三国志こばなし集 2023年5月号

正史三国志をベースにしたなんでもありのこばなしや現パロのまとめです! 上旬はなんでもありな三国時代編。下旬は現パロです!
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三国志こばなし集 @omikanboy3594

魯粛「只今参りました、ご主君」 孫権「ああ」 魯「謹んで、周瑜殿の後継としての任務を拝命する所存で…」 孫「もういい、子敬」 魯「…」 孫「私はお前にそんな仰々しい態度など、ハナから求めていない」 魯「…それはなにより」 孫「だが、お前が公瑾の後を受け、考えている事だけは私に共有しろ」

2023-05-03 16:05:39
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魯「それもまた、ごもっとも」 孫「私のみならず、呉の者たちの考えの殆どは、お前ではなく公瑾の考えた策に共感して当たり前だ」 魯「…」 孫「そもそもお前の提案した、我らが劉備に力を与え育てる考えに理解や賛同を示す者に出会ったことがない」 魯「…」 孫「お前の真意はどこにあるのだ、子敬」

2023-05-03 16:05:39
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魯「無論私だって、周瑜殿の天下を二分にする益州攻略策がうまくいったその先を、共に歩みたかったですとも」 孫「…」 魯「しかし、江陵で受けた矢とその後の無理が周瑜殿の命を奪ってしまわれた…」 孫「ああ…」 魯「すると我が呉には、益州攻略策を立てられる者が、一人もおらぬのですよ、ご主君」

2023-05-03 16:05:40
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孫権「甘寧では?」 魯粛「奴は益州の地に精通し、戦の勘所こそ誰よりも分かる男ですが、将の将には決してしてはならぬ者です」 孫「…それは私も同意見だ」 魯「周瑜殿の策で一番働けた男ではあったでしょうがな」 孫「ああ…」 魯「すると、なぜ周瑜殿が私を後継としたのか甚だ分からぬのですよ…」

2023-05-03 16:30:34
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孫「嘘をつくな、子敬」 魯「はて?」 孫「赤壁で曹操との戦を決断するために、劉備がいるのといないのとでは大違いだったことは認めよう」 魯「…」 孫「赤壁で同盟を組んだ手前、劉備らを無碍にするどころか敵に回すのは愚の骨頂であろうことも何となく分かっている」 魯「…」 孫「だがその先は?」

2023-05-03 16:30:34
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魯「申し上げます」 孫「おう」 魯「私の考えを、曹操らの三国鼎立を目指さんがため、などと言う者がおりますが」 孫「ああ」 魯「鼎立する国が三国と二国では、振る舞いが大きく変わるであろうことはお分かりですかな?」 孫「ん?」 魯「私の理想だって、まずは周瑜殿の考えた、天下二分なのですよ」

2023-05-03 16:30:35
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魯粛「ですが、周瑜殿が亡くなった今、天下を二分に出来る力を持った将が、我が呉にはいなくなってしまいました」 孫権「…」 魯「すると当面は、我らが目指す天下二分の策は凍結しなければいけないのです」 孫「凍結だと?」 魯「その通り」 孫「諦めるのではなく、凍結なのだな、子敬?」 魯「然り」

2023-05-03 17:00:37
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孫「それで?」 魯「あいにく私には、周瑜殿の天下二分策を受け継げる軍事の才は欠片もございません」 孫「…」 魯「しかし、周瑜殿や他の諸将では決してできず、私にしかする事ができないと確信している策が一つございます」 孫「それは?」 魯「行き過ぎと思われるほど、劉備との協調を図る策です」

2023-05-03 17:00:37
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孫「分からん」 魯「周瑜殿が亡くなった今、我ら単独で曹操と相対するには限界があるでしょう」 孫「ふむ」 魯「しかし劉備と協調する事で、曹操との戦を分担する事ができます」 孫「二対一の戦をする事ができるということか」 魯「二対一の二の側に所属し続けることこそ、我らの生きる道なのです!」

2023-05-03 17:00:38
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孫権「詳しく聞かせろ」 魯粛「劉備は死ぬまで曹操と同盟を結ぶことなどできる訳がありません」 孫「ああ」 魯「しかし我らは違います!」 孫「…子敬」 魯「我らは劉備にも曹操にもつく事ができるという利を決して手放してはならぬのです、ご主君!」 孫「今は劉備と組んでいるが?」 魯「今は、ね」

2023-05-03 17:30:48
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孫「今は、か」 魯「我らの地の利の要は長江にあります」 孫「分かっているさ」 魯「だから北の徐州などに攻める利など欠片もありませぬよな?」 孫「ああ。曹操の虐殺やら統治の困難さやらで、我らが攻めて旨みのある地とは到底思えぬよ」 魯「すると我らの攻める先は、長江を沿った西にしかない筈」

2023-05-03 17:30:48
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孫「ならばまず劉備とぶつかるしかないが…」 魯「だから私だけを親劉備の窓口として放置するのです、ご主君」 孫「なに!」 魯「私が劉備を育てて曹操にぶつけるのは建前」 孫「…」 魯「その実は周瑜殿の天下二分策を推進すべく、内で人材を探し力を蓄え荊州と益州を奪う策を練るのです!」 孫「…」

