはあの時の記憶の影に触れた。あの時、存在しないIPアドレスは存在した。そこにフジキドが居た。……今回の場所には何がある?あの時と同じようにやる。彼女は目を開いた。 48
2012-07-31 20:46:45「まだ、お体に障りますから」パラゴンは言った。「……ヤンナルネ」ロードは呟き、玉座へ座り直した。パラゴンはユカノを見た。「さあ。パワーハイクを詠むのだ、ドラゴン・ニンジャ=サン。汝、神器システムの構築者よ。当然、汝のニューロンに今、滑らかな文言が湧き出でて参った筈」 21
2012-08-01 18:41:55両手を鎖に繋がれたまま、ユカノは琥珀ニンジャ像を見やった。……彼女は唱えた。「旧く空/洗う白波/夢の穂な」……ズン!広間の空気が震えた。琥珀ニンジャ像は回転しながら台座の中へ再び吸い込まれて行った。パラゴンがニンジャ達へ両手を翳し、鳴り響くような荒々しい大声で演説を開始した。23
2012-08-01 19:15:17「GRRRGH!」だがシャドウドラゴンの顎はさらに強さを増し、ニンジャスレイヤーのカラテを押し返す!「グワーッ!」(((陽ヲ睨ミ/祭壇砕ク/竜ノ顎……!)))曖昧模糊とした影の奥で、レイジは昂揚し、無我夢中でハイクを詠んでいた。ヴァルハラの争いを仰ぐマツオ・バショーめいて。 58
2012-09-03 23:20:45ミョルニールはもがいた。そしてもはや進退極まった事を自覚した。「イクサに生き/イクサに死ぬ/悔いはない」彼はハイクを詠んだ。ドウ!左腕の排熱機構から更に発火!「グワーッ!」「イヤーッ!」ツヨイ・スリケンが飛来!胸部を吹き飛ばす!「サヨナラ!」ミョルニールは爆発四散した! 44
2012-10-17 20:28:30「アイエエエ……」「ハイクを詠みなさい」ガンダルヴァが目を細めた。サラリマンは震え声でハイクを詠んだ。「トラブルで、セプクをします、ニンジャのせい」セプク!刃を腹に押し込む手が躊躇いかけるが、「イヤーッ!」オーバーウェルムのチョップがその首を速やかに切り落とす!カイシャク! 30
2013-02-12 23:55:02ナンシーも完璧な自動走行で追跡を継続!だが道路交通網に乱れが見える。プラズマカンバンの中ではポリゴン頭の男が暴動的重工場ビートに乗せてレベリオン・ハイクを叫び続ける。「電脳法を殺せ!」「目覚めろ!」「我々は!」「無限の地平を見る!」「取り戻せ!」「我々は!」「進化する!」 16
2013-05-14 00:50:51ニンジャスレイヤーの喉輪に力がこもり、ブラックソーンの爪先が地を離れた。彼はハイクを詠んだ。「アマクダリ、貴様ごとき一個人、誤差の範囲」「イヤーッ!」「アバーッ!サヨナラ!」ブラックソーンは爆発四散! 67
2013-05-23 00:09:29「私の中ではこれで永遠」。机の上に残されていたハイクには、そう書かれていた。何たる突発的行為か。あるいは既に依頼の時点で心を決めていたのだろうか。確かに、攫われたその時点で、彼の自転車操業は行き詰まったと見てよかった。秘匿していた真実は第三者の目に触れ、早晩明らかになるのだ。68
2013-07-08 01:17:56「我が長き……日々の……死してなお」「イヤーッ!」ハイクを終えたファフニールの顔面に二度目のジキ・ツキが叩き込まれた。今度の打撃が無効化される事はなかった。ファフニールのメンポが破砕し、あらわになった鼻、口、そして目から炎が噴きだした。不浄な命の火が。「サヨナラ!」 46
2013-10-24 01:55:51「……初雪な……」……「……もはや詠めぬ……おお、ミューズは去りぬ……」……「イイイイヤアアアアアーッ!」……「サヨナラ!」ブラッククレインは爆発四散! 65
2013-11-04 03:22:00「…初雪な…」砂浜に一つ残された巻貝めいて、彼女のニューロンの片隅にはその詠み切れぬハイク・フラグメントだけがいつまでも残留した。その言葉を唱えるたびに、彼女はセンチメントと力を得るだろう。それを残した者の想いは定かではない。だがいずれにせよそれは、彼女の救いとなったのだ。 77
2013-11-04 04:32:17重金属酸性雨が降り続く。底抜けの雨だ。ニンジャスレイヤーは言った。「そしてその結果は私自身のものだ。オヌシらにそれを取り沙汰する権利はない」彼はチョップ突きを振りかぶった。ファイアブランドは咳き込んだ。「灯の……絶えし路傍に……ただ雨な……」「イヤーッ!」 65
2013-11-12 00:35:32「夜モ破レ/明クル墓標ニ/黒キ陽ノ花」ふいにハイクを呟いた者を、チバとネヴァーモアは振り返った。シャドウドラゴンはネオサイタマ空撮光景をじっと見つめていた。「……字余り」 6
2014-10-06 23:17:17「ハイクを詠め」「か、艦は敵の手に落ちた……!シューッ……わ……湾岸警備隊に……栄光あれ!」シャープシューターが死神を巻き込むべく自爆装置を起動させる直前、カラテキック一閃!「イヤーッ!」「グワーッ!」血の円弧が描かれ、シャープシューターの首が飛ぶ!「サヨナラ!」爆発四散! 37
2014-10-27 22:53:02ビークルはもう時速160キロにも達し、アサノサン・パワーズの社屋が遠ざかってゆく。「世界ベスト」「本格クリン燃料」「今一番売れている」……サイドミラーには、社屋壁面にモニュメントめいて映し出される荘厳な青色LED文字が映り込み、重金属酸性雨で朧げに歪み、後方へと流れて消えた。 4
2015-02-05 23:07:48かつて、それはアサノ部長の誇りであり、アサノサン・パワーズ社の社屋こそが己の神殿であった。だがいまや社のスローガン・ハイクは、ネオサイタマIRCに氾濫する無意味なコピー聖句にも等しい、ただの空虚な文字列としか感じられなかった。忠誠心とは何と儚く脆いものか、と彼は溜息をついた。 5
2015-02-05 23:16:35