100物語

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リリングミスト @RelyingMist

25異界メガネ. 現実世界で起こることから目を背けるためだけに作られたメガネ。ガラスは曇りきっていてナマリが混ざっているらしい。メガネをかけると部屋中に瞳が浮かび上がる。瞳の視線は一点に集中しているが、人間がそこに確認できるものはなにもない

2011-11-08 23:33:44
リリングミスト @RelyingMist

26ゼンマイ. この大時計はゼンマイ式で、ある程度のところまで巻くと重くなりそれ以上まわせなくなるが、無理矢理まわすとガチリという音がして、13時の鐘をならすようになる。どうしてこのような仕掛けが施してあるのか誰も知らないという

2011-11-08 23:33:49
リリングミスト @RelyingMist

27切断機. 鉄製の箱に黒い十字の印がついている。そこに指をおくと十字型に指から血が出る。普通はチクリとするだけだが、ごく稀に貫通してしまう人間がおり、例外なく嫌われ者だという

2011-11-08 23:33:54
リリングミスト @RelyingMist

28マンホール. 町外れに使われていない扉がある。長いスロープを懐中電灯だけで下っていくと、人が住めるほどの大きさの水槽があり、そこの水はとても澄んでいる。澄んだ水の底にもう1つマンホールがあるが、水圧がかかっているため開けたものはいない

2011-11-08 23:34:02
リリングミスト @RelyingMist

29白美人. 白美人は布団の中に住んでいて、うつぶせに寝ていると、丁度腹の辺りからもこもこと盛り上がり、ミルククラウンのように広がったかと思うと、寝ている人間を包み込みシーツの中へ連れ去ってしまう。目が覚めるとびっくりする

2011-11-08 23:34:10
リリングミスト @RelyingMist

30五重塔. ダーンという大きな音がして庭に出てみると、肌色の巨大な三角錐が落ちていた。明くる日まだダーンという音がしたかと思うと、三角錐がもう1つ落っこちてきていた。三角錐は次の日も落ちてきて、計5つの三角錐が積み重なったという

2011-11-08 23:34:15
リリングミスト @RelyingMist

31名簿. 使われていない教室に名簿が落ちていた。覗き込むと自分の名前が39名分も書かれており、日にちによってはそのうちの何人かが欠席していた

2011-11-08 23:34:20
リリングミスト @RelyingMist

32幾何学デザイナー. 目を使い、線と線を繋ぎあわせるようになったのは最近のことで、以前は味と味をつなぎあわせたり、色と色をつなぎあわせたりしていた。その結果産まれたのがナマコであったり、くらげであったりする。今、僕たちは線でモノをみているが、本当は彼らはもっと愉快な形をしている

2011-11-08 23:34:26
リリングミスト @RelyingMist

33楽器. スケートボードの競技場のように湾曲した板の足下には印がついており、その上で人々が楽器を鳴らす。そうすると、板は音を複雑に反射させてその人にだけ素敵な音を聞かせてくれるというのだ。音色は日付や天気、時間帯によっても違うという

2011-11-08 23:34:33
リリングミスト @RelyingMist

34ビニル人形. 縁日でもらったビニル人形は、プラスチックのおしゃぶりのような部分から口で息をふきこむ。そうすると、吹いた本人の色が薄くなっていき、しまいに消えてしまう。消えてしまった本人は、空気が漏れると元の姿で現れる。大昔の娘が出てきたこともあるという

2011-11-08 23:34:41
リリングミスト @RelyingMist

35カプセルホテル. このホテルは入り口で薬を飲むところから始まり、中にある様々な仕掛けによってまるで高級旅館のように錯覚するが、皆、虫の湧いた毛布で寝ている

2011-11-08 23:35:10
リリングミスト @RelyingMist

36模様替え. 沢山の三毛猫達が集まり騒いでいる。一体何が起こるのかというと、今日は「猫の間に伝わる特別な模様」を誰が継承する日で、先代の女王が、それを選ぶのであった

2011-11-08 23:35:18
リリングミスト @RelyingMist

37 2号室. 2号室のドアからは誰も出てはならなかった。もし間違えて2号室に入ってしまったら、窓や、非常口からでなくてはならない。ドアから出てしまうと、自分が居た部屋を把握出来なくなり建物の中を彷徨う。だが端から見ると1カ所で回っているだけなのだという

