2011/09/01~09/31 ②全twnovel@s_shumu

2011/09/01から 2011/09/30まで
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愁夢 @s_shumu

取り出した便箋はそこら辺に転がっていたルーズリーフ。愛用のシャーペンを取り出して机に向かった。カーテンを揺らす残暑の残る風に乗って、虫の音が聞こえる。上空を横切る遠い旅客機の音に泣きそうになりながら、目の前の紙に静かにこころを紡ぐ。君が僕を忘れられないように。 #twnovel

2011-09-15 20:34:08
愁夢 @s_shumu

ガラス玉のような硬質な光をその眼に宿した少年がくすり、と笑った。暗闇。そう、暗闇なのに俺はその少年が見えて――わかっていた。「無駄に飾る必要なんてないんだよ」滑稽なピエロを見るように顰めた眉。必死に成長したつもりだった。俺から見てもそんなに無理をして見えるのか。 #twnovel

2011-09-15 21:17:50

9/16

愁夢 @s_shumu

草原を旅している。紅の太陽や、下からみた空の青さや、ぬいぐるみみたいなライオンを見学した。折角だし記念写真に写りたかったのだけど、唯一撮った奴は結局お供になって一緒に天国に返ることになった。上手くいかない。 #twnovel #twremix @1_dark

2011-09-16 23:27:13
愁夢 @s_shumu

好きだよ、愛してる、結婚しよう。告げる貴方の口唇。嘘だって知ってた。「いっしょに死のう」その言葉が嘘だというのも知っていたの。だから、その口唇が嘘と告げる前に、全部本当にしてあげた。ほら、なんとやらに口はない、でしょう? #twnovel #twremix @1_dark

2011-09-16 23:32:03
愁夢 @s_shumu

一日、一日、愛しさが降り積もっていった。花弁が降り積もるみたいに、優しく。どうしてあなたを好きになったんだろう。愛してしまったんだろう。いつ、私は、狂ってしまったんだろう。青白い頬を撫でても答えてはくれない。「愛してるわ」 #twnovel #twremix @1_dark

2011-09-16 23:40:43
愁夢 @s_shumu

隣にいる人からメールが来た。それは彼から私への「いっしょに生きよう」メールだった。訝しく思いながら振り返る。嘘吐きな彼の凍りついた口唇。変化はない。首を傾げていると、誤送信と表示され、あの日の日付とともに消えた。 #twnovel #twremix @1_dark

2011-09-16 23:48:38
愁夢 @s_shumu

変な学校に入学した。犬人間は序の口、幽霊は当たり前の顔でいた。驚いたのは盆栽だけど、一応は生物だし。僕は受け入れられるのかなーとちょっと心配してみた机だったけど、みんな割と普通に意思疎通してくれる。あ、座るなよ、重いってば。 #twnovel #twremix @1_dark

2011-09-16 23:55:46

9/19

愁夢 @s_shumu

お題は『俺達の幸せを壊したやつは絶対に許さない・相合傘・アルコールが沈んだ・紅葉(もみじ)ひとひら・甘美な言の葉を』です http://t.co/IJWJkjbi うーむ、残り45分かー。

2011-09-19 23:15:19
愁夢 @s_shumu

感情の奔流に、身体が硬直していた。血液の流れがざーざーと耳の奥で響く。ゆらり、視界が揺れる。「俺達の幸せを壊したやつは絶対に許さない」そう、絶対に。それが他ならぬ彼女であっても。『新しい幸せを探してね』そんなの、出来る訳がないのだ。 #twnovel #twpoem

2011-09-19 23:22:25
愁夢 @s_shumu

きみはなんでもぼくとはんぶんこしたがる。3時のお菓子をはんぶんこ、お昼寝の毛布をはんぶんこ、重い荷物もはんぶんこずつ。晴れの日の帰り道ははんぶんこできないけど、雨の日には傘をはんぶんこにして相合傘でご機嫌なきみ。きみとぼくははんぶんこ同士。 #twnovel #twpoem

2011-09-19 23:29:41
愁夢 @s_shumu

月夜に光る酒杯。飲み干すごとにアルコールが身体に沈んでいく。澱んでいく意識に埋もれて、すべてを忘れてしまいたかった。それでも、杯を重ねたところで、唐突に耳奥で響いた声に正気に戻る。『そんな深酒、身体に悪いわよ』身体を気遣う彼女はいないのに。 #twnovel #twpoem

2011-09-19 23:35:47
愁夢 @s_shumu

川面に紅葉ひとひら。緩やかな流れが脳裏に焼き付く燃えるような紅を連れていく。この恋心と一緒に流れて行ってしまえ。川面に紅葉ひとひら。緩やかな流れが消せはしない紅を洗うように流していく。 #twnovel #twpoem

2011-09-19 23:45:44
愁夢 @s_shumu

甘美な言の葉を降り積もらせていく。そこに本心なんかなかった。響きだけが綺麗な嘘、耳触りの優しい科白、表面だけは穏やかな口上。意味も、真実も、ありはしなかった。でも、君が好きだと言ったから。この甘いだけの言葉で良いと言ったから。少しの本当を混ぜる。 #twnovel #twpoem

2011-09-19 23:57:23

9/20

愁夢 @s_shumu

悪質な 悪戯めいた 嘘つきに 笑みを湛えた お揃いの顔 #あいうえお短歌 #twnovel #tanka  #jtanka #短歌

2011-09-20 00:50:53

9/21

愁夢 @s_shumu

溢れだす 色とりどりの 泡沫が 描く空に 覆われる君 #あいうえお短歌 #twnovel #tanka  #jtanka #短歌

2011-09-21 02:16:48

9/24

愁夢 @s_shumu

充電が必要だ、と彼は思った。そう、充電。手足に巡るべき気が足りなくて、もうカタカタとしか動かない。歩き出してしまえば二度とは戻れないかもしれなくて、ただベッドに横たわり時を待つ自分。自分の滑稽さが際立つ。自分は終わりを待ってるのに、何を期待してるのか。 #twnovel

2011-09-24 13:10:43

連載的につらつら。めっちゃ途中で終わってます。

愁夢 @s_shumu

滝壺への投身自殺をした友人を追いかけて滝へ飛び込んだ。友人に伸ばした手は空を切った。飲み込まれた水中で息苦しさに襲われて、もしかしてこれって心中に思われるんじゃと嫌な想像が過ぎる。そのまま意識を手放して、目が覚めたらそこは異世界で友人の故郷でした。 #twnovel 

2011-09-20 02:44:56
愁夢 @s_shumu

友人は降り立った場所を故郷だと理解し、納得し、感動し、今までの場所を異郷だったと把握し、納得し、諦観した。あの場所は彼女に優しくなかった。そして、私がいることを認識し、感激し、後悔した。決して完全に馴染むことのできない、異郷で過ごす意味を彼女は知っていた。 #twnovel

2011-09-24 15:34:25
愁夢 @s_shumu

「ごめんね、依織」はらはらと涙を流す彼女に私は戸惑った。異郷の地だという実感すらなかった。けれど、突如現れた故郷には在り得ない魔物に認識させられた。「大丈夫」顔を強ばらせた私に笑いかけた彼女の背中から白い翼が生えた。それに魔物こそが怯え。一瞬にして灰と化した。 #twnovel

2011-09-24 15:45:37