茂木健一郎さん連続ツイート2011年10月26日

「いたずらは、好むと好まずとにかかわらず、創造性と深く結びついている」
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茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 本日は、ぎゃははなこと!

2011-10-26 07:15:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

いそ(1)Steve Jobsを読んでいる。物凄く面白いが、まず最初の山は、ジョブズが高校の時にやったたくさんのprank (practical joke, いたずら)だった。ネタバレになるから詳細は書かないが、ジョブズは何回もやらかして、停学をくらっている。

2011-10-26 07:16:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

いそ(2)イタズラに当たる英語「practical joke」は、なかなか日本語の語感に直しにくい。何かと言えば「悪質な」という枕詞をつけたがる日本の学級委員な人たちが考える「イタズラ」とは異なる、自由闊達な生命の躍動のようなものが、practical jokeにはある。

2011-10-26 07:18:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

いそ(3)「そんなイタズラをするなんて」と眉をひそめる人は、アメリカにもいるのだろう。何しろジョブズは何回も停学をくらうんだから。しかし、経験的に言えることは、イタズラに寛容な人は創造性に富み、不寛容な人は創造性とは無縁だということである。

2011-10-26 07:19:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

いそ(3)別に、創造性を持つことが人生の唯一の目的ではないし、社会状況によっては、創造的でない方が適応的だということもあるのだから(昨今の日本のように)、イタズラに寛容であれ、と強制するつもりはないけれども、イタズラと創造性の関係については、もっと考えていいと思う。

2011-10-26 07:20:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

いそ(4)Steve Jobsは、伝記としてはおそらく出色の出来で、読み味が、ちょっと「ご冗談でしょうファインマンさん」に似ている。そのファインマンも、いろいろとイタズラをしていることは読者なら知っている通り。量子電磁気学や経路積分の独創性と、イタズラの愉快な関係。

2011-10-26 07:21:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

いそ(5)ある時、ファインマンは重大な軍事研究をしていたロス・アラモス研究所を囲むフェンスに穴を見つける。それを管理者に報告するかわりに、イタズラを思いつく。穴から出て、正門を通り、また穴から出て、正門を通るということを何回もくりかえしたのだ。

2011-10-26 07:23:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

いそ(6)最初はぼんやりと見ていた門番も、やがておかしいと気付く。あれ、こいつ、さっきから正門から入って来ているけど、一度も出てないぞ。入るばかりで、出てないぞ! どういうことなんだ? やがて「何かがおかしい!」と気付く。これぞ、アハ体験!

2011-10-26 07:25:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

いそ(7)その他にも、ファインマンは数限りないイタズラをする。その自由でジャズな雰囲気が、創造性とつながる。深刻ぶったり、マジメぶったりすることが、いかに創造性を殺すか。そのことは、失われた20年を生きる日本人は、とっくに気付いていいはずだ。

2011-10-26 07:26:34
茂木健一郎 @kenichiromogi

いそ(8)Steve Jobsには、高校時代にジョブズがアップルの共同創業者とやった最大の「イタズラ」が書かれている。それなしでは、アップルの創業はなかっただろう、というイタズラ。日本の「学級委員」たちが、「違法だ」「補導しろ」とわあわあ叫ぶような、とてつもないイタズラ。

2011-10-26 07:28:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

いそ(9)Steve Jobsを読んでわかるのは、Think Differentの、権威に従わず、反逆者であり、現状に尊敬を払わない、というナレーションは、まさにジョブズ自身のことだということ。どの社会にも抑圧的な空気はあるけど、創造者は「イタズラ」でそれに対抗する。

2011-10-26 07:30:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「いたずらは、好むと好まずとにかかわらず、創造性と深く結びついている」ことについての連続ツイートでした。

2011-10-26 07:31:25