2011-11-08 23:35:25
リリングミスト @RelyingMist

38通信記録. ほとんどの記録媒体は駄目になっていたが、そのうちのいくつかは無事で、研究者達は何世紀も前のマシンを使ってその中から文字データだけを取り出すことに成功した。現在の価格で何十億円もかけて発掘したそのデータは、とある男女の他愛もない語らいであった

2011-11-08 23:35:43
リリングミスト @RelyingMist

39ユキヤナギ. 話しかけると、掠れた声で返事をする。彼女はずっとずっと、その木の下で変わらない姿のままだった。最愛の人を待っているらしい。少なくとも私のひいおばあちゃんが子供の頃からそうしている。幽霊ではないらしい。彼女が生きているということは、最愛の人もまた生きているのだろう

2011-11-08 23:35:49
リリングミスト @RelyingMist

40斉藤くん. 斉藤君は中学の3年間を繰り返している。何度目なのか分からないが、この3年間は特別に楽しかったと言ってくれた。斉藤君は卒業と同時に違う世界に飛ばされ、また1年からやるというのだ。「僕の事を忘れないでくれ」彼は悲しそうだった

2011-11-08 23:35:56
リリングミスト @RelyingMist

41暴走機械. 眠っているとガシャリガシャリという大きな音を立てやってくる。焦って目を開けたり、起き上がってはいけない。まぶたの向こう側に尖った針を構え、機械が準備している。居なくなる時には音がしないのが厄介だが鳥の声がしたら目をあけてよい

2011-11-08 23:36:02
リリングミスト @RelyingMist

42手紙. 携帯電話を新しくしたが、誰からも連絡が来ないので、自分のアドレスへメールを送ってみることにした。間もなくしてメールが届いたが、送信したときと文面が変わっており、内容も意味不明な、数字だけで構成されたものだった。今でも月に1度程度、奇妙な文通は続いている

2011-11-08 23:36:08
リリングミスト @RelyingMist

43加齢臭. 嫌な臭いが車内に立ち込めたが、乗ってきたのは小学生の男の子であった。小馬鹿にしたような態度で辺りを伺うと、優先席にどかりと座った

2011-11-08 23:36:17
リリングミスト @RelyingMist

44ロンデバーグ. 不動産会社に苦情の電話がかかってきた。男の話によるとバルコニーから湖が見えるはずだというのに、湖のあるべき場所には見たこともない衣服を着た人間たちが集落を作っているというのだ。住所を聞くと男は「ロンデバーグ」と答えたがそのような地名は存在しなかった

2011-11-08 23:36:23
リリングミスト @RelyingMist

45北欧. 北欧のある地方に暮らす少年二人が、太陽に向かって石を投げていた。片方の少年が、足元の石をつかみ投げるとガシャンという音がして、辺りが真っ暗になった。2人は失明してしまった。奇妙だったのは視覚神経には全く異常はみられなかったが、投げた石がサファイヤの原石だったという

2011-11-08 23:36:29
リリングミスト @RelyingMist

46未来から来た少女. 男がうちに帰ると、どこかで見覚えのある少女が立っていた。話を聞くと将来生まれる娘だという。椅子を勧めると彼女は持っていた巨大な刃物で男の手を切断し「昨日の夜、パパは私を殴ったわ」と言った

2011-11-08 23:37:27
リリングミスト @RelyingMist

47キョウシガ. 人間の後頭部に取り付き、髪の毛の1部となってしまう寄生虫のようなもので、これに取り付かれると髪の毛が薄くなり気性が荒くなる。坊主頭にしても毛根に食い込んでいるため駆除出来ない。怒った際に出る脳の電気を食料としているので、おおらかな人間には取り付かない

2011-11-08 23:37:49
リリングミスト @RelyingMist

48貧乏な人. ある定食屋には「お代はいただきません」と書かれていた。カツ丼を頼むと愛想の良い店員が給仕してくれたのだが、食べ終わるやいなや態度を変え「早くでていけ」と言われた。それ以来、街の人間が自分を邪険にするようになり、ハッとして定食屋に代金を払いにいくと日常が戻った

2011-11-08 23:37:56
リリングミスト @RelyingMist

49クジラ. クジラを解体しようと刃を突き立てると、中から人間の痛がる声がした。ぎょっとして、懐中電灯で口の中を覗き込むとそこには胃の壁と下半身が同化した人間が居り「クジラを殺すのはいいが、胃袋だけは私ごと取り出して、保存して欲しい」言った

2011-11-08 23:38:02
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