アイデアに対する説得力が皆無である部分。「あがり」が起きた瞬間、それが全世界に影響を及ぼす物理的メカニズムを(説明どころか、検討すら)、完全に省いているが、そこが本来、SFという小説ジャンルの要である。
2010-08-15 05:22:53SFが、科学的に厳密な正確性をもつ必要はもちろんない(そんな定義をすればSFの世界が狭まる)が、その作品の設定に対して整合性のある「読者に対する説得」が試みられるのが、主流SFのフォーマットである。
2010-08-15 05:29:51ある「思索」を、理論的補強となる仮説・材料を呈示することなく、生命の神秘みたいな形で読者に突きつけるのは、バカSFではない、オカルトだ。ライアル・ワトソン的な。
2010-08-15 05:34:59同じく実験室を舞台にした作品でも、山本弘『闇が落ちる前に、もう一度』では、ただ一つの実験で示された世界の真理を裏付けするために、シェイクスピア演劇まで持ち出している。SFのど真ん中にボールを投げ続けていた(過去形)山本弘ならではの荒業だ。
2010-08-15 05:44:26少なくとも、「あがり」は「嘘をもっともらしく見せる」類のSFではない。その点に執心しなくても成立するSF作品もある。ただそう言ったタイプの作品にはとめどなく加速する妄想、一度も見たことのないビジョンへの到達、軽妙な語り口などが要件となる。「あがり」はその全てを持っていない。
2010-08-15 10:57:18読書メーター あがり【創元日本SF叢書】 ウクバールさんの感想
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/14556351
読書メーターに登録してないからここで意見表明しておくと、『あがり』という本の評価には全面的に賛同するものの、あんな本一冊が出版されるくらいで滅んでしまう脆弱なジャンルって何だよ、と。
2011-11-12 19:13:53例の読書メーターの『あがり』批判に対して更に意見すると、何をもってSFではないと断言するのか教えて貰いたい。俺は量子回廊発売時に「あがり」がSFではないことを5、6ポストかけて論証したので、彼ないし彼女もその労を厭わないで欲しい。でないと心情的に賛同できても論理的に賛同できない。
2011-11-13 04:10:26