2023-05-03 17:30:49
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魯粛…私と劉備らが蜜月になればなるほど、呉軍が不意を打って劉備を攻める助けになるでしょうからな。 孫権…やはりこいつは呉でも狂児だったか…

2023-05-03 17:30:53
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徐庶「先生」 司馬徽「よいぞ?」 徐「これらの書物をお借りしてもよろしいですか?」 司「よいぞ、よいぞ」 徐「ありがとうございます」 司「よいぞ、よいぞ」 徐「先生?」 司「よいぞ」 徐「お借りしてよいのですよね?」 司「よいぞ」 徐「お借りします」 司「よいぞ」 徐「…手を離してくだされ」

2023-05-03 19:13:15
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司「よいぞ、よいぞ」 徐「なんですか、さっきから」 孔明「元直、聞きたいことが?」 徐「何かな?」 孔「先生の廬に月英の採ってきた薬草を置いていたのですが、どこにもなくて」 徐「全く知らんぞ」 孔「先生はなにかご存知ですか?」 司「よいぞ」 孔「何がよいのです?」 司「よいぞ!よいぞ!」

2023-05-03 19:13:16
三国志こばなし集 @omikanboy3594

孔「相変わらず的を射た回答をされませんね」 徐「全くだ」 司「よいぞ!よいぞ!」 黄月英「薬草の効能が分かりました!」 孔「それは?」 黄「始めに口にした言葉しか口にできなくなる効能のある薬草です!」 孔「なぜそれが分かったので?」 黄「それは…」 龐統「やれやれ」 司「よいぞ、よいぞ」

2023-05-03 19:13:16
三国志こばなし集 @omikanboy3594

孔明…士元に食べさせて試したのですか? 黄月英…私が試す訳にもいかないじゃないですか。 徐庶…お前らの庵はどうしてそんなおかしな薬草しか生えてないんだ? 司馬徽…孔明の薬草を勝手に使ってお粥を作り、よいぞしか言えなくなった。 龐統…月英に嵌められて、やれやれしか言えなくなった。

2023-05-03 19:13:19
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曹休「俺が子廉殿の代わりに総指揮を執れと言われてきたが…」 辛毗「曹洪殿もそれを聞き、貴殿に全てを任されたのですぞ」 曹「まさか俺にここまで丸投げされるとも思わんよ…」 辛「言っていることは分かりますが…」 ?「…」 曹「…向こうで一人屹立とされている御仁は誰かな?」 辛「あれは…?」

2023-05-04 18:55:53
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曹「貴殿は何をされているのです?」 ?「…今度こそ、あの男の息の根を止めるための策を練っていたのです」 曹「…貴殿は?」 ?「名を聞くなら先に名乗られよ」 曹「失礼!曹休。字を文烈です」 楊阜「楊阜。字を義山」 辛「その傷だらけの顔は、もしや…」 楊「あの男との戦の傷だ」 曹「まさか…」

2023-05-04 18:55:54
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辛「馬超と死闘を繰り広げられたあの楊阜殿ですな!」 楊「言わないでくれ。私の恥だ」 辛「…失礼」 曹「この度私が総指揮を託されております」 楊「総指揮官殿でしたか。それは失礼した」 曹「馬超も攻めてきますぞ」 楊「その時は、私が先陣で奴の息の根を止めてやります」 辛(武官より武官らしい)

2023-05-04 18:55:54
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曹休…武都太守とは思えぬ威圧感だが… 辛毗…それはそうですよ。馬超との一騎打ちを望んでやろうとする者など許褚殿しか知りません。 楊阜…曹操に追い払われた馬超と涼州で死闘を繰り広げた男。その戦で全身に五箇所の傷を負い、一族七人を馬超に殺されるなど、とんでもない目にあっている。

2023-05-04 18:55:57
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馬超「!」 張飛「どうした、馬超?」 馬「…いる」 張「なにが?」 馬「あの男の匂いがした」 張「…そんな臭えかな」 馬岱「いえ、張飛殿。孟起様は我らの宿敵を察知されたのです」 張「てえと?」 岱「楊阜という男なのですが」 張「あいにく俺は、涼州のお前らの戦のことを全然知らねえんだが…」

2023-05-04 21:25:23
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岱「私もあの戦を乗り越え今生きているのが不思議なほどの戦だったのですが…」 張「そんなにかよ…」 岱「結果だけ申し上げますと」 張「その方が助かるぜ」 岱「孟起様は楊阜の全身に五ヶ所の傷を与えるも討ち取るに至らず」 張「やべえなそいつ」 岱「楊阜の一族七人を討ち取りましたが」 張「…」

2023-05-04 21:25:24
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岱「孟起様も妻子を捨て劉備様の元へ行かざるをえなくなるほどの戦でした」 張「…」 超「どうやって殺してやろうか、楊阜…」 張「…なんだかんだ俺も大兄貴も嫁子供を捨てて逃げたことは何度もあったんだがよ」 岱「…」 張「馬超の場合にゃどうも野郎の自業自得の匂いしかしねえんだが?」 岱「…」

2023-05-04 21:25:24
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張飛…どんだけ強えんだよ、楊阜って奴は。 馬超…ハハハ。絶対に嬲り殺しにしてやるぞ、楊阜。 馬岱…ある意味で孟起様と並ぶほどヤバい男でした。

2023-05-04 21:25:28
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