管用ねじの歴史とシールテープの「正しい巻き方」

管用ねじの歴史を紐解きながら、配管継手のシールテープの「正しい巻き方」について考察されています。
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れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

NYAFA勤務/お気持ち特派員/身の丈にあった猫耳モフモフアドバイザー(主任 / 猫からヒトを守る党・党首 / 6歳 / 一級マンションポエム士を目指して勉強中 / 毛玉フェロー / パロディです

rei.to

れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

このシールテープの巻き方について、時間を見つけて語っておこう。 結論からいうと。 この巻き方は「間違い」。 が、こういう巻き方が正しいと思い込んでしまう技術的事情があり、現代でもこれでないと止まらないケースがある。 それは歴史的事情がある。 続く。 twitter.com/drafter_san/st…

2022-09-29 08:35:31
ドラフター@機械設計者 @drafter_san

継手へのシールテープ巻き方の解説だが僕は✕のやり方をしていた。それで全く問題ないと思っているが皆さんどう思いますか? 動画のコメントを見ると、 ・そんなに複雑にする必要ないだろ ・同じ効果なのに仕事時間が長くなるだけ のような批判的コメントが多数 pic.twitter.com/tlQQi23auf

2022-09-25 10:32:14

ドラフター@制御設計者 @drafter_san

大阪で制御設計をしてます/26歳で大学卒業→機械設計者6年→32歳で町工場に転職するも1カ月で退職→完全未経験から制御設計職/32歳からのリスキリング/一人前の制御設計者になるためのリアルドキュメント/笑顔で楽しく生きるのがモットー!/機械、電気、PLC、プログラミング、AppSheet、DX、AIに興味あります

https://t.co/5y0w3qtH6U

ドラフター@機械設計者 @drafter_san

継手へのシールテープ巻き方の解説だが僕は✕のやり方をしていた。それで全く問題ないと思っているが皆さんどう思いますか? 動画のコメントを見ると、 ・そんなに複雑にする必要ないだろ ・同じ効果なのに仕事時間が長くなるだけ のような批判的コメントが多数 pic.twitter.com/tlQQi23auf

2022-09-25 10:32:14

れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

継手の止め方を語るためには、まずパイプの歴史を…と言いたいところだが、これは古すぎて(俺には)わからない。文字を発明するころには木製や石製、あるいは金属製のパイプが存在していた。 これらはただ組み合わせるだけだったり、テーパーにして押し込んだり、あるいは膠など接着剤で接合していた。

2022-09-29 08:40:52
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

これらは当然一品もので、その場で施工していた。 有名なローマの水道もそう。なので敷設は莫大なコストがかかった。 ローマの水道が衰退した一因はコレ。 まともに使える近代的な「パイプ」あるいは「継手」が登場するのは産業革命以降、19世紀にならないといけない。

2022-09-29 08:48:03
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

いまでは差し込むだけの「差込み継手」もあるが。 近代的な継手は「ねじ込み継手」から。 (それ以前にも継手はあったが規格等はなくただのスリーブ的な物) なので、「ネジ」の近代化が大切だった。 ネジの近代化はイギリスのモーズリーさんから始まる。 ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98…

2022-09-29 08:52:21
リンク Wikipedia ヘンリー・モーズリー (技術者) ヘンリー・モーズリー(Henry Maudslay, 1771年8月22日 – 1831年2月14日)は、イギリスの技術者・発明家。工作機械の父と言われる。 同名の父は、工兵隊の車輪製造工だったが戦闘で負傷し、ロンドンのウリッジ王立工廠で倉庫番をしていた。そこで若い未亡人と知り合った父が結婚してもうけた7人の子のうち5番目の子である。1780年に父は亡くなり、モーズリーは12歳で王立工廠で薬莢に火薬を詰める仕事に就いた。2年後に大工道具店に移り、15歳の時からその鍛冶場で修業を始めた。鍛冶師として、軽くて 2 users 2
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

モーズリーさんが1800年に「ねじ切り旋盤」を発明する。 これ以前にもネジはあったが、職人の手作りレベルで、ボルトとナットは一つ一つ噛み合うように作られていた。 ナットを無くすともうボルトは捨てるしかない状態。 この発明のおかげで、一つのボルトにあうナットが二つ以上作れるようになった。

2022-09-29 08:55:31
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

おかげで、イギリス中でどんどん色々な種類のネジが作られた。でも規格はなく、バラバラ。 めっちゃ不便。 そこで、モーズリーさんの弟子、ホイットワース(ウィットワース)さんが1941年に「統一したらいいんじゃね?」って論文を出す。 ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8…

2022-09-29 08:58:17
リンク Wikipedia ジョセフ・ホイットワース サー・ジョセフ・ホイットワース準男爵(英: Sir Joseph Whitworth, 1st Baronet、1803年12月21日 – 1887年1月22日)は、イギリスの技術者、起業家。ウィットウォースとも表記される。近代的な精密工作技術の発展に貢献し、ウィットねじ(BSW)として知られる世界初のねじ規格を考案した。兵器製造でも知られている。 ジョセフ・ホイットワースは、1803年にイングランド北西部グレーター・マンチェスターのストックポートで生まれた。父親は教師で、会衆派教会の聖職者でもあった。ジ 2 users
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

当時はまだどんなネジがいいのかわかってなくて、ネジ山が細かすぎたり、浅かったり、粗かったり、みな手探りだった。 ウィットワースは沢山ネジを集めて、平均的なネジを統一規格にすることを提唱した。 論文はここで読める。 en.wikisource.org/wiki/Miscellan…

2022-09-29 09:00:44
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

ネジ山のピッチと直径の関係を表にして。 ネジ山の角度は55度(なんて中途半端!) ネジ山の山と谷は1/6の高さで丸める。 これが現代でもまだ残ってる「ウィットネジ」の始まり。 というわけでとりあえずここでタイムアップ。 続きはまた後で。

2022-09-29 09:03:04
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

ウィットネジはこんな形をしてる。 ネジの山と谷が丸いのが重要。 で、オネジとメネジの断面図は同じ形。(図で、下がオネジ、上がメネジ) で、これが普及して、イギリスの標準のBritish Standard Whitworth(BSW)となる。 en.wikipedia.org/wiki/British_S… pic.twitter.com/cwIDfjftRg

2022-09-30 08:29:58
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リンク Wikipedia British Standard Whitworth British Standard Whitworth (BSW) is an imperial-unit-based screw thread standard, devised and specified by Joseph Whitworth in 1841 and later adopted as a British Standard. It was the world's first national screw thread standard, and is the basis for man 188
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このネジは優秀だったので、このネジをパイプの接続に使い始めるようになる。 パイプ用なので、ネジ山を低く、でも工具を流用したいので同じネジ山に。 水が漏れないようにテーパーにする工夫もした。 こうしてできたのがBritish Standard Pipeで、 テーパーがついたBSPTとついてないBSPPがある。

2022-09-30 08:37:00
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

で、これが世界に普及し、日本にも広がり、 旧JIS 管用ネジ(PT/PF)→ISO/JIS 管用ネジ(R/Rc/Rp/G) となる。 その間、精度等細かい所は変わったが、形状は変わってない。ウィットネジのまま。 呼び方もネジのピッチも高さもインチ基準だし、ネジ山も丸い。 日本の水道管はみんなウィットネジの子孫。

2022-09-30 08:43:23
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

1枚目が旧JISにあったウィットネジ。 2枚目が今もある管用ネジ。 ぴったり同じ形なのが分かると思う。 旧JISのウィットネジのメネジの頭が丸い理由はまた後で。 pic.twitter.com/R7px0BvsXL

2022-09-30 08:47:55
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れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

このウィットネジ仕様の管用ネジ(BSP)、 ネジ山が丸いのでちょっと手間がかかったが、 パイプ用途としては最適で性能が高かった。 ねじ込むだけでも当時としては十分な性能が出た。 更に高い気密性が欲しければ、膠や粘土、油なんかを塗って使っていた。

2022-09-30 16:42:41
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

1960年代くらいからはテフロンのシールテープが使われるようになる。 このテープ、「こう巻かねばならない」というのは決まってないが、BSPに使うシールテープの規格がEN 751で、テープの試験用の「巻き方」が載ってる。 この巻き方なら漏れないことが保証されてるので、 まぁ「正しい巻き方」と言える pic.twitter.com/XSXgH0YOeE

2022-09-30 16:44:10
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れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

・オネジの根本から ・締めたときに緩まない方向で ・半分重なるように ・引っ張りながら巻く ・巻き終わりは引きちぎる ・メネジを締めたら余ったテープは切る こんな感じ。 テープのテストのための物なので、ネットにある「正しい巻き方」とは違うところもある。

2022-09-30 16:48:57
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

半分重なるように巻く。つまり、テフロンテープは「2重」になってるだけ。 これは山の丸いウィットネジだから。 上に書いたように、日本の管用ネジでも同じ。 本来、2重になるように巻くだけでいい。 世界の管用ネジが全てこのBSPだけだったなら、 元ツイの「変な巻き方」は必要なかった。 ところが

2022-09-30 16:55:18