笠井潔 講演会 「3.11とセカイ系」 まとめ

ceno_sougouさんによるまとめ 2011.11.5. 中央大学文学会主催 笠井潔 講演会 「3.11とセカイ系」
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セノにゃん @ceno_sougou

ちょっと遅くなってしまったけど、11月5日の笠井潔先生の講演会まとめ(と個人的感想)。 #笠井潔講演会まとめ タグはこれでいいかな。

2011-11-07 19:58:09
セノにゃん @ceno_sougou

今回の講演会は2部構成だった。1部は笠井潔先生の単独公演、2部は限界小説研究会の蔓葉信博先生、飯田一史先生、藤田直哉先生、そして笠井潔先生4人のトークセッション。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 19:59:00
セノにゃん @ceno_sougou

今回の講演会のタイトルは「3.11とセカイ系」だった。 ざっくり言えば、「東日本大震災が、今後の文学(否、もはや文学と呼ぶには適切ではない。サブカルチャーやコンテンツと言い換えた方が適切だろう。)の在り方に与える影響や、今後の文学の展望」というテーマ。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:00:14
セノにゃん @ceno_sougou

東日本大震災以降、(日本にいる)私達の精神構造が変わってしまった。 ということは容易に想像がつくと思う。しかし、笠井潔先生に言わせてみれば、その変化は既に──20年前から──始まっていたという。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:01:21
セノにゃん @ceno_sougou

そして、その価値観の変遷は、サブカルチャーコンテンツの変遷の中に、 具体的に言えば、ゼロ年代(2000年代)初頭に話題になった“セカイ系”と呼ばれる作品群の隆盛の中に見て取ることができる。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:01:53
セノにゃん @ceno_sougou

東日本大震災と、それに続く原発事故は、日本人が今まで信じてきた常識や価値観や社会構造を、半ば物理的に(ある程度)一掃してしまった。 ちょうど、大日本帝国やそれを信じる人達が、太平洋戦争の敗戦によって半ば物理的に一掃されてしまったように。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:03:18
セノにゃん @ceno_sougou

念のため“セカイ系”を知らない人のために説明しておくと、“セカイ系”とは、2002年に話題になった用語で、ある一定の共通性を持った作品群、あるいはその共通性を指す。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:04:33
セノにゃん @ceno_sougou

作品の具体例を挙げるなら『最終兵器彼女』(高橋しん)とか『イリヤの空、UFOの夏』(秋山瑞人)とか『ほしのこえ-The voices of a distant star-』(新海誠)とかだね。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:05:03
セノにゃん @ceno_sougou

それらに共通する大きな特徴として「主人公が社会性を経験する事なく、世界の危機に関わっていく物語」という点が挙げられる。 (まあ、無力な主人公と戦闘美少女がどうたらという話題は、話が脱線しちゃうのでここでは置いておく) #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:05:40
セノにゃん @ceno_sougou

1つ注意しておきたいのは、この意味での“セカイ系”は、別に現代社会にのみ見られる作品の特徴ではないということだ。 中世以前の物語には、“セカイ系”的な特徴が見られるものが意外と多い。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:06:39
セノにゃん @ceno_sougou

例えば、『シンデレラ』。つまり、主人公のシンデレラが、「王国の妃」といういわば1つの世界そのものに関わる大問題に、魔法によって(貴族社会内での地位獲得というステップを踏まずに)関わっていく物語だ。その意味では“セカイ系”に分類する事ができる #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:09:21
セノにゃん @ceno_sougou

あと、個人的(セノにゃん的)には、シンデレラの魔法による変身は、おそらく“魔法少女モノ”における変身の、1つの原型なんじゃないかと思う。

2011-11-07 20:09:48
セノにゃん @ceno_sougou

しかし、こういったパターンの話は、近代文学の中ではめっきりその姿を消してしまう。近代的社会の成立に伴い、文学は主人公と世界ではなく、主人公と社会の関係を描くようになった。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:10:24
セノにゃん @ceno_sougou

さて、第二次世界大戦に敗れた日本で、今まで信じてきた価値観を社会ごと喪失してしまった日本人は、なぜ今までの自分達がダメだったのかを、考えた。 その結果辿りついた結論は、「結局、モノを言うのは精神論ではなく生産力と科学技術だよね」ということ。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:13:17
セノにゃん @ceno_sougou

だから戦後日本は技術大国を目指したわけだ。戦後の日本は、一応の成功を納めたといってもいい。“高度経済成長期”やら“技術大国日本”やらは、一言で言えば「近代西洋的思想に則っての社会的勝利」だ。しかし、そんな幸福な時代は“バブル崩壊”とともに失われてしまった。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:14:40
セノにゃん @ceno_sougou

バブル崩壊以前の、戦後の日本社会では「いい大学を出て、いい会社に入れば、安定した幸福な人生が送れる」ということが疑われることなく信仰されてきた。 「学校や会社──すなわち“社会”に自分の居場所を見つける事」が、自分のアイデンティティの支えの1つだった。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:15:40
セノにゃん @ceno_sougou

だが み な さ ん も ご 存 知 の 通 り 、 そんな幻想は、“不景気”“失われた十年”“就職氷河期”“大手銀行の倒産”、 近年では“リーマンショック”といった一連の出来事により、今や無力化してしまった。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:16:32
セノにゃん @ceno_sougou

(そう「みなさんもご存知の通り」なのだ。20年前から始まっていた、と冒頭で言ったよね?) #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:16:52
セノにゃん @ceno_sougou

さてさて、日本はどこが間違っていたんだろうか? それは、日本が、欧米の科学技術至上主義をただ真似ただけで、その精神をちっとも学んでいなかったということではないか、と笠井潔先生は指摘する。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:17:22
セノにゃん @ceno_sougou

そもそもなぜ“科学”は東洋ではなく西洋で発達したのだろうか? まあ諸原因はあるが、主な物を纏めると、それは一神教特有の「形而上世界と物理世界の間の明確で絶対的な線引き」と「客観性(言い換えれば神視点)」が近代科学の成立に大きく貢献しているからだ。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:18:15
セノにゃん @ceno_sougou

一神教的な世界観では、神様は私達の世界内にいて世界を動かしているわけではない。世界はかつて神様によって創られ、現在も神様が創った設計図──つまり法則──に従って動いている。だからこそ、“科学”に必要な客観性が成立するわけだ。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:18:42
セノにゃん @ceno_sougou

(これが、多神教のような世界観だとそうはいかない。神々は万物に宿っているため、人間が森羅万象にアクションを仕掛けても必ず同じ反応が返ってくるとは限らない。雨乞いをしても成功するかどうかは神様の機嫌次第なわけ。) #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:18:56
セノにゃん @ceno_sougou

“科学”によって客観的に世界を見つめることで、神様の意図(つまり法則)を明らかにし、それによって、人間の(物理世界の中で唯一人間のみが持っている)精神性とも向き合うことが出来る。少なくとも近代西洋においては、科学というのはそういう位置づけだったのだ。 #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:19:29
セノにゃん @ceno_sougou

(まあ、現代では科学の位置づけはまた変わってくるんだけど、時間の都合上その辺りの話はだいぶ割愛されていたご様子。) #笠井潔講演会まとめ

2011-11-07 20:19:51